プーチンのユートピア

ピーター=ポマランツェフ著、池田年穂訳『プーチンのユートピア 21世紀ロシアとプロパガンダ』を読んだ。
原題は「Nothing is True and Everything is Possible」となり、本書では「みんな嘘だし、何でもありさ」と訳されている。

2021年1月にロシアの野党主導者であるアレクセイ=ナリヌワイがプーチン宮殿に関する動画を公開した。


プーチン宮殿で思い出したのは「億万長者サッカークラブ」で知ったロシアの新興財閥を指すオルガリヒであった。


なお、その後にアレクセイ=ナリヌワイはロシアに戻り、刑務所に収監されることになったが、2021年10月20日、EU議会は人権分野の活動を称えるサハロフ賞を授与した。
www.europarl.europa.eu


SNS上でポピュリズムに関する文献一覧を知り、書籍を吟味していたところ、本書を推薦している歴史家のティモシー=スナイダーを知った。
www.tkfd.or.jp


上記の経緯のなか、SNSで本書を知り、ポピュリズムに関する書籍と共に本書を手に取ることになった。
本書の概略は出版社の特設サイトを読むと良い。
www.keio-up.co.jp


ロシアの政治に関して考える時、思い出すのは以下の記事のことである。
bullotus.hatenablog.com
なお、上記番組の概要は以下の通りである。
www.nhk.or.jp


結果的に民主主義を確立するまでの代替としてのプーチンは民主主義に取って代わってしまったようである。上述の野党の主導者であるナリヌワイは法を逸脱する権力を持ったプーチンを前に活動することもままならない。ここで得る教訓は、判りきったことであるが長期的に権力を手に入れた者は腐敗することである。そして、ここが特に大事だと思われるが、有能なリーダーであっても民主的な手続きを経ずにその権力を得たり、維持したりした場合、その権力を民主的に取り上げる仕組みが必要であるということである。この点に関しては権力者の取り巻き等の良識が問われる部分もあると思われる。少なくとも、現在のロシアはプーチンによって、プーチンに権力が集中し、その他の選択肢が台頭する余地がなくなっている。
例えば、その実例として、以下の記事はかなり強烈な印象を受けるのでは無いだろうか?
wired.jp

『人生ミスっても自殺しないで、旅』

諸隈元著『人生ミスっても自殺しないで、旅』を読んだ。

私が著者を知ったのはつい最近のことだ。Twitterで諸隈元シュタインを名乗り、ヴィトゲンシュタインに関して詳細に綴っていた。アカウント名から胡散臭い印象を抱いたものの、その内容はヴィトゲンシュタインに並々ならぬ興味が無ければ知り得ないものであった。そんな著者が初の著書である本書を発表するという。興味を惹く題名に刊行直後に本書を手に取った。

本書でも呼称に関して言及されているが、ヴィトゲンシュタインとタイプするとウィトゲンシュタインがサジェストされる。本書はヴィトゲンシュタインという呼称に拘っているのだが、私が学生時代にヴィトゲンシュタインを知った時、果たしてヴィトゲンシュタインとして知ったのか、ウィトゲンシュタインとして知ったのかは憶えていない。当時、分析哲学に興味を持ち、ヴィトゲンシュタインの「論理哲学論考」を読んだ。私は特に入門書等を読むこと無く「論理哲学論考」に挑んだ。無謀なことだが当時は割とよくしていたことだった。最後まで読み切ることはできたものの、難解さと数学や記号論理学の素養が無いことを理由に分析哲学に対する興味を失ってしまった。本書の読了後、著者とTwitterでやり取りをした上で、過去のツイートを確認したところ、「論理哲学論考」を読んでその後に全くヴィトゲンシュタインに手を付けなくなることはよくあることだと知った。私は正に初学者の失敗をしていた訳である。なお、著者によれば、ヴィトゲンシュタインの入門書は野矢茂樹と古田徹也の著作が良いとのことである。ちなみに大学の哲学科の教授や講師は分析哲学の話を振ると割とつまらなそうなリアクションをすることが多かったと思う。なお、西田幾多郎を専門とする教授が京都大学の哲学科は分析哲学の牙城となっていると話していた(10年以上前の話である)。

著者はヴィトゲンシュタインを私淑しており、大学卒業後、アルバイトをしながら、ヴィトゲンシュタインの「論理哲学論考」を小説にすることに打ち込む。小説を書き始めて3年目の日記には二十代をヴィトゲンシュタインに賭け、結果がでなかったら「自殺しよう」と記していたという。7年を費やして書き上げた「完全小説論考」は文芸誌の新人賞の二次選考を通過するも落選してしまう。そして、お先真暗の中、著者は欧州へ独り旅に出る。本書はその旅の記録である。

著者の欧州独り旅は自殺への期待が仄めかされており、死に場所を探す旅であることが示唆される。しかしながら、自殺への思いや著者の思いは瞬く間に移ろって行く。過去を振り返って書かれているため、旅の工程も前後していく。度々表れる文末の「~である。では無い」の両論併記はベケットの文体を模したというが、考えと感情の瞬く変遷と矛盾なのだろう。読んでいる私は何も理解できなくなり、さて困ったと思いながら、理解しなくても良いかと開き直り、著者の旅を追った。よくよく考えてみると、若い旅人の足跡を追うのは沢木耕太郎の「深夜特急」以来だったのではなかろうか?

著者はその後に文芸誌の新人賞を受賞し、現在は法律事務所のアルバイトをしながら執筆活動を続けているとのことである。

本書はKindleで刊行されていなかったため、本屋に赴いて購入したが、本のデザイン等も良く、今までKindleで済ませていたことに損をしたような気持ちになった。

タイタンの妖女

カート=ヴォネガット=ジュニア著、浅倉久志訳『タイタンの妖女』を読んだ。

訳者の新装版の刊行に寄せてにでも触られているが、10年以上前に爆笑問題の太田光が本書をテレビ番組で勧めていた。おそらくこれが本書を読んだきっかけになる。このタイミングで読んだ理由はKindleでセールされていたからだ。過去に著者のスラップスティックを読んでいるようだが意味の無い感想しか残っていなかった。なお、私は著者をSF作家として認識していたものの、訳者の解説によれば、戦争小説である「スローターハウス5」を以てアメリカ文学の代表的な作家として知られているとのことである。

本書は滑稽小説や風刺小説になるのだろう、登場人物たちは割と適当な設定で訳も判らず地球、月、火星、時間等曲率漏斗(クロノ・シンクラスティック・インファンディブラム)を行き来する。そして、最後に登場人物たちの運命を左右した理由が明かされる。なお、爆笑問題の太田光は本書を勧めるにあたり、この理由を概ね説明していた。そのため、その理由が明かされた時に驚きや新鮮さは無く、若干興が削がれた気がする。おそらく、知らない方がそれなりに楽しると思うのでここでは詳細に触れない。

本書の適当な設定を読み進めるのは苦痛ではあった。しかし、その適当な設定も、本書の最後に示される理由に鑑みると、ある目的を達成するための急ごしらえのものと捉えれば、本書が滑稽小説に落ち着くことも理解できる。災害や戦争の実態を調べた時、その悲惨さと比較して浅薄で安易な判断が幾度も決定されていることに、悲劇性よりも喜劇性を見出すのはよくあることだ。

2021年9月の音楽

Cleo Sol『Mother』

令和3年9月はCleo Sol『Mother』のみしか購入して聴いたものは無かった。9月のbandcampFridayに合わせて楽曲を購入しようと考えていたものの、結局週末の疲労に見舞われ、購入に至らなかった。そんな中、Twitterで絶賛されていたCleo Sol『Mother』はその素晴らしさに勢い購入しており、結果的に集中的に聴くことになった。タイムラインのリンク先をクリックして流れ始めたのは7トラック目の「 Don't Let It Go To Your Head」…アコースティック・ミニマリズム・スロー、ローファイヒップホップ的と言って良いのかは不明だが、音に身を任せて安寧を得てしまった。今となっては何度も聴いてその感慨を得ることは叶わない。そして、それはそれで構わないことだと思う。

2021年8月の音楽

Shuta Hiraki『絹雲 Cirrus』


Shuta Hiraki『Fossils And Vein』


Emma-Jean Thackray『Yellow』

2021年7月の音楽

HIROSHI MINAMI,KAZUKI ISHIUCHI『LIGHT LAYER』


Amaro Freitas『Sankofa』


Akihiko Matsumoto『Akihiko Matsumoto Ambient / Noise Works for YouTube』


Akihiko Matsumoto『Akihiko Matsumoto Works for Wave/Hardwave』


Sam Prekop『In Away』

映画/2017年~2021年7月

長い間、本ブログの映画鑑賞等の記録を放置していた。そのため、読書記録と同様、記録と記憶を基に更新しようと思う。
映像に関する記録は2017年からメモを残していたが近年はメモにも残しておらず、記憶を頼りにするしかない…と思ったが商品履歴等から概ね判った。


会社の同僚から勧められて観たと記憶している。ジャック=ライアンシリーズをきちんと観たことや読んだことは無い。


同前。ベトナム戦争を描いた作品。


同前。実はプライベート・ライアンはきちんと観たことが無かった。


非常に面白いと話題になっていた内田けんじ監督作品を観た。確かに面白かった。


本作は映画館で観たと記憶している。とりあえず終わって良かった。


ダーティハリー [Blu-ray]

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ダーティハリーシリーズ。主人公のハリー=キャラハンが銃を撃ちまくる話だという勝手は思い込みがあった。しかしながらハリーは常に筋を通していた。


ジョジョの奇妙な冒険第4部の実写版。割と楽しく観た。


オデッセイ [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

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火星に取り残された宇宙飛行士のサバイバル。非常に面白かった。原作も読みたいと思った。ジャガイモが重要。


おそらく小学生の頃、夜にテレビで一部を観た記憶が残っている。同時に家族の夕食が不穏だった記憶と結びついてもいる。結末を知ると、割と虚しい作品であった。


いきなり暴力団の情勢の解説から始まる古臭さだが昭和の雰囲気を出すための演出と思われる。ダサさも含めて面白い。続編も公開するらしい。


マイケル=マン監督作品を同僚の勧めで観たと思われる。「Heat」は銃撃戦が最高だが結末がむなしい。「コラテラル」はトム=クルーズが暗殺者をクールに演じている。


実写版。本作は会社の女性の同僚と映画館で観たと記憶している。もちろん女性の同僚とその後に進展は無かった。また、その後にデートを誘ったものの断られた。それはさておき、きちんと現代版にリメイクされており、気持ちの良い映画となっている。ウィル=スミスのジーニーは最高であった。


タクシードライバー [Blu-ray]

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  • ロバート・デ・ニーロ
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おそらく「ジョーカー」が影響を受けている作品として挙げられていたために観たのだと思う。面白いのだが非常に辛い作品であった。


ファイト・クラブ [Blu-ray]

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  • エドワード・ノートン
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おそらく原作を読んだ後に観たのだと思われる。これで二度目の鑑賞になると思われる。やはり面白かった。


映画館で観た。ジョーカーというキャラクターとパズルのような謎解きの要素によって現代の諸問題をそのまま反映させることに成功した作品になるのだろうか?経済さえ良ければジョーカーは誕生しなかったのではないかというパズルを無視した感想を持った私はつまらないと思う。


コメディ。面白かった。


モンスターバースシリーズ。面白かった。


エドワード=スノーデン関連の著作を読み終えた後、スノーデンからリークを受けていたローラ=ポイトラス監督の作品を観た。


ゴジラであったにも関わらず映画館で観なかった作品。平成ゴジラシリーズの影響が結構あるのが意外でかなり楽しめた。


シナモンロールが食べたくなる映画第一位。


もたいまさこ演じるさくらが奇妙である。さくらはゴドーなのか等と考えたが、意味は無いのかもしれない。


上記2作を含めて荻上直子監督作品となる。上記2作と異なり、本作は物語の枠組みがしっかりとした作品であった。



ぼんやりとしか観てない。


映画館で観た。非常に良かった。


言語聴覚士の存在は仕事で介護施設に出入りをするようになってから知った職業である。非常に面白かった。


バッドボーイズ [Blu-ray]

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  • マーティン・ローレンス
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バッドボーイズ 2バッド [Blu-ray]

バッドボーイズ 2バッド [Blu-ray]

  • マーティン・ローレンス
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無心になりたくて観た。特に「バッドボーイズ Ⅱバッド」が面白い、ちなみに本作を観たのは漫画「木根さんの一人でキネマ」の影響である。


ようやくマッドマックスシリーズを観終えた。なお、「北斗の拳」を読んだ後に観たと思う。


アニメ版ゴジラ。バッドエンド。でも面白かった。


ドラミング。


シン・エヴァンゲリオン劇場版:||
7月に映画館で観た。終わった。

読書/2021年1月頃~2021年7月

ブロガーのフミコフミオの著作。面白い。


トランプ関連の著作の締めとして本書を読んだ。しかし、気軽にKindleで読み始めたところ、購入後に大著であることを知り、結局読み終えるのに3ヶ月掛かった。本書を読む限り、ボルトンがホワイトハウスで仕事をしている間、日本の北朝鮮政策は概ねアメリカと連携して対応できていたようである。一方、イランに関する対応はトランプが安倍をボロカスにこき下ろしている。今後はオバマの自伝を読もうと考えている。


ジャズピアニスト南博のエッセイ。面白い。特にアイスランドでの体験の描写が素晴らしい。


森見登美彦を読むのは「四畳半神話大系」以来となる。割と幸福な話であった。俺も京都大学に入学して大学生活をやり直したいと思った。


トイアンナの著作に興味を持ち、今後の身の振り方等を考えるために読んだ。非常に実践的な話が記載されているため、読んだ方が良いと思う。


感情的にならない本 (ディスカヴァーebook選書)

感情的にならない本 (ディスカヴァーebook選書)

  • 作者:和田秀樹
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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日々の生活の中で精神の安定性に欠けるところがあると考えて本書を読む。こだわらないこと、気にしないことが大事であるという。


kotorikoこと山下泰平の講談速記本に関する大作。拳骨和尚に関する件から笑いながら読んでいた。


平野啓一郎の新作。近未来、選択的自由死を望んだ母親のVF(ヴァーチャルフィギュア)を作った主人公が亡くなった母親の本心に迫る物語。正直、ヴァーチャルフィギュアというギミック等に全く興味が持てず連載等を読むことも無かった。しかしながら、やはり、これがかなり面白い。また、主人公が母の本心に迫る一方、生活に変化が現れると共に母に対する気持ちもまた変化して行く様子が描かれている。また、様々なテーマが入り乱れて答えが出ないまま終わるところも現代的だなと思った。


kotorikoこと山下泰平の明治の簡易生活に関する新書。これも結構面白い。

読書/2019年12月頃~2021年1月頃

山形浩生がスノーデンの自伝を翻訳を刊行するに辺り参考図書を公開しており、それを参考に上記を読んだ。理由はWikiLeaks以降のリークに関する言説の最終的な帰結はエドワード=スノーデンと思われるから。スノーデンのリークの経緯を知るなら「暴露」を読むと面白いと思う。スノーデンに興味が無い人は「超監視社会」を読むと良い。


当時付き合っていた彼女の影響で読んだ。誰もがほっと楽しめるエンターテイメント作品だと思う。


元SDN48の著者が姉の勧めで57歳の男性と暮らし始める話。非常に面白い。なお、著者を知ったのは、車の外出中によく聴いているスカイロケットカンパニーの出演者である著者の双子の姉妹を経由してだと思う。


本書は非常に面白いのだが、現在の政局において、小池百合子がまだマシだと思えてしまう政治なのだという現実を直視しなければならないのが辛い。


本書の読了後、ダイエットに取り組み3kgの減量を果たすも、3ヶ月で諦めてしまい、体重が戻った。現在、6月から本書に倣ってダイエットに取り組んでいる。
本書は肥満症の治療方法に基づいおり、肥満症の治療において基本となるのは食事制限であるという。つまり、医学的には地道に食事を制限しながら運動をすることがダイエットの基本となるのだ。当たり前のことなのだが、ついつい違う方法を試しているのではないだろうか?


「サイバーセキュリティと国際政治」と上述した「超監視社会」は読んで損は無いと思う。スノーデンの自伝は上述の「暴露」や「スノーデンファイル」の間隙を概ね埋めてくれる。現在、エドワード=スノーデンはリークする以前から付き合っている女性とその子どもとロシアで暮らしている。


当時付き合っていた彼女の影響で読んだ。本書が王様のブランチで特集されていたことは憶えている。その後に本書がベストセラーになり、同番組で特集されていたような気がする。当時、俺は王様のブランチのよく観ていたのだと思う。


本書は2019年~2020年上半期までのコロナウイルスに対する日本政府の対応をまとまたものである。現在はワクチン接種も道半ばの中、東京は緊急事態宣言が発出された状況で感染者数が1,300人を越えた。一方、東京オリンピックは開催に至るようである。政府がオリンピックをしたいというメッセージは否が応でも判る、しかし、コロナウイルスの感染対策に関しては、東京に緊急事態宣言を発出しながらオリンピックを実施しようとしている時点で矛盾しており、メッセージになっていないことは明白だと思う。


小林泰三は中学生の頃に「ΑΩ」というウルトラマンとウルトラQ等を元ネタとした作品を読んで以降、手に取ることは無かった。Twitterで小林泰三が自身でレコメンドしている本書を読み終えた後、著者が亡くなっていた。お悔やみ申し上げます。


Kindleが安かったため読んだ。裁判の過程が描かれており、非常に面白かった。


平野啓一郎が提唱するスローリーディングの方法が判る本。


当時付き合っていた彼女の影響で読んだ。映画も観た。椎名誠等を結構読んだものの、群ようこの著作を読むのは初めてのこととなる。シナモンロールが食べたくなってきた。


映画「ショーシャンクの空に」の原作である「刑務所のリタ・ヘイワース」が読みたくなり購入した。スティーヴン=キングの作品を読むのは初めてとなる。非常に面白かった。そして翻訳小説は権利の関係なのか、電子書籍が少ないことに気が付いた。

読書/2019年1月頃~2019年12月頃

小川一水の大長編「天冥の標」の完結編。現代におけるパンデミックの流行が描かれた部分はⅡ巻となり、コロナウイルスの流行に伴い言及されることも多かったと思う。しかしながら、本書は十数巻でパンデミックの流行後の未来を描いており、種の存続に関して多様性と自由が必要という思想を見出すことができる。分断という言葉が流通する社会において、種や思想は多様性と自由を実践するのか、あるいは国家主義や民族主義を頼りにして細々を消えゆくのか、はたまた別の道があるのか等と思う。あと、読書を継続する一つの方法として続刊や連載中の作品を読むと良いのかもしれないと思う。


「天冥の標」を読み終えた後、読書をしていなかったと思ったのだが、漫画を経由して小説家になろうで連載されていた「駆除人」を読んでいたことを思い出した。しかも既に完結していたと勝手に思い込んでいたが連載中でもあった。小説家になろうで無料で読んでおり、お金を全く使っていないことに若干引け目を感じている。なお、その後に結構異世界転生系の話を途中まで読んだのが、本書はRPGの王道に走らないところが面白いと思った。


「天冥の標」を読み終えた後、なろう系を読む等、ちょっと読書に億劫になっていたところ、リハビリがてらに本書を読んだ。内容はほとんど憶えていないのだが、素朴で重要なやり取りが交わされていたと思う。


木澤佐登志の「ダークウェブ・アンダーグラウンド」以降、加速主義等が雑誌等で取り上げられていたように思う。私も興味を持ち、マーク=フィッシャーの各著作やニック=ランドの「暗黒の啓蒙書」を購入したものの、積読中である。なお、木澤等が関わっている「闇の自己啓発」は購入にも至っていない。実際に実生活で楽しんだのはヴェイパーウェイヴ関連の音楽だけで全く啓蒙されていないかも…まずは「ダークウェブ・アンダーグラウンド」から楽しむと良いと思う。お利口さんじゃない思想は楽しいのだと思う。


奥泉光のシリーズもので全く害の無い作品であるが、桑潟幸一准教授の貧乏振りだが生活を楽しむ様子はとても簡易生活的である。


ネットで本書の漫画版である「雪人」を数話読み、原作を読んだ。大沢在昌を読むのは初めてであったが、当然ながら面白かった。


山田風太郎の「人間臨終図鑑」をもじったバンドの解散等をまとめた本。非常に面白い。


勝田文が本書を原作にモーニングで「風太郎不戦日記」として連載を開始した影響で読んだ。なお、既に風太郎不戦日記は単行本3巻で完結している。まずは漫画から1945年の1年間を体験してはいかがだろうか?


1945年以降、日本がアメリカの実質的な植民地といわれている言説は何に由来するのか?本書によれば、日米安保条約等が日本が実質的な植民地であることを裏付け得るという。


日本を実質的な植民地とするアメリカの大統領は当時トランプであった。「炎と怒り」はホワイトハウスの混乱を面白可笑しく読むことができるだろう。そして冷や汗をかくことになる。一方、「恐怖の男」はトランプの人間性を感じることができるだろう。例えば、アメリカ軍の総司令官として殉職した兵士の家族をトランプが嘘を交えて兵士を称え励まし、本当に辛い仕事だったと呟くのである。なお、それでもトランプを支持する理由にはならなかったのだが…


なぜアメリカはクリントンではなくトランプを選んだのか?その理由はエリートである民主党の候補は一部の白人にとって全く共感や理解ができず接点が見出すことができないためだという。


アメリカを描いた作品といえば…という訳ではないが映画「ファイト・クラブ」の原作を読んだ。チャック=パラニュークの作品を読むのは本書が初めてとなる。


木澤佐登志が本書の紹介をしており読むことになった。サイバー空間、麻薬、薬局、金、殺人…非常に面白い。

官能小説を読む

ブログ上では読んだ本を一冊、もしくはシリーズや著者、テーマ等を区切って書く予定をしていたが、それが難しい状況になった。そこで以前から予定していた官能小説のみテーマ別に記録することとした。

私が官能小説を読むに至ったのは、簡単な話で日々に官能が全く無いと思った為である。読んでいた期間は2017年3月頃~2018年1月頃までである。なぜ、その後に継続して読まなかったと聞かれれば、官能を目的とするならその他に娯楽は幾らでもあるということだろうか?しかし、この回答は読書そのものに対しても言えることだ。

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読書/2017年12月頃~2018年12月頃

確か週刊文春を読んでいたら紹介されていたと思う。当時から週刊文春を購入してたまに読んでいた事実がここから確認できる。文春砲だけじゃなくコラムや本の紹介も充実している。週刊文春の話はともかく、本書をきっかけに綾辻行人の館シリーズを読み始めることとなる。本書はその後に映画化され、更に続編も出ていると聴いたが、どちらも手を出していない。


年末から3月までひたすら館シリーズを読み進めた。「暗黒館の殺人」はひたすら長いものの、その世界観にどっぷりと浸かって陰鬱な気分になれる。


柳瀬博一がラジオ番組で紹介していた。非常に評価が高く経済を語る上でよく紹介される本。別に経済に興味が無くても面白い。


平野啓一郎の「ある男」を 文學界2018年6月号で読む。単行本は購入したものの結局読んでいない。面白くはあるのだがきらびやかな話では無い。余り言語化できていないが、平野の現代を舞台にした作品は泥臭い現実に触れている。泥臭い現実にまるで興味が無いフリをして読み進める。しかし、コンクリートの上を歩いている途中から未整備のぬかるみの上を歩くように、いつしか泥の跳ねが気になってしまっている。なお、平野啓一郎は以前から海外でも活躍していたようだが、本書から英語圏で本格的にプロモーションをしているような印象がある。所属事務所の方針なのだろうか?おそらく海外の賞などの受賞も近いのではないかと思う。


いわゆる警察の警察の話。これも人間や組織のいやらしい部分を描いていてとても良い。


バッドカンパニーの続編。本当に痛快で好き。


2018年FIFAワールドカップの直前、代表監督であるハリルホジッチが解任された。ネット上ではあらゆる意見が展開された。はっきり言って何年もサッカーの試合を観ていない私も俄然興味が出てきた。そこで速水健朗が紹介していた本書を読んだという次第。その後も速水健朗が紹介していた本を読み進めた。


サッカー(スポーツ)と金と政治の話。最高に面白い。特にロシアのオルガルヒに関連するところが面白い。


ハリルホジッチが目指したサッカーを解説した本。現代のサッカーがどのような戦略と戦術でできているかが判る。


八神瑛子が帰ってきた。そして悪党どもをしばき倒す。


安田峰俊のルポルタージュ。非常に面白い。著者の作品は数冊が積んどる状態。


女性が好きな外国文学として挙げるのは、サリンジャーとリチャード=ブローティガンであるという個人的な調査の下、中学生の時に「ライ麦畑でつかまえて」を読んでうんざりしていたサリンジャーを読んだ。そして『ナイン・ストーリーズ』に収録された「バナナフィッシュにうってつけの日」に思わず柴田元幸の訳を購入して読み直す程の衝撃を受けた。全てを読む必要は無いが、『ナイン・ストーリーズ』や『フラニーとズーイ』は読んで損は無い。


既刊の館シリーズを読み終える。なお、館シリーズはあともう一作品の構想があるという…


谷甲州の「航空宇宙軍史 完全版」を読む。とにかく航空宇宙軍史は最高に面白い。更に「新・航空宇宙軍史」まであるという幸せ。

読書/2017年5月頃~2017年12月頃

日々の読書の記録をどうしようかなと思っていたのだが、最近はもっと自由に縦横無尽に記録する必要があるのかなと思い始めた。
そこで途中になって放棄していた読書記録をとりあえず現在まで更新することにした。
読書記録はブクログを使用しているものの、厳密に読み終わった日を記録している訳ではない。


「果てしなき渇き」を読んで以降、著者の作品を手に取ることが無かった。本書を口火にかなり読むことになる。特に本書は短編で手軽に読める娯楽小説となる。続編も面白い。シリーズ化希望。


当時、筒井康隆を読む気になった理由は憶えていない。戦争もの。


その後も筒井康隆を読んでいる。多重人格「的」な話。スプラッタな爽快感があった気がする。


映画が有名ではあるが観ていない。大学時代、今は音信不通となっている友人が映画に関して熱心に語っていたことを憶えている。おそらく本書を読む為に肩慣らしで筒井康隆を先に2冊読んだのだと思う。最初に筒井康隆を読んだのは中学校の本棚にあった「農協、月へ行く」だったと思う。学校で性的描写に興奮する背徳感があったような無かったような。さて、本書、夢の中に入り込む話だったと記憶しているが、主人公や相棒の男性のキャラクターのディテールは憶えているものの、その他はほとんど憶えていない。


2017年1月からトランプが大統領になった。それに際してTwitterで東浩紀が本書を紹介していたことがきっかけで読んだ。


西田亮介の著作は面白いと思う。内容は忘れた。


ミシェル=ウェルベックは初めて読んだ。フランスにイスラム教の政権ができて大学教授の主人公が右往左往するシミュレーション系の物語。


マチネの終わりには既に読んでいたが、わざわざKindleで購入して読んだらしい。平野啓一郎の作品の中では良い意味で平凡で非常に読みやすく、人に勧めやすい。


村井理子訳。著者はル・コルドン・ブルーを卒業した遅咲きの料理人兼ライター。料理教室に参加した人々の様々なエプソードと著者の考察が非常に面白い。


これより深町秋生の本を読みまくることとなる。本書は山形の女探偵の話。面白い。


八神瑛子シリーズ。最高。


ダメな狡猾なおっさんが主人公。面白い。


韓国映画の「新しき世界」のような感じ。


元暗殺者と若いヤクザのロードムービー的作品。本書は非常に面白くおすすめ。冒頭の薬剤で死体を溶かす描写でグッと引き込まれた。


あんまり覚えていない。保険金殺人事件が絡んでいた話かもしれない。


ここでようやく日本沈没を読む。どうやら「アメリカの壁」を読んだことがきっかけになるらしい。憶えているのは、日本沈没に際して日本政治のフィクサーが超優秀な人々を集めて根本から日本人の行末を考えるところ。


谷甲州が書いた日本沈没の続編。これで谷甲州を知り、航空宇宙軍史にのめり込むこととなる。


もしかしたら日本以外全部沈没を読む為に日本沈没を読んだのかもしれない。


小松左京の短編集。サイコトラベルという古めかしい言葉が出てくる。


おそらく文庫化した際に「地獄の犬たち」から「ヘルドッグス 地獄の犬たち」に改題されたと思われる。警官の潜入捜査の話となり、現在は漫画化もされている。


谷甲州の航空宇宙軍史の完全版。めちゃくちゃ面白い。Kindle版の発売が待てず、その後に文庫を全て買い直した。


ここから経済関連の本を読むようになる。その結果、たとえ不景気であっても当座は金を出す必要があり、財政再建化という考えに疑問を持つようになった。


リフレ派による医療や介護に積極的に財政を出動させて景気対策をすべしという本だったと思う。


財政再建を目指した政治の結果、割を食うのは最下層の人々という現実を描く。貧困を救うのは財政出動による景気回復なのだという話。


非常に判りやすい本だった。ただし、もう全て忘れた。でも判りやすい良い本だった。


経済の絵本。経済学者の田中秀臣がブログで推薦していた。


全く内容を憶えていない。


村井理子訳。子どもができた夫に読んで欲しい。子どもができた後の夫婦仲やライフスタイルを考えるのにとても良い本だと思う。何より面白い。


村井理子訳。「ゼロからトースターを作ってみた結果」の著者がヤギになろうとした話。イグノーベル賞受賞。


血と暴力ですっきり爽快です。

2021年5月の音楽

7月の更新となっているが、あくまで5月に聴いたものとなる。
結局パソコンが壊れて7月にパソコンを新調するまでBandcampに触る機会を逸した。
毎日シャッフル再生で改めて聞く楽曲に新鮮さを感じることもあった。

Fabio Anile『Weightless』


enso56 / obalto『Mottled Deterioration As A Tool』


enso56 / Shuta Hiraki『seashoreshesoar』


Simon Bainton『Visiting Tides』


『Pop Ambient 2008』


Claire Rousay『a softer focus』


imdkm『退屈な革命(revolution isn't sexy)』


Flying Lotus『Yasuke』

2021年4月の音楽

ノートパソコンのキーボードが使用できなくなるトラブルを迎えてゴールデンウィークに突入した。

Floating Points, Pharoah Sanders & The London Symphony Orchestra『Promises』


Ryan Van Haesendonck『Vauville』


Shuta Hiraki『Shake under the eaves』


Altus『The Sleep Theory Collection』


Chee Shimizu + miku-mari『Reconstructions』


mori_de_kurasu『Landscape』


Animal Collective『Crestone (Original Score)』