われらが歌う時

リチャード=パワーズ著、高吉一郎訳「われらが歌う時」を読んだ。

はっきりと憶えていないのだが、2000年代後半に多くのメガノベルが発表されたと記憶している。私のメモには以下の作品が挙げられていた。

  • 平野啓一郎「決壊」
  • 鹿島田真希「ゼロの王国」
  • 古川日出男「聖家族」
  • 町田康「宿屋巡り」
  • 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日」
  • 桜庭一樹「ファミリーポートレート」
  • リチャード=パワーズ「われらが歌う時」

2000年代後半、私は大学を卒業し、会社員にはなったものの、すぐに会社を辞めて…というような経過を辿っていた。そして10年の月日を経た今、その時の心情を思い出すことも難しくなっている。

上記の作品でリアルタイムに読んだ作品は平野啓一郎「決壊」のみとなる。その後、暇があれば読もうと考えていたものの、数年が経過していたという訳である。たまたま仕事を辞めた3年前、暇にかこつけて唯一読み終えたのが「われたが歌う時」だった。
Amazonの内容紹介は以下の通り。

1961年、兄の歌声は時をさえ止めた―。亡命ユダヤ人物理学者のデイヴィッドと黒人音楽学生のディーリアは歴史的コンサートで出会い、恋に落ちた。生まれた三人の子供たち。天界の声を持つ兄ジョナ、兄の軌跡を追うピアニストの「私」、そして、空恐ろしいまでに天賦の音楽の才能を持つ末妹ルース。だが、音楽で結ばれ、あまりに美しい小宇宙を築き上げた家族は、ある悲劇を機に崩壊することになる…。妙なる音楽の調べとともに語られてゆく、30年代を起点とした過去と50年代を起点とする二つの過去。なぜ二人は恋に落ちたのか。子供たちは何を選ぶのか。通奏低音のように流れる人種問題、時間の秘密。あの日に向けて、物語は加速してゆく。巨大な知性と筆力により絶賛を浴びてきたパワーズの新境地、抜群のリーダビリティと交響曲にも似た典雅さ。聖なる家族のサーガが、いま開幕する。全米批評家協会賞最終候補作。プシュカート賞/ドス・パソス賞/W・H・スミス賞ほか受賞。

上記の通り、アメリカの歴史とある家族の歴史が描かれている。もちろん、3年前に読んだということもあり、詳細は忘れている。しかし、リチャード=パワーズの作品を読むのは初めてのことだったにも関わらず、非常に面白かったことははっきりと憶えている。

われらが歌う時 上

われらが歌う時 上

われらが歌う時 下

われらが歌う時 下