君の名は。

新海誠監督作品『君の名は。』を観た。

既に同監督の最新作「天気の子」が話題になっているなか、3年前に映画館で観た作品を記事として上げる状況に笑うしかない。なお、「天気の子」は未視聴である。

当時鑑賞した際、私は時間SF作品として楽しむことができた。また、本作を鑑賞して驚いたのはその結末である。これまで鑑賞した「秒速5センチメートル」や「言の葉の庭」は二人が出会うものの、最終的に結ばれることは無く、「ロマンチック・ラブの否定」が描かれていた(参照サイト『星を追う子ども』公式サイト/新海 誠 最新作)。

また、彗星が隕石衝突という災害として描かれていることも意外だと思った。宇宙や自然が叙情的なものとしてだけでは無く具体的な災害として表現されたのは、やはり、東日本大震災の影響なのだろうか?

登場人物たちには彗星落下という災害を回避した結果、叙情的な表現だけが残る。これによって叙情的な表現がロマンチック・ラブを否定していたというロジックである従来の作品から、叙情的な表現がロマンチック・ラブを肯定するというロジックへの転換が果たされる。「秒速5センチメートル」「言の葉の庭」が現実的な作品としてロマンチック・ラブを否定していたとするならば、本作は時間SF(フィクション)を導入することによりロマンチック・ラブを肯定したのである。

鑑賞当時は複数の友人とヒットした理由について話している。当初、私は「広告に予算が掛かっていた」「ロマンチック・ラブの否定を辞めた」「謎解きがある」がヒットの理由ではないか等と考えた。また、最終的に友人とのやり取りの中で「普通の恋愛映画であり、一般人でも楽しむ事が出来る」「時間SF作品のため、普通の恋愛映画を観ない客層にも受け入れられた」という話に落ち着いた。