『天冥の標』Ⅰ~Ⅶ

小川一水著『天冥の標』を既刊Ⅰ~Ⅶまで読んだ。
全Ⅹ巻からなるシリーズものであり現在でⅦ巻まで発表されている。但しⅩ巻といっても1巻を前後編、3パート毎に分冊で発表される形で、現状で10冊刊行されている。
第Ⅰ巻は西暦2800年の植民地惑星から始まる。酸素入らずの人類が治める地方で謎の疫病が発生、疫病は異形の生物が原因だった。他方、電気供給を縮減を端に発する植民地総督府に対する反乱等が描かれ、衝撃的な結末を迎える。
この衝撃的な結末に対しⅡ巻からこの物語を遡る形を取る。Ⅱ巻では201X年を舞台とした疫病発生の由来、Ⅲ巻では酸素入らずの人類のスペース・オペラ、Ⅳ巻では性愛に奉仕するアンドロイド、Ⅴ巻では情報生命体の由来、Ⅵ巻では異形の生物の由来、Ⅶ巻では植民地惑星の真実と系譜が明かされる。
私が好きなのは疫病者患者たちの系譜とそれを支えるリエゾンドクターが子々孫々とその命脈と迷走する様子。好きなキャラクターはセアキ=ジュノかな。Ⅵ巻は夢中で読んだし、Ⅴ巻は何とも味わい深い読後感。
長い物語だが、長いのは相応の事が描かれるからであり、とても面白い。続刊が非常に楽しみであり、手に取って良かったと心底思っている。


天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA)

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天冥の標 3 アウレーリア一統 (ハヤカワ文庫 JA)

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天冥の標?: 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA)

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天冥の標6 宿怨 PART1 (ハヤカワ文庫JA)

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天冥の標6 宿怨 PART 2 (ハヤカワ文庫JA)

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天冥の標 6 宿怨 PART3 (ハヤカワ文庫JA)

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天冥の標VII 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫JA)

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