読書/2019年1月頃~2019年12月頃

小川一水の大長編「天冥の標」の完結編。現代におけるパンデミックの流行が描かれた部分はⅡ巻となり、コロナウイルスの流行に伴い言及されることも多かったと思う。しかしながら、本書は十数巻でパンデミックの流行後の未来を描いており、種の存続に関して多様性と自由が必要という思想を見出すことができる。分断という言葉が流通する社会において、種や思想は多様性と自由を実践するのか、あるいは国家主義や民族主義を頼りにして細々を消えゆくのか、はたまた別の道があるのか等と思う。あと、読書を継続する一つの方法として続刊や連載中の作品を読むと良いのかもしれないと思う。


「天冥の標」を読み終えた後、読書をしていなかったと思ったのだが、漫画を経由して小説家になろうで連載されていた「駆除人」を読んでいたことを思い出した。しかも既に完結していたと勝手に思い込んでいたが連載中でもあった。小説家になろうで無料で読んでおり、お金を全く使っていないことに若干引け目を感じている。なお、その後に結構異世界転生系の話を途中まで読んだのが、本書はRPGの王道に走らないところが面白いと思った。


「天冥の標」を読み終えた後、なろう系を読む等、ちょっと読書に億劫になっていたところ、リハビリがてらに本書を読んだ。内容はほとんど憶えていないのだが、素朴で重要なやり取りが交わされていたと思う。


木澤佐登志の「ダークウェブ・アンダーグラウンド」以降、加速主義等が雑誌等で取り上げられていたように思う。私も興味を持ち、マーク=フィッシャーの各著作やニック=ランドの「暗黒の啓蒙書」を購入したものの、積読中である。なお、木澤等が関わっている「闇の自己啓発」は購入にも至っていない。実際に実生活で楽しんだのはヴェイパーウェイヴ関連の音楽だけで全く啓蒙されていないかも…まずは「ダークウェブ・アンダーグラウンド」から楽しむと良いと思う。お利口さんじゃない思想は楽しいのだと思う。


奥泉光のシリーズもので全く害の無い作品であるが、桑潟幸一准教授の貧乏振りだが生活を楽しむ様子はとても簡易生活的である。


ネットで本書の漫画版である「雪人」を数話読み、原作を読んだ。大沢在昌を読むのは初めてであったが、当然ながら面白かった。


山田風太郎の「人間臨終図鑑」をもじったバンドの解散等をまとめた本。非常に面白い。


勝田文が本書を原作にモーニングで「風太郎不戦日記」として連載を開始した影響で読んだ。なお、既に風太郎不戦日記は単行本3巻で完結している。まずは漫画から1945年の1年間を体験してはいかがだろうか?


1945年以降、日本がアメリカの実質的な植民地といわれている言説は何に由来するのか?本書によれば、日米安保条約等が日本が実質的な植民地であることを裏付け得るという。


日本を実質的な植民地とするアメリカの大統領は当時トランプであった。「炎と怒り」はホワイトハウスの混乱を面白可笑しく読むことができるだろう。そして冷や汗をかくことになる。一方、「恐怖の男」はトランプの人間性を感じることができるだろう。例えば、アメリカ軍の総司令官として殉職した兵士の家族をトランプが嘘を交えて兵士を称え励まし、本当に辛い仕事だったと呟くのである。なお、それでもトランプを支持する理由にはならなかったのだが…


なぜアメリカはクリントンではなくトランプを選んだのか?その理由はエリートである民主党の候補は一部の白人にとって全く共感や理解ができず接点が見出すことができないためだという。


アメリカを描いた作品といえば…という訳ではないが映画「ファイト・クラブ」の原作を読んだ。チャック=パラニュークの作品を読むのは本書が初めてとなる。


木澤佐登志が本書の紹介をしており読むことになった。サイバー空間、麻薬、薬局、金、殺人…非常に面白い。