2023年2月6日/サバイバル

アンディ=ウィアーの「火星の人」を読み終える。事前に「火星の人」を原作とした映画「オデッセイ」を観ており、とてもおもしろかった。原作は基本的に日記形式で進み、「オデッセイ」も同じプロットになっている。読後、改めて「オデッセイ」を観た。以前は吹替版を観たのだが、声優が原作版の主人公の明るさを上手く表現していると思う。字幕版は火星で暮らす過酷さがより強調されるような気がした。なお、原作は映画より主人公に課される試練が盛り沢山になっている。なお、アンディ=ウィアーのその他の著作である「アルテミス」「プロジェクト・ヘイル・メアリー」はKindleは購入済みになるため、今後も継続して読もうと考えている。

Fallout4をプレイしている。本編クエストを進めるため、ヘーゲン砦でケロッグを始末する。以前のプレイの際は非常に苦戦した記憶があるものの、オーバーシアーガーディアンで瞬殺、偶然にも頭部破壊になる。それでも主人公はケロッグの遺体から機械化された脳の一部を回収していた。屋外に出るとBOSの巨大な空中要塞プリドゥエンが飛んでいく。その後、ダイアモンドシティに戻り、探偵ニック=バレンタインと新聞記者パイパー=ライトと今後の段取りを相談し、機械化された脳の一部から記憶を引き出すため、グッドネイバーのメモリー・デンに赴くことになる。どうやら以前の本編クエストのプレイはここまで進めていたようだ。メモリー・デンでニックに機械化された脳を埋め込み、ケロッグの記憶を再体験する。どうやらケロッグはFallout4の前作等に登場した西海岸出身になり、殺し屋稼業をしながら連邦(本作の舞台になる東海岸のマサチューセッツ州)に辿り着き、インスティチュートに雇われていたらしい。主人公が探し求めていた息子ショーンは少年になり、ケロッグと暮らしていたが、インスティチュートの転送技術でどこかに消えていった。今後はケロッグがショーンと別れる際に殺しの依頼を受けたインスティチュートを抜け出した科学技術者を探すため、輝きの海を目指す。それにしても、ケロッグは妻と子供を失っているようで、クエストの中で何人もの人々を殺してきた主人公の生き様と何ら変わりないようにも思えるのだが、考え過ぎだろうか。現在のレベルは31でスニーク、セミオートの銃の攻撃、銃の改造等にスキルを振っている。そのため、セミオートの銃の攻撃力が高いものの、オートの銃とレーザー武器は威力が出ない。本編以外では初めてベヒモスと遭遇した。遠距離攻撃が厄介なものの、回復アイテムと障害物があれば、何とかなりそうだった。デスクローも苦戦はするものの、今のところ、どうにかなっている。敵のロケットランチャーの攻撃は直撃すると即死する。面白かったのは、スーパーミュータントがいる屋内のロケーションの攻略中、レイダーがのんびり屋内に侵入し、スーパーミュータントと交戦していたこと。偶然にも、スニークでその様子を眺めることになったが、こうやって各ロケーションを占拠する敵が入れ替わるのかと脳内補完ができて感心してしまった。

偶然見つけたNightmares On Waxの「Re-Imagineering Meditation Mix」がとても良い。どうやらアンビエントでもある程度のリズムパターンがあった方が好みらしいことが判ってきた。
youtu.be

2023年1月22日/政治性の希薄な労働生産性

村上春樹の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を読み終えて、スマートフォンから目を離し、窓を除くと雲の隙間から太陽の光が差し込んでいる。名古屋を向かう新幹線の中、本を読み終えた高揚感の影響で、陽射しに生の喜びのようなものを感じる。物語の主人公である計算士の主人公は、とある事情で自らの意識が消滅することになっており、意味の無い人生だったと言いつつも、この現実に愛着があったことを示していたことも影響していた。私たちが生きている世界の素晴らしさ、この世界は既に満ち足りているのだ等と言葉にしつつ、高揚感が冷めていく中、この言葉はこの瞬間の自分にしか通用しないのだと思う。おそらく、このような精神状態の持続は傍から見れば、宗教的で自己啓発的なものでしかない。一時的に有用でこそあれ、経済性や公共性を伴う社会においては、この世界に満ち足りている存在は例外なのだ。少なくとも私のような個人に社会が求めているのは労働生産性といった経済的なものだけだろう。しかも、公共性と言っても、その内の政治性はおそらく無ければ無いほど良いのだ。つまり、私に求められているのは、世の中にタダ乗りしない個人なのでは無いだろうか…言い換えれば、私が社会から求められていると想定するのは政治性の希薄な労働生産性だけである。このような帰結に至るのは、私の社会性といえる部分が仕事による形でしか無いためであろう。社会学の本を読めば、日本という国は仕事に従事することが前提となった社会であり、公共の福利厚生は会社員になることで受けられるという。これが思想と言えるかは不明になるものの、こういった思想があと二、三歩で行き着く先は、公共性が無いもの、経済性の無いもの、そういった存在を排除する差別的な思想であったとしても驚かない。そもそも、個人に求められるのが経済性だけであるという時点で偏りがあるのではないか?このような状態から逃れるために私は本やゲーム等にのめり込むのかもしれない。

2023年1月18日/仕組みが理解できない

FF4(3D Remake)をプレイしている。その後、ゲームを進め、残るは幻獣神の洞窟とラストダンジョンの攻略のみと思われる。ゴルベーザ戦でMP回復アイテムを全て使用したものの、MPを回復するローザのいのりやフースーヤのせいしんはを小まめに使用する対策で乗り切った。そして、まれにいのりは失敗することがあることを知った。これまで戦ったボスで苦戦したのは、ルゲイエ、四天王連戦のバルバリシア、せいぎょシステムが挙げられる。ルゲイエのリバースガスはタイミングが合わず何度も全滅した。四天王連戦のバルバリシアはカインがいないなか、どうすれば良いか判らずに困惑している間にミールストーム後の回復が間に合わずに全滅した。せいぎょシステムはフースーヤが回復役を攻撃しろという。これはクロノ・トリガーのガードマシンやラヴォスの要領で戦うのかと思い、とりあえず、回復役を倒そうとするものの、攻撃役のレーザー攻撃が強烈、攻撃役と回復薬を倒し、いざ、せいぎょシステムを攻撃するとカウンターで即死、よくわからないまま長期戦になり、攻撃役と回復役の数度の復活と数度のカウンターによるセシルの戦闘不能を経て、せいぎょシステムを倒した。あと、ダンジョンのマップの踏破率が99%になってしまうことが度々あり、ひたすらマップをローラー作戦でさまようことになるのが地味に辛かった。

再読を試みていた村上春樹の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を読み終えた。結末を覚えておらず、こんな話だったかと呆気に取られた。本作に関しては計算士の主人公が「やれやれ」とぼやいても許されるのではないか。また、きちんと説明されているものの、主人公の脳内の仕組みがしっかりと理解できていない。その他にも本書を読み終えて感化されたところはあるが、本書とは関係無さそうなことなので別途書こうと思う。

2023年1月13日/2022年を振り返る

2022年の大きな出来事は長年住んでいたアパートの取り壊しに伴い引越をしたことが挙げられる。大学卒業に伴い、職場近くのアパートに引越をした。結局その職場は3ヶ月で辞めたものの、特に貯金ができる訳でもない20代を過ごしたため、自分の年齢と同じ築年数のアパートに長年住み続けることになった。アパートの取り壊しは近隣の土地・建物を所持するオーナーが死亡したことによる。オーナーには法定相続人がおらず、国選弁護人が財産を管理することになり、土地・建物は競売に掛けられたという。気が付けば近隣の複数のアパートの住人がいなくなり、近くの家主の自宅もあっという間に更地になり、更地に立つ低層マンション建築の説明会に関する知らせがポストに投函されていた。街の風景が変わるのは資産を持つ1人の生き死にに由来するものなのだと感慨深かった。

引越等の環境の変化の影響か、気分の波の影響か、割りと気落ちしている期間が多く、仕事でも客からクレームが入った影響で、2022年終盤から現在、仕事量が減った。ある意味、助かるものの、現状の仕事でしくじると後が無いとも言える。この辺りはなるようしかならないだろう。

読書に関しては、指輪物語を読み終えたこと、村上春樹の初期作品を再読したことが良かった。10代の頃に背伸びをして手に取った本を改めて読み直して理解を深める時間は喜びが多かった。今後は10代の頃に多読した椎名誠の作品等を再読しようかと考えている。後はどれだけ積んでいる本を読めるかといったところか。

昨年は映画館で観た作品はシン・ウルトラマンとすずめの戸締まりのみだった。映画に関しては、今後は古い作品等を暇があれば観たいと考えている。

ゲームに関してはようやくDARK SOULS REMASTEREDをクリアしたことは感慨深い。とりあえず、今後はクリアをしていないFallout4とFINAL FANTASY4(3D Remake)をクリアしたいと考えている。

友人の影響を受け、ここ数年は喫茶店等でよくコーヒーを飲んでいたのだが、年末にようやく、手動のコーヒーミルを購入し、自宅で焙煎豆のコーヒーを淹れて飲むようになった。今後は沼に陥らない程度に美味いコーヒーを淹れることができるようになりたいと考えている。

2023年1月2日/年末年始

前日の記事のタイトルの西暦が2022年になっていることに気が付いて訂正した。一人で2022年を繰り返すところだった。しかし、自分はまた同じ一年を繰り返すという気しかしない。一方、コロナウイルスの流行やロシアのウクライナの侵攻に鑑みると、日々の生活は容易に変わり得るのだとも思う。

年末に綿野恵太「みんな政治でバカになる」を読んだ。本書は認知バイアスと政治的無知による大衆の政治への無関心をバカとしており、認知科学の有力な仮説である二重過程理論等を参照している。二重過程理論とは人間の脳内に直観システムと推論システムがあるという説である。なお、このシステムには様々な呼び名があり、本書に従っている。直観システムは経験や慣習に基づいて直観的に素早く判断を下すが、間違いも多く、間違いには認知バイアスに基づく一定のパターンがある。推論システムは言語的・意識的な推論になり、直観システムと比較して間違いは少ないものの、時間や労力を必要とする。本書は二重過程理論やその他の最新の知見に基づき、人間本性や環境を分析したものである。あとがきによれば、これらの知見はビジネス書にを通じて世間の浸透しつつある一般的な言説になるという。非常に面白く、皆に読んで欲しい一冊である。

新海誠監督の「すずめの戸締まり」をようやく観た。一見した感想は過去の作品をアップグレードした良い作品である。一方、東日本大震災を扱った作品になることやダイジンの解釈等によって評価が分かれるとも思った。

こちらのブログ記事「mRNAワクチンを接種した人全員に読んでもらいたい、ワクチン開発の奮闘を描き出す一気読み必至のノンフィクション──『mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来』 - 基本読書」を読み、年末年始に掛けて「mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来」を読んだ。確かにコロナウイルスワクチンを打った人全てに読んで欲しい一冊である。驚いたのは、ビオンテックの創業者で医師の夫婦であるエズレム=チュレジとウール=シャヒンは2020年1月の新型コロナウイルスの報道確認直後に、統計学から世界的な流行を導き出し、長年の研究で得たmRNAワクチンの技術が使用可能と判断し、新型コロナウイルスのワクチン開発を決定していたということである、本書でも指摘されているが、2020年1月において、新型コロナウイルスの世界的流行を誰もが予測できた訳では無かった。しかし、前掲書の「みんな政治でバカになる」の言葉を借りれば、エズレム=チュレジとウール=シャヒンは推論システムを使用して、自らのすべきことを判断した訳である。本書を読んで、優秀な人々によって自分が生かされていることを実感した。

香山滋「ゴジラ」を読んだ。収録されている主な作品は「ゴジラ」「ゴジラの逆襲」「G作品検討用台本」「獣人雪男」になる。「ゴジラ」は1954年に公開された映画ゴジラのノベライズになる。なお、ノベライズ版は主人公が南吉になっており、原作とは若干異なる内容になっている。また、「G作品検討用台本」は1954年に公開された映画ゴジラの検討用の台本になる。そのため、本書には1954年版「ゴジラ」の決定稿の脚本は収録されていない。なお、竹内博の解説によれば、1954年版「ゴジラ」の決定稿の脚本は三一書房の香山滋全集7巻等に収録されているとのことである。

2022年の読書

2022年の読書は以下の通り。

SFマガジン2021年12月号

スタニスワフ=レム100周年特集号。レムの短編「原子の町」が収録されている。

鈴木智彦『全員死刑:大牟田4人殺害事件「死刑囚」獄中手記』

死刑囚の獄中手記をヤクザライターの鈴木智彦氏が解説等を加えたもの。解説によれば、獄中手記は死刑中である家族4人の内、次男が金欲しさに執筆したとのことである。しかし、この文章を読んでみると、ネットで見受けられる文章より余程読みやすいということに衝撃を受ける。なお、当たり前のように書かれていることに関して、鈴木氏は淡々と「冷静に考えておかしい事態」だと指摘している。本書を読み、物語は誰にでも書けるものだということを認識した。

鈴木智彦『サカナとヤクザ』

著者が漁業とヤクザの関係を明らかにしたもの。本書によれば、私たちが食べる海産物は何らかの形でヤクザの商売と関わっている可能性があるという。

松尾諭『拾われた男』

役者の著者の自伝的エッセイ。事務所に所属するに至る経緯、『SP』抜擢、結婚、兄との確執等が描かれている。

村井理子『兄の終い』

作家・翻訳家の著者が亡くなった兄のため、死亡に伴う各種手続きを踏みながら、兄との確執やその人生等を考えるエッセイ。思ったより湿っぽさは無い。

兄の終い

兄の終い

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レイ=ブラッドベリ『華氏451度』

SFの古典。

J=R=R=トールキン『ホビットの冒険』

指輪物語を読もうと思い、その前日譚になる本書を読んだ。

J=R=R=トールキン『指輪物語』

本書を読んだ際はApple Booksの電子書籍が確認できたものの、Amazonに電子書籍は無かった。そのため、単行本を買い求めることになった。しかしながら、その後にKindleで発売された。更に2022年10月には訳文の一部を見直した最新版の文庫本と電子書籍が発売された。なお、最新版の追補編やシルマリルの物語は2023年春に刊行予定だという。

筒井康隆『旅のラゴス』

リーダビリティの高いファンタジー小説。本書内での時間的な経過は長いものの、物語自体はトントン拍子に進む。

安田峰俊『境界の民 難民、遺民、抵抗者。国と国の境界線に立つ人々』

著者のルポは基本的に面白い。

稲垣諭『絶滅へようこそ 「終わり」からはじめる哲学入門』

久しぶりに哲学の本を読み、面白いと思った。終章の村上春樹論が特に面白い。

村上春樹『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』『ダンス・ダンス・ダンス』

前傾書の村上春樹論を読み、著者のネズミ三部作、もしくはヒツジ四部作を読み直した。

栗原裕一郎(編著)『村上春樹の100曲』

村上春樹の著作を読んだ後に読むと大変良い。

ジョン=コルベット『フリー・インプロヴィゼーション聴取の手引き』

音楽の聴き方が変わった。今まではブルートゥースのイヤホンで適当に聴き流していたところ、ヘッドホンをパソコンに繋いで聴いている。そして言葉にする。当然、集中力が必要だ。単純に一曲一曲に向き合う根気がいる。聴いた音楽全てにできることではない。気が付くと違うことを考え、楽曲が数曲進んでしまっていることもある。しかしながら、きちんと聴いて言葉にした成果は嬉しいものである。

アイリス=オーウェンス『 アフター・クロード』

国書刊行会のドーキーアーカイヴの一冊。わきまえない女性の言動を面白おかしく読む内に、言動自体は唯の相手ありきのものだと判り、一気に転落していく様子が正に地獄巡り。

ライオネル=ホワイト『気狂いピエロ』

ゴダールの映画「気狂いピエロ」の原作。

ロバート=A=ハイライン『夏への扉』

SFの古典。

ユリア=エブナー『ゴーイング・ダーク 12の過激主義組織潜入ルポ』

現代の地獄巡り。つまり、我々は既に地獄にいる、と言うのは比喩になり、過激主義者たちはカジュアルに人々の支持を取り付ける戦略を取っている。

藤原学思『Qを追う 陰謀論集団の正体』

朝日新聞記者が陰謀論Qアノンを取材した連載を書籍化したもの。

ジョナサン=ゴットシャル『ストーリーが世界を滅ぼす―物語があなたの脳を操作する』

本書は人は物語によって物事を理解する性質がある都合上、物語の影響から抜け出すことができないことを指摘したものである。物語の力が陰謀論を生み出しているのではないのか?そういった疑念を持ち、本書を手に取った次第である。

綿野恵太『みんな政治でバカになる』

脳内には「直観システム」と「推論システム」という異なる認知システムがあり、更に様々なバイアスがあるため、政治的にバカな発言をしてしまうという。本書は吉本隆明や認知科学や進化心理学等を参照した評論である。

2022年の漫画

2022年に読んだ漫画は以下の通りになる。
こうやって並べるとファンタジーが多いと思う。

猪熊ことり『婚活バトルフィールド37』1~2巻

トイアンナ氏がTwitterで勧めていたことをきっかけに読んだ。題名や表紙が良い。題名の通り、婚活が物語の軸になっている。身につまされることがあるものの、主人公のユーモアやたくましさが読んでいて清々しい。

アサイ『木根さんの1人でキネマ』 9巻

8巻は裁判映画、シン・エヴェンゲリヲン劇場版、ハリー・ポッターシリーズ等が話題になる。

絹田村子『数学であそぼ。』1~8巻

京都の名門、吉田大学理学部に入学した驚異の記憶力を持つ秀才の横辺は、大学の高度な数学を理解できず挫折、留年の果てに友人たちの協力を得て数学に向き合って行く。本編では大学院に進学するところまで進んでいる。主人公の数学に悪戦苦闘する様子が面白い。また、同級生たちが鋭いツッコミや失敗が面白い。同級生の世見子の恋愛話が割りと好き。

川原正敏(原作)、甲斐とうしろう(漫画)『修羅の紋』4~5巻

オーリンの試練を終えたムツ。仲間とはぐれて傭兵国家スッパァレタに辿り着く。ムツとファングとビミは入隊試験を受け、兵たちとの戦いを始める…初読した際はちょっとスベってないかと思ったものの、陸奥の業と性格を絡めて面白くなっている。

山田鐘人(原作)、アベツカサ(漫画) 『葬送のフリーレン』7~9巻

主に魔法使いの一級試験の終盤、一級魔法使いゲナウとメトーデとの北部高原の魔族討伐、七崩賢の黄金郷のマハトとの戦いが描かれる。一級試験で出会ったゲナウ、メトーデ、エーデル、デンケンが再登場。その他の単話もしみじみ良い。

wako『サチコと神ねこ様』7巻

サチコの検診と子宮筋腫の発覚、産婦人科医冨岡先生が登場。また、サチコを心配する神ねこ様が尾崎を訪ね、神様になった経緯が明かされる。

藤本タツキ『ルックバック』『さよなら絵梨』

短編。今更読んで衝撃を受けた。未読の人はまず『ルックバック』から読んで欲しい。

三浦建太郎『ベルセルク』40~41巻

作者の死後、作品が継続されることになった。今後も続刊を楽しみに待ちたい。

サライネス『ストロベリー』

サライネスの旧作を読む。完結済み。

ナガノ『MOGUMOGU食べ歩きくま』1巻

Twitterで公開され、アニメも放送されている『ちいかわ』にハマっている。そこで、その他の作品を読もうと思い、本書を手に取った。自分で作った弁当を山頂で食べたいと思い、二度目の高尾山の登頂を目指すあたり、非常に凝り性な作者だと思った。

サライネス『誰も知らんがな』1巻

サライネスの最新作。東京の高級ホテルで働いていた主人公が実家の旅館を継ぐ話。やはり、作者が描くどこか気の抜けたユーモアは唯一無二だと思う。

松尾諭(原作)、勝田文(漫画)『拾われた男』上下巻

松尾諭の自伝『拾われた男』の勝田文による漫画。完結済み。松尾諭が事務所に所属する経緯の偶然さ等に驚嘆した。また、兄との関係等、皆、色々と背負って生きているのだとしみじみと判る。なお、私は勝田文の作品がとても好きなので今後も新作を待ちたいと思っている。

カミムラ晋作『黒と誠~本の雑誌を創った男たち~』1巻

本の雑誌社の創立等に関わった椎名誠と目黒考二を主人公にした漫画。椎名誠の自伝的作品等で本の雑誌社の創立等に関してざっくりと把握していたものの、本書は椎名誠や目黒考二の著書や取材を下に、二人の出会いやその後の関係性が明らかにされていて面白い。

岩本ナオ『マロニエ王国の七人の騎士』7巻

七人の騎士の一人ハラペコと料理人コレットの運命や如何に。また、宰相の甥であるジャスティス君の成長が嬉しい。今後、七人の騎士の一人である獣使いが再登場するのだろうか?

2022年12月11日/聖獣の撃破

『DARK SOULS REMASTERED』をプレイしている。DLCエリアをプレイするにあたり、武器の入手や強化をすることにした。まず、クラーグの魔剣を作った。攻撃時のエフェクトが格好良い。実用面ではうごめく腐肉(スライム)を倒す時にしか使用していない。また、脳筋ビルドのため、デーモンの大斧、古龍の大剣、竜王の大斧の強化を開始した。しかしながら、どれも重くて使える気がしない。デーモンの大斧を最大強化したものの、古竜の大剣と竜王の大斧を適当に強化していたら、強化に必要な竜のウロコが足りなくなったので、当座は古竜の大剣を最大強化を目指して、飛竜の谷の雷の飛竜を倒して行こうと思う。また、最初の火の炉に入り、黒騎士の大剣を手に入れたものの、黒騎士の大斧と黒騎士の斧槍が手に入らない。そういえばスモウハンマーも使ってみたいんだよな…等と考えていたら、作業に飽きてしまう心配が出て来たため、DLCエリアに入り、2022年12月11日、霊廟の聖獣と戦う。ツヴァイヘンダー両手持ちで挑んだ。正直、動画で攻撃パターンを把握していたこともあり、尻尾切りを含めて初見で倒すことに成功した。もしかして、この調子だとボス自体は楽に倒して行けるのではないかと調子に乗りつつ、冷静に戦闘を振り返ると、聖獣の斜め過りの光弾に被弾しており、トリッキーな動きには対応できた訳ではない。勝因は広いエリアで聖獣の攻撃毎に間があったためだと思われる。

ジョナサン=ゴットシャル「ストーリーが世界を滅ぼす―物語があなたの脳を操作する」を読んだ。物語の力といった場合、大抵は良い面を指すものと思われるが、昨今の世の中は正に物語の力によって陰謀論ははびこっているように思える。切り取られた文脈、加工の有無も不明な画像からの憶測からの論理の飛躍、SNS上で良く見掛ける風景ではある。こういったものを見るたびに高校生の時、国語の教師から国語力とは、与えられた文脈等から物語を創造する力であり、根拠の無い憶測から物語を作り出すことは妄想でしか無いと言う趣旨の指摘を思い出す。しかし、いざ、小説等について人と話して見ると、物語は自由に解釈して良いと思っていることが多く、誤読も多い。もちろん、解釈の余地が残されている部分もあろうが、フィクションでも一定の方向性や筋を理解する必要はあるだろう。また、陰謀論はまるでフィクションを解釈するように現実を扱ってしまっているのではないかと思う。さて、本書は人は物語によって物事を理解する性質がある都合上、物語の影響から抜け出すことができないことを指摘したものである。特にプラトンの「国家」が引用されており、詩人(物語の語り手)の影響を排し、また利用していたことが語られる。そんなことはすっかり忘れており、改めて新訳の「国家」でも読んでみようかと思った。また、映画、小説、漫画、ゲームを嗜み、現実逃避を図る自分は一体何なのだろうと改めて考えることになった。なお、答えは出ていない。

DARK SOULS REMASTERED - Switch

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2022年12月3日/絵画と匿名掲示板

『DARK SOULS REMASTERED』をプレイしている。北の不死院に赴き、はぐれデーモンを倒す。また、今までスルーしていた飛竜の谷を赴き、ドラゴンゾンビを倒す。そして、エレーミアス絵画世界に入る。鬱血亡者を倒して猛毒に掛かり、あっという間に毒紫の花苔玉のストックを消失した。途中から槍などで攻撃して難を逃れた。空から落ちて来たベルカの鴉人を幸運なことに苦戦せずに倒すことができた。結ばれた亡者はちまちま殺したが、篝火でのセーブ後でリボーンした。地下の車輪スケルトンに何度も削り殺された。また、地下で初めて侵入された。侵入者はバックスタブを取ろうとしていたが、こちらは慌ててローリングを連発、スタミナが切れて動きが止まったところであっさり殺された。黄の王ジェレマイアは火球と鞭でしばかれたものの、混沌の嵐が偶然当たらず、連撃で倒した。そして2022年12月3日、半竜プリシラを倒す。透明になった半竜プリシラの居場所が判らず、適当に剣を振り回すことになった。幸運なことに尻尾切りに成功、プリシラの短剣を手に入れた。

藤原学思「Qを追う」を読んだ。朝日新聞記者が陰謀論Qアノンを取材した連載を書籍化したもの。本書でも言及されている論座の清義明の連載も参考になるだろう。Qアノンは日本発の匿名掲示板文化、本書ではちゃんカルチャーと呼ばれている、と切っても切れない関係にある。本書を読むと、Qの可能性が高いとされているロン=ワトキンスは自らが世間に影響力を持つために匿名掲示板の運営をしていたことがよく判る。

2022年11月27日/混沌

『DARK SOULS REMASTERED』をプレイしている。2022年11月26日にデーモン遺跡に入り、爛れ続けるもの、デーモンの炎司祭、百足のデーモンを倒す。2022年11月27日に混沌の廃都イザリスに入り、ジークマイヤーと共闘する。また、亡者化した太陽の騎士ソラールとトゲの騎士カークも倒す。そして、延々と挑戦を続け、混沌の苗床を倒した。その後、イザリスで手に入れた太陽虫を使用して地下墓地と巨人墓場にてアイテム回収と鍛冶屋バモスのイベントを終える。また、灰の湖に赴き、ジークマイヤーの死を見届け、大樹のうつろのアイテム回収を行い、城下不死教区にてレアが死んだらしいことを知る。今回は混沌の苗床に勝機が見出だせず、かなり苦戦した。また、ぼんやりと把握していたものの、NPCたちの最後に救いが無い。火継の祭祀場に残るのがペトルス、ハッチ、グリッグスとは…人は大志を抱かないほうが生き残るのかもしれない。

HUNTER×HUNTERの連載を再開を機にジャンプを購読している。また、単行本を最初から読み直したところ、カキンはゴンがグリードアイランドを攻略後、アカンパニーを使用してカイトと再開を果たした場所だった。また、カミムラ晋作「黒と誠 ~本の雑誌を創った男たち~」第1巻と猪熊ことり「婚活バトルフィールド37」第2巻を読む。「黒と誠」は本の雑誌を作った椎名誠と目黒考二が主人公の漫画である。「婚活バトルフィールド37」は青島の笑顔が全部持っていったと言いたいところだが、主人公の「セックスレスで5人も子どもできるんだ……」から始まる誰もが一度は考える「あの時もしも~していたら」も捨て難い。

仕事の合間に喫茶店に赴いたところ、2店連続でKeith Jarrett「The Melody At Night, With You」が流れていた。日中の間の空いた時間に丁度良い音楽ということなのだろう。音の間の余韻に浸る。

2022年11月3日/積まれたものたち

将来やら何やらを考えた時、残された時間は有効に、自分の好きなことを優先すべきなのだろうと思うものの、実際のところ、無駄に浪費していくばかり、とにかく思った時にやるべきなのだと自分を諭しつつ、落ち着いた時に等と先送りしてしまう。また、流行に気を取られて、知らぬ間にやるべきことを見失ってしまう。年齢的な問題なのか、継続して物事に取り組む意欲の低下を感じなくも無い。概して仕事に労力が割かれることが問題だと思うのだが、仕事を辞める金銭的余裕はあるはずがない。

「シン・ウルトラマン」を観るにあたって視聴を開始した「ウルトラマン」と「ウルトラQ」を8月に観終える。「シン・ウルトラマン」の元ネタを参照するのではあれば、「ウルトラマン」だけでなく「ウルトラQ」も観る必要があった。ただし、「ウルトラQ」の話の順序は一部を除き、オムニバス形式なので、適当な順番で観ても問題無いと思われる。
「ウルトラマン」にしろ「シン・ウルトラマン」にしろ、生命を授受するシーンがある。生命を取り扱う、それは神の所業であり、ウルトラマンという宇宙人が神に相当することが判る。巨大なものが神足り得るという発想はどこからと考えると、仏像等をすぐに連想できる。そういえば、「風の谷のナウシカ」に登場する人型の巨大兵器は巨神兵として神の名が与えられている。また、ゴジラもその名称の由来は島の伝説であり、英語表記ではGODZILLAと神の名が与えられている。
ゴジラといえば、最近、ゴジラ第一作の脚本家である香山滋の小説「ゴジラ」を手に入れた。これを機にマイケル=クライトン「ジュラシック・パーク」、アニメ版「GODZILLA」のノベライズ、円城塔「ゴジラ S.P<シンギュラポイント>」を一気読みする計画がある。なお、「ゴジラ S.P<シンギュラポイント>」のアニメは観ていない。

以前、ひたすら表示されるインターネット広告の誘惑に負け、暗殺者を描いた「ファブル」を読んだ。そして、その後に岡田准一主演が主演する実写版「ファブル」の第1作と第2作を観た。映画は見せ場を作る必要があるためか、大立ち回りがあり、暗殺者である主人公の存在が露見するだろうというツッコミを入れたくなる。しかし、それも含めて主人公の存在が現代には目立ち過ぎて扱いに困るという証明になっていると好意的に解釈することもできるかもしれない。

フロムソフトウェアの「ダークソウル リマスタード」をプレイしている。昨年、プレイしていたものの、センの古城を攻略中に放置していた。現在は改めてプレイを再開、王の器にソウルを集めるところまでに至った。果たして年内にクリアできるのかと思う。そもそもエルデンリングに興味を持ち、ダークソウルのプレイをしていたのだが…そして、パソコンやスマホには、クリアしていない「Fallout4」や「ファイナルファンタジー4」、「ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争」もある。
テレビゲームといえば、RTA(リアルタイムアタック)の動画や配信が面白い。以前にも言及した通り「RTA in Japan」、最近では「JAWS PLAYERS」の配信を観た。

ナガノの「ちいかわ」を楽しんでいる。現在はちいかわの友人であるハチワレがキメラ化するのではないかと考えている。これについては改めて検証する記事を書くかもしれない。

たまたま時間があり、神田古本祭に赴いたものの、自宅やスマホに読むべき本が積まれていることを思い出し、何も買わずに帰宅した。

web小説の読書記録

昨今、SNS広告から小説家になろう等を原作とする漫画を途中まで読み、その後に小説家になろう等で原作を読むことが多くなった。以下は読んで記憶していた作品となる。

花黒子『駆除人』

清掃業者が異世界に転生してモンスターを駆除をした結果、効率の良いレベル上げをしてしまったという作品。現代世界のルールをゲームの世界に持ち込んだらという視点が面白い。私が読んだ3年前は連載中だったものの、既に完結していた。


シロヒ『陛下、心の声がだだ漏れです!』

心が読める南国のお姫様が政略結婚した冷酷な皇帝は実はお姫様のことが大好きだったという話。比較的コンパクトな作品で読みやすい。


羽々音色『異世界還りのおっさんは終末世界で無双する』

『羽々音色「異世界還りのおっさんは終末世界で無双する」小説家になろう - みんなのための小説投稿サイト』
魔王を倒してウンザリしていた異世界から帰還したら地球上にゾンビが発生していたサバイバルな話。おそらく異世界の影響等がポイントになると思われるのだが、ソンビの発生原因も明らかになっておらず、まだ読みどころがある。


サイトウアユム『アラフォーおっさんはスローライフの夢を見るか?』

異世界に若い身体で転生したおっさんがダンジョンを探索する話。転生した女子高生の仲間とのボケとツッコミが延々と続く等、割りと面白いと同時に本当に延々と続いて飽きることもある。ハーレムものでもある。また、通常のスキルの他、七悪という設定があり、物語と戦闘を盛り上げている。

2022年9月17日/仕事、登山、小説、漫画、創作

同僚たちが体調を崩した。その結果、業務量が増え、身動きが取れなくなった。タイミング悪くクレームも発生した。よくあることだとはいえ、精神的に堪える。休日に仕事をするべきと思いつつ、現実逃避に眠り続けて1日を潰した。背徳感と罪悪感の中で、生きることの困難さを思う。ただ普通に日々をやり過ごすこと、これがなかなか難しい。心と身体は簡単に大きく振れてしまう。単調な毎日は無く、微妙な変化に応対しなければならない。こんなに生きるのって難しくて面倒臭いって誰か教えてくれました?と言いたくなるものの、別に誰から教わるものでもなし、社会とは面倒と困難の集積である。

7月、思うところがあり友人と山と渓谷に出向いた。まず、一般的な装備を整え、高尾山に登った。その後、山梨県の西沢渓谷に登った。高尾山は2度目の登頂となる。西沢渓谷では軽装の観光客や小さな子供を見掛けて驚くことになった。帰りに西沢渓谷の入口にあるこんにゃく屋に寄り、試食して美味かったわさび醤油で食べるこんにゃくを購入した。

ライオネル=ホワイト「気狂いピエロ」を読んだ。本書はゴダールの映画「気狂いピエロ」の原作となる。原題は「Obsession」となり、「妄執」や「強迫観念」を意味する。そういえば最近ゴダールが亡くなったというニュースを読んだ。晩年はスイスで過ごし、自殺幇助により92歳で亡くなったという。

ロバート=A=ハイライン「夏への扉」を読んだ。これは実家から持ってきて長らく放置していたものだ。購入者である姉によれば邦訳が良くないとのことだったが、調べてみたところ、福島正実の邦訳は名訳と評価されていた。

本を読む気にならず、漫画ばかり読んでいる。

藤本タツキ「ルックバック」「さよなら絵梨」を読んだ。「ルックバック」の面白さ、完成度の高さに驚かされた。一方「さよなら絵梨」は少し精神的にしんどいというか手に余った。2つの作品を読んで、理屈が通った作品を評価したがる自分の傾向を認識した。

川原正敏・甲斐とうしろう「修羅の紋」5巻を読んだ。これは相性だと思うのだが、ギャグについていけなかった。

三浦健太郎「ベルセルク」40〜41巻を読んだ。作者が亡くなったことは悲しいものの、今後の連載の継続を喜びたい。

尊い気持ち?を学びたいと思い、以前Twitterの広告で知って途中まで読んでいた高瀬わか「かわいすぎる男子がお家で待っています」を読んだ。レオとハルちゃんの恋愛、主にハルちゃんの成長が描かれる。

その後、Twitterの広告で表示された柳井わかな「シンデレラ クロゼット」も読んだ。女装の麗人によって成長する大学生と、そんな大学生に恋をした女装の麗人の恋愛と成長が描かれる。

更に、Twitterの広告で表示された水埜なつ(漫画)三沢ケイ(原作)「「きみを愛する気はない」と言った次期公爵様がなぜか溺愛してきます」を読んだ。次期公爵とその妻の恋愛が描かれる。

正直、Twitterの広告の影響で作品を読んで行く様は面白くない。そして、更に大抵、なろう系小説等もTwitterの広告で知ることが多い。シロヒ「陛下、心の声がだだ漏れです!」もそうだ。ただし、「小説家になろう」で公開されたものを読んだ。実は「小説家になろう」やその系統の作品は割と読んでいるものの、途中で飽きてしまい、何をどこまで読んだのかわからなくなっているところがある。

サライネス「ストロベリー」を読む。もう飽きたかと思ったが、著者の作品は面白いと思う。

アベツカサ(作画)山田鐘人(原作)「葬送のフリーレン」9巻を読んだ。淡々と静かに進む面白さがある。今回は続刊に跨ぐ長いエピソードになるためなのか、思い切った?ギャグが入っていた。

友人に勧められて創作をしてみた。実は昨年の終わり頃から創作に取り掛かっていた。しかしながら、すぐに行き詰まって放置していた。とりあえず、何か書いてみるかと、ワンアイデアで適当に書いてみたものの、力不足でSFならではのギミックを入れることが出来なかったと思う。

2022年7月24日/偶然の一致

外出するにあたり、途中まで読み進めていたアイリス=オーウェンス著、渡辺佐智江 訳『アフター・クロード』を持ち出し、改めて冒頭から読んだ。本書は国書刊行会の「ドーキー・アーカイヴ」シリーズの第7回配本作品となり、本の惹句は以下の通り最高だ。

「捨ててやった、クロードを。あのフランス人のドブネズミ」
あらゆるものに牙を剥き、すべての人間を敵に回す
わきまえない女ハリエットの地獄めぐりが今始まる……
40年のときを超えて現代を撃つ、孤高の問題作!

電車の中で『アフター・クロード』を読み始めたところ、キレの良い文章に興が乗った上、遠出だったこともあり、行きの電車の中で半分以上を読み終えた。帰りの電車はさすがに疲れがあり、うたた寝したり、スマホを眺めたりしていたところ、Instagramにて菊地成孔の新バンド「ラディカルな意志のスタイルズ」の発表を知った。

www.instagram.com
帰宅後、『アフター・クロード』を読み終えた。わきまえない女ハリエットの物語の終わりに困惑と苦々しい思いを抱きつつ、おそらく何度か読んだ若島正の解説をもう一度読んだ。解説はスーザン=ソンタグの日記『私は生まれなおしている―日記とノート1947-1963』を読んでいたところ、若島正が関心を持っていたアイリス=オーウェンスの名前を発見して驚いたという偶然の一致から始まる。そして、アイリス=オーウェンスの『アフター・クロード』はスーザン=ソンタグが『反解釈』を刊行した出版社と同じとなり、アイリス=オーウェンスが出版社の創業者とソリが合わずに二作目を別の出版社で刊行した一方、スーザン=ソンタグは出版社の創業者に気に入られて『反解釈』で成功したという、ちょっとしたエピソードが語られる。

特に意味の無い同じ話題を目にした1日だった。なお、恥ずかしながらスーザン=ソンタグの著作を読んだことは今まで一度も無い。

2022年7月23日/音楽の聴き方

ジョン・コルベット 著、工藤遥 訳『フリー・インプロヴィゼーション聴取の手引き』を読んだのだが、もっと早く読めば良かったと思う良書だった。フリージャズの聴き方が判らないといった話をしたばかりだった友人にAmazonのリンクを送った。フリー・インプロヴィゼーションだけでなく。音楽全般の聴き方に影響を与えてくれたと思う。

ジャズ喫茶等のような場でレコメンドされた音楽を聴く際は緊張感を持って音楽と向き合えるものの、自分でチョイスした音楽に対する聴き方はどうにも適当になる節があった。そもそも、その音楽に関して言葉にすると、演奏者等や編成を具体的にしていく方法とその演奏に関して具体的に記していく方法があると思われるのだが、Bandcampで音楽をチョイスしていくと、主に英語等の外国語ができないこともネックとなり、いまいち前者の方法が取れず、後者の精度の低い方法で音楽を聴き、結局ボンヤリとした思いしか残っていなかった。しかし、本書を読んで確実に音楽を聴く精度が上がった気がする。あと、音楽を聴くモチベーションも上がった。

それでは今はフリー・インプロヴィゼーションやフリージャズを聴きまくっているかといえばそうでもない。その後に読んだ栗原裕一郎編著『村上春樹の100曲』から手始めにTalking HeadsやThe Beach Boysを聴いている。気怠いかなと思ったものの、やはり前掲書を読んである程度に聴きどころが判っているため、面白く聴けている。