2022年7月24日/偶然の一致

外出するにあたり、途中まで読み進めていたアイリス=オーウェンス著、渡辺佐智江 訳『アフター・クロード』を持ち出し、改めて冒頭から読んだ。本書は国書刊行会の「ドーキー・アーカイヴ」シリーズの第7回配本作品となり、本の惹句は以下の通り最高だ。

「捨ててやった、クロードを。あのフランス人のドブネズミ」
あらゆるものに牙を剥き、すべての人間を敵に回す
わきまえない女ハリエットの地獄めぐりが今始まる……
40年のときを超えて現代を撃つ、孤高の問題作!

電車の中で『アフター・クロード』を読み始めたところ、キレの良い文章に興が乗った上、遠出だったこともあり、行きの電車の中で半分以上を読み終えた。帰りの電車はさすがに疲れがあり、うたた寝したり、スマホを眺めたりしていたところ、Instagramにて菊地成孔の新バンド「ラディカルな意志のスタイルズ」の発表を知った。

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帰宅後、『アフター・クロード』を読み終えた。わきまえない女ハリエットの物語の終わりに困惑と苦々しい思いを抱きつつ、おそらく何度か読んだ若島正の解説をもう一度読んだ。解説はスーザン=ソンタグの日記『私は生まれなおしている―日記とノート1947-1963』を読んでいたところ、若島正が関心を持っていたアイリス=オーウェンスの名前を発見して驚いたという偶然の一致から始まる。そして、アイリス=オーウェンスの『アフター・クロード』はスーザン=ソンタグが『反解釈』を刊行した出版社と同じとなり、アイリス=オーウェンスが出版社の創業者とソリが合わずに二作目を別の出版社で刊行した一方、スーザン=ソンタグは出版社の創業者に気に入られて『反解釈』で成功したという、ちょっとしたエピソードが語られる。

特に意味の無い同じ話題を目にした1日だった。なお、恥ずかしながらスーザン=ソンタグの著作を読んだことは今まで一度も無い。