シン・ゴジラ

庵野秀明監督作品「シン・ゴジラ」を観た。

3年前に映画館で2度観た。また脚本を読んだ。本記事を書く前に改めて脚本を読み、パソコンのモニターで鑑賞した。既に本作公開後、「GODZILLA」(アニメーション3部作)、更にアメリカ版ゴジラの2作目「ゴジラ キングオブモンスターズ」(2019年)が公開されている。なお、どちらも鑑賞はしていない。仕事が忙しかったのもあるのだろうが、どうにも映画館に脚を運ぶ気がならなかった。というよりここ3年程、そもそも映画館にほとんど行っていないのだった…

本作を3年前に観た時、非常に興奮したことを憶えている。エヴァンゲリオンの劇伴楽曲「EM20」とヤシオリ作戦の名称から、なるほど、エヴァの監督が作るゴジラはヤシマ作戦になるのかと膝を打った。

初代「ゴジラ」に対するオマージュやリスペクトを嬉しく思う一方、本作から思い出された作品は、舞台が東京湾と東京を舞台に繰り広げられていることもあろうが、「機動警察パトレイバー 2 the Movie」だった。
本作ではゴジラ対策のために設置された若き政治家矢口蘭堂率いる「巨大不明生物特設災害対策本部」(巨災対)の奮闘が描かれる。しかし、本作の主軸となる戦いの構図は「ゴジラVS巨災対」では無く、厳密には「ゴジラの謎を解明して失踪した牧悟郎元教授VS巨災対」である。そして矢口蘭堂の推測によれば、牧吾郎元教授はゴジラ対策のために日本に3度目の核兵器を落とすのか、牧吾郎元教授の残した謎を解いて解決するのか(「ヤシオリ作戦」)、予測していたのではないかという。この物語の構造に鑑みると、どうしても「機動警察パトレイバー 2 the Movie」を意識してしまう。

政治家や官僚、自衛隊、更にアメリカ等が一丸となって戦う姿には胸が熱くなる。一方、本作で描かれるのは、旧態依然とした日本の政治の世界やお役所仕事でもある。本作の功罪があるとすれば、旧態依然としたものがまるで新しい有効なもののように思えてしまうところではないか。現実を見れば、間違い無く日本経済と国民に大きな傷を残すであろう消費税増税が政治家や官僚の手によって実施されるのである。ここで環境省自然環境局野生生物課長補佐(後に課長代理)尾頭ヒロミの言葉を引用しよう。

「・・・・・・ゴジラより怖いのは、私たち人間ね」


本作で一番の衝撃を受けたのは、現実路線を取る政治家の赤坂秀樹が終盤に語る以下の台詞である。

「せっかく崩壊した首都と政府だ。まともに機能する形に作り替える。次の臨時政府で、巨大不明生物関連法案の成立と東京復興の目処がたてば、解散総選挙だ。都の避難民が360万人いる瀕死の日本を立て直す、新たな内閣が必要だからな」
「スクラップアンドビルドで、この国は伸し上がって来た。今度も立ち直れる」

旧態依然とした日本という国は、ゴジラのような大災害と多数の犠牲者がいなければ、作り変えることができない。一応、エクスキューズがあるものの、逆説的にそう言うのである。

その他、ゴジラが何故東京湾に出現したのか、何故東京を目指したのか、タバ作戦における武蔵小杉駅のタワマンを崩壊させたい、ゴジラの放射線流で霞が関と永田町は炎上したものの皇居の森は無事だったようだ、背中から放射線流、最初にZARAはどこは聞き漏らした、高橋一生が良く騒ぐ、エヴァ量産型も運んでいたアメリカのステルス戦闘機が格好良いけど随分高いらしいですよ等、色々思うところがあった。

以上、映画館を観た時に感じた所感である。この所感を書くために実は3年前から本作に対する批評等はほとんど観ていない。この記事を書きながら、色々と検索をしたが、既に多くのことが言及されていたようだ。

シン・ゴジラ

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シン・ゴジラ Blu-ray2枚組

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ジ・アート・オブ シン・ゴジラ

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シン・ゴジラ音楽集

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