風と共に去りぬ

ヴィクター=フレミング監督作品『風と共に去りぬ』を観た。

最近翻訳家である鴻巣友季子がマーガレット=ミッチェルの原作の新訳を発表して話題のようだ。私はヴィヴィアン=リーを観る為に本作を観たのだが、その半生を描いた本作はとても長かった。

南北戦争によってアメリカ南部の栄光が風と共に去ったというのが本作の題名の意図したものらしい。実際、本作前半のアメリカ南部は美しく、ドレスを纏った女性たちを隠そうとするかのように茂る庭の広葉樹は豊かさの象徴とも見て取れる。

スカーレット=オハラは非常に激しい気性の女性として描かれているが、それ故に生命力に溢れている。とても尋常ではないと思える程に。窮地に追い込まれた末の「明日考えましょう」という台詞には笑ってしまう。ヴィヴィアン=リーの美しさを語った教授はこんな事を言っていたと思う。「ああいう場面で「明日考えましょう」なんて普通言えないよ。でもね、そういうものなんです。その事しか考えられないとかそういった時にはね、思いきり電柱に頭をぶつけたり、高い料理でも食べて「あ~食べた、満腹」なんて言って、その後に後悔すれば良いんです。意識をずらしてやれば良いんです。大抵の悩みなんてそれで解決ですよ。概してそんなものなんです。普通言えないよ、でも「明日考えましょう」で良いんです。」

クラーク=ケーブル演じるレット=バトラーが非常に格好良かった。またテーマ曲は改めて素晴らしいと思った。

「欲望という名の電車」と本作について考えていると現実に即する事が必ずしも「自分の心の内」を満たす訳でも無い事が判ってくる。なるほどスカーレットはより現実的だが、しかし内心の変化に気が付く事は出来なかった。またブランチはおそらく現実に即するべきだと知っていた。でなければ過去を暴露される事もなかった。しかし内心を無視する事もまた出来なかったのだ。

取り敢えず明日考える為に我々は寝るべきだと思う。

風と共に去りぬ [DVD]

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