2014年7月25日

眠りから覚めて外を見ると猫が明後日の方向を向いて座っている。屁をこくと音にビクリと反応してこちら見つめる。しかし俺に気がついたのかわからない。もう一度屁をこく。やはりこちらを見つめるが視線が定まっていない。調子づいた俺は三度目の屁をこく。訝しげな顔をこちらに向け、少し場所を移動する。猫は視覚的な動物である、という言葉は小学校の教科書に載っていたエッセイだったろうか?

眉毛がつながった中年男性の寝顔、吊革を掴んだ腕に項垂れてスマートフォンを眺める女性。一日は始まったばかり、これから良い事も悪い事も起きる。

単純に暑い。このシンプルさ、分かり易さ。駐車場に猫が寝ている。こちら伺うものの動こうとする気配は無い。

食事をした後、横になる。心拍と共に身体が揺れる。体内の血液を一巡させるのだ、身体が揺れても不思議では無い。身体中に張り巡らされた血管、一拍一巡する血潮を感じている。そして知らぬ間に眠る。

目覚める。男女の声が聞こえる。長い夜が始まる。