奥泉光の諸作品を読む

奥泉光の諸作品を読んだ。
読んだ作品の一覧は以下の通りとなる。

バナールな現象 (集英社文庫)

バナールな現象 (集英社文庫)

モーダルな事象 (本格ミステリ・マスターズ)

モーダルな事象 (本格ミステリ・マスターズ)

桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 (文春文庫)

桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 (文春文庫)

黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2 (文春文庫)

黄色い水着の謎 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活2 (文春文庫)

鳥類学者のファンタジア (集英社文庫)

鳥類学者のファンタジア (集英社文庫)

新・地底旅行

新・地底旅行

『吾輩は猫である』殺人事件 (河出文庫)

『吾輩は猫である』殺人事件 (河出文庫)

神器〈上〉―軍艦「橿原」殺人事件 (新潮文庫)

神器〈上〉―軍艦「橿原」殺人事件 (新潮文庫)

神器〈下〉―軍艦「橿原」殺人事件 (新潮文庫)

神器〈下〉―軍艦「橿原」殺人事件 (新潮文庫)

虫樹音楽集

虫樹音楽集

シューマンの指 (100周年書き下ろし)

シューマンの指 (100周年書き下ろし)

ビビビ・ビ・バップ (講談社文庫)

ビビビ・ビ・バップ (講談社文庫)

奥泉光の作品を知ったのは中学生の頃になるのだろうか?新聞の週末の書評欄に「鳥類学者のファンタジア」がジャズに関する小説として取り上げられていた。題名に謳われるようにファンタジーなのだろう等と考え、それから数ヶ月か数年の後、図書館でハードカバーを手に取ったことまでは覚えているが、結局読むには至らなかったのだと思う。当然ながら、当時(今もだが)鳥類学者がアルト・サックス奏者のチャーリー=パーカーを指すことも知らなかった。

その後、奥泉光がフルートを吹くことを知る。また、「対テロ戦争株式会社―「不安の政治」から営利をむさぼる企業」「戦争サービス業―民間軍事会社が民主主義を蝕む」等の書評を読み、現代の戦争に関することを小説の題材にしているのかと思ったこともある。

それから十数年経過して、私は最近のジャズを自ら聴くようになった。そして奥泉光がジャズを題材にした「ビビビ・ビ・バップ」を発表することを知った。ちょうど無職だったこともあり、これを機に一気読みをするかと立ち上がったのが3年前の話だ。

「バナールな現象」と「モーダルな事象」は今となっては印象が薄い。しかしながら「モーダルな事象」に登場した桑幸とその生徒の活躍が描かれる「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」シリーズにはすっかりハマってしまった。

「鳥類学者のファンタジア」、おそらく新聞紙上の連載を読んでいた「新・地底旅行」「『吾輩は猫である』殺人事件」を読み、それぞれの作品に同じ設定が仕込まれていることを知るに至る。

「神器」は前回の記事で触れたメガノベル。平野啓一郎の「決壊」と共に新潮で連載されていた。

「虫樹音楽集」は短編集でジャズに関する物語があったことを覚えている。

「東京自叙伝」は「そんなつもりは無かったのです」「仕方無かったのです」とあらゆる出来事が締めくくられるグロテスクな作品。無責任で反省の無い人々の精神性が明らかにされているように思う。

「シューマンの指」はベートーヴェンのピアノソナタが話題に挙がっていたように思う。

「ビビビ・ビバップ」は「鳥類学者のファンタジア」の設定を継承した作品となっている。近未来SF的な話で割と何でもありのかなり面白い小説である。