プーチンのユートピア

ピーター=ポマランツェフ著、池田年穂訳『プーチンのユートピア 21世紀ロシアとプロパガンダ』を読んだ。
原題は「Nothing is True and Everything is Possible」となり、本書では「みんな嘘だし、何でもありさ」と訳されている。

2021年1月にロシアの野党主導者であるアレクセイ=ナリヌワイがプーチン宮殿に関する動画を公開した。


プーチン宮殿で思い出したのは「億万長者サッカークラブ」で知ったロシアの新興財閥を指すオルガリヒであった。


なお、その後にアレクセイ=ナリヌワイはロシアに戻り、刑務所に収監されることになったが、2021年10月20日、EU議会は人権分野の活動を称えるサハロフ賞を授与した。
www.europarl.europa.eu


SNS上でポピュリズムに関する文献一覧を知り、書籍を吟味していたところ、本書を推薦している歴史家のティモシー=スナイダーを知った。
www.tkfd.or.jp


上記の経緯のなか、SNSで本書を知り、ポピュリズムに関する書籍と共に本書を手に取ることになった。
本書の概略は出版社の特設サイトを読むと良い。
www.keio-up.co.jp


ロシアの政治に関して考える時、思い出すのは以下の記事のことである。
bullotus.hatenablog.com
なお、上記番組の概要は以下の通りである。
www.nhk.or.jp


結果的に民主主義を確立するまでの代替としてのプーチンは民主主義に取って代わってしまったようである。上述の野党の主導者であるナリヌワイは法を逸脱する権力を持ったプーチンを前に活動することもままならない。ここで得る教訓は、判りきったことであるが長期的に権力を手に入れた者は腐敗することである。そして、ここが特に大事だと思われるが、有能なリーダーであっても民主的な手続きを経ずにその権力を得たり、維持したりした場合、その権力を民主的に取り上げる仕組みが必要であるということである。この点に関しては権力者の取り巻き等の良識が問われる部分もあると思われる。少なくとも、現在のロシアはプーチンによって、プーチンに権力が集中し、その他の選択肢が台頭する余地がなくなっている。
例えば、その実例として、以下の記事はかなり強烈な印象を受けるのでは無いだろうか?
wired.jp