2019年8月15日/愚直なドラムスと立ち尽くす中年

公共施設前の路上で立ち尽くす中年の夏。

8月半ばの午後9時過ぎの電車に乗り込むと虫取り網を座席の下に置いた少年と母親を見掛ける。そういえば休日の朝方にも公園で虫取り網を持った少年と母親が樹々を眺めていた。子どもが虫取りをしたいと言えば、虫取り網をどこかで購入し、虫取りの方法も調べ、野外に飛び出さなければならない。そんな事を考えて、自らの現状を笑う。

油汗、毛穴の黒ずみ、白いニキビ、たるんだ二の腕。知らぬ間に焼けた上腕と紺色の半袖シャツと汗染みのグラデーション…気が付けば夏の暑さに汗を流していた。

仕事で無駄足を踏み空しい。これはビジネスなのだから機会と費用の損失は埋め合わせをしなければならない、いち早く対策を講じなければならない等と言いながら、内心急ぐ事でもないと察しが付いているのは全く馬鹿げたことじゃないか?一杯の珈琲と一時間も掛からない時間で気分を変えることができそうなんだ。判るだろ?さぁ、さぁ、とりあえず、まず一杯だ。

店主が流した音楽は以下の通り。Ches Smithの愚直なドラムが気に入った。また、「Polish Jazz Vol. 4」の一曲目のピアノに耳を奪われた。

  • DAVID TORN, TIM BERNE, CHES SMITH「SUN OF GOLDFINGER」
  • The Andrzej Trzaskowski Quintet 「Polish Jazz Vol. 4」。

2019年。これは令和元年である。

絵巻物から飛び出した餓鬼。暗闇の中で弛んだ腹を叩き、鏡の前で白髪を抜く。