2015年4月28日~2015年5月10日

友人が何の気無しに電話を掛けて来た。去年も誕生日に偶然電話を掛けて来た記憶がある。中学生の頃の友人の話を聞くのだがなかなか面白い。皆それなりの人生を送っているらしい。

友人は開口一番「仕事辞めたか」と尋ねて来た。まあ仕方無い事なのだが。

そういえば高校の頃の部活の先輩が結婚し、恵比寿で結婚式を挙げたらしい。そんな金銭的な余裕は無いなと相手もいないのに勘定してしまう。

散歩の帰りにチョコミントアイスとカフェオレを買う。ミントの清涼感に暑さが紛れる。

冨田勲シンセサイザーによるドビュッシーのパピスエはドラゴンクエストのBGMにしか聞こえない。

Becca Steaven Band のFrank Ocean のカバー曲である Thinking bout You が殊の外美しい。

散歩していると蜂が目の前を横切り、思案気に空に留まっている。

たんぽぽが既に綿毛をつくって飛ばそうとしている。どうも植物はその花を咲かした時にしか気にしないものだが、よくよく考えてみれば根を張り芽を出した時から枯れるまでが一生なのだ。それがなかなか判らない。

最近、暖かくなって薄着の女性が増えた為だろうが、向かいからやってくる女性の胸の揺れに目が行ってしまう。こんなに揺れるものだったろうか。それとも最近の下着の仕様なのだろうか?

ジャーサラダが流行っているらしい。正直最初は保存が効くという点で興味を持ったものの、野菜を下茹でするなどの手間を考えると面倒そうだと思った。何より瓶を煮沸消毒など清潔に保つのが面倒そうだった。

散歩している二人乗りした若い男女が目の前を通り過ぎた。二人乗りするなんてある程度年齢が上のほうだろう。耳をすませばじゃなし、最近の自転車じゃ二人乗りなんて出来やしない。

声を奪う雪女の夢を見る。

誰かが大きなくしゃみを二回した。どうやら佐川急便の配達員のものらしい。その音は路上に響き、駅前で区議会議員選挙当選の報告する共産党議員より印象に残る。そしてその横で自民党の幟を持った自民党公認候補者が黙って挨拶をしていた。彼は今回落選している。落選の理由はおそらくは新党公認もしくは推薦による若い候補者の影響だろうと思う。しかし実際の選挙結果を見ると候補者の平均年齢は上がっているという。すると新しい党の影響か、自民党自身の票の割り振りの問題となるのだろう。

電車の中でレジメを開く女子大生を見掛ける。レジメに書かれた大学名からどうやら後輩らしい事が判る。学生生活は短い。

国書刊行会から出版されていた沼野充義訳のソラリスは今年四月に早川書房から文庫版で出版されている事が判った。

休み明けの仕事をしたが異様に肩が重く気持ちが悪い。

早く目が覚めたのでカーテンを洗い干す。猫が部屋の前を通る。

岡山から発掘されたという八頭身美女がAVデビューするらしい。古代の遺物みたいだなと思う。

車内に冷房が入っている。

老人がビニール袋から取り出したのは古本屋で買ってきたであろう本。新ドイツ語文法講座、禅僧問答、ハードカバーのミステリー小説。

母親と手を繋いだ制服を来た小さな娘が得意げに握っていたのは手作りの鯉のぼりだった。

どうにも疲れてしまい早めに寝る。煙草が吸いたくなり真夜中に外に出ると西の空に大きくなった月が見える。コンビニを訪ねると迎えるのは中国人の若い店員。眠気も覚めてしまいPCに向かう。インターステラーは良い映画だったと考えながら朝を迎える。

朝寝していると電話があった。着信先をPCに入力すると不動産管理会社からだった。折り返すと家賃の督促だった。長年住んできたが初めての督促だ。どうやら大型連休に入り入金を確認出来るのが来週の祝日明けになってしまう為らしい。思わず拍子抜けしてしまう。下らない連絡を招いてしまった。

ジョッキーの後藤浩輝が亡くなっていた事を知る。怪我が多かったのが原因だろうか、自死らしい。人生とはままならないものだと思う。

散歩に出ると芝生の上でシャボン玉を飛ばす男女を見掛け微笑ましく思う。以前なら妬むところだが最早そういう気持ちにもならない。

ゴッド・ファーザーを全作見通したが、最後には拍子抜けしてしまう。

友人に会う為に八王子に向かう。出掛ける人々の波に呑まれながら改札を目指す。皆が楽しそうに見えるのは連休中の為だろうか。快速電車に乗ろうとしていると着物姿の老人に停車駅を尋ねられ応える。電車の中、スマートフォンで戦後GHQの指示のもと法哲学者が編纂したという民主主義の教科書を読む。民主主義の根幹を浸透させようという勢いがある。

視線を車窓に移すとふと昔の事を思い出した。コンビニでアルバイトしていた時、弁当に付いていたマヨネーズを外すのを忘れ温めてしまい、年下の高校生のアルバイトが弁当を取り出そうとすると袋から飛び出したマヨネーズに触れてしまい「あちち、あちち」と悶絶したのだ。なんでこんな事を思い出したのか、熱さに苦しむ高校生の姿が笑いを誘う。その後お客にどのように対応したのだったか、10年以上前の事なので忘れてしまった。

友人と駅前で合流した後、パイプを吸う友人が煙草を求めて煙草屋に寄るも商品が扱われていなかった。

気を取り直しシャーロック=ホームズの名を冠したパブでビールを一杯引っ掛ける。ランチタイムの為、食事をしている客を見掛けるもビールを飲んでいる様子は無い。シャーロック=ホームズは外国ドラマが最近人気のようだが関心が無く、原作も緋色の研究しか読んだ事が無い。

店を出ると商店街で古本祭が行われており、出店されていた煙草屋で友人は目当ての煙草を買う事が出来た。

美術館で加山又造の特別展を鑑賞する。展示物は版画と水墨画が主なものとなっている。色付きの版画の題名と絵は非対称になっている。「ひまわり」とあればひまわりに落ちた蝶が、飛ぶ鳥を映す水面には反転した鳥が、柿を描いたものには鳥が枝にとまる。何故だろう。冬の光景を描いたものには、遠くで鳥たちが乱れて舞っている。裸婦の四肢に伸びた爪先は薄紅色を宿している。一点だけ自らの伸びた縮毛の黒髪から手が出ている事に作為を感じさせたが意図までは読み込めない。解説によれば裸婦画はモデルから途中で自ら教えていた美大生の一人に依頼していたという。腰から大腿部まで誇張された線の厳つさに生々しさを覚える。最後に展示された水墨山水は樹々の線の太さがアメコミを思い出させた。しかし参照した山水画を見ると同じような線だった。山水画の表現とはそういうものらしい。素描等も展示されており完成まで足取りが確認出来る展示となっている。

美術館前の喫茶店でコーヒーを飲む。陽が強いものの風が強い。そしてエスプレッソが苦い。

ふらふらと街を歩く。目当ての酒屋を探すが見つからない。そのまま喫茶店に寄る。チャーミングな女性スタッフは長々と話している間にエプロンを脱ぎその場を後にした。イエメン産のコーヒーを飲んだが相変わらず味が判らない。連休中という事でラ・フォル・ジュルネの話になり、友人はそこで聴いたシューベルトの未完成に感銘したという。そういえば学生時代そんな話を耳にした事があった。同じ話を何度も話し忘れ繰り返しているのかもしれない。

場所を居酒屋に移す。日本酒を飲んで饒舌になった友人の話を聞く。外山滋比古の思考の整理学、映画U Want Me 2 Kill Him、経験と未経験の差について…友人が注文したヒアージョ、そして焼鳥の盛合を肴に白ワインを飲む。一杯で止めておこうかと思ったが長丁場になり、二杯目を頼む。こちらから話した事は最近観た映画ぐらいだった。その後、時間を持て余しカラオケに行った。

夜の空いた電車で何にも掴まらずバランスを取ろうとする少年。

平野啓一郎のマチネの終わりにの連載をネットで読んだ。ギタリストの性急にも見える女性への思いと行動は何処か滑稽だがしかし誠実でもある。傍から見れば恋愛は喜劇的である。もしくはそんな風にしか物事を感じられなくなっている。

二時間程散歩をする。遊歩道の芝生の上で若い夫婦が小さな幼子を抱き幸せそうに笑っていた。

昼寝から目覚めた。稲を育て、刈り取るのをある業者に任せると高額な請求をされてしまう。仲間に料金を尋ねたのかと聞くとしどろもどろになってしまう。しつこく追及していると側に女性が集まって来て話は有耶無耶になってしまう。

隠し砦の三悪人を見る。姫役の上原美佐がきりりとした美人だった。

連休明けでやる気が出ない。そんな風に考えたが、大抵やる気は無く、いつもと変わらぬ朝だった。白々しい毎日が始まる。

女子高生が赤い顔をしながら欠伸。スマートフォンで麻雀をする中年男性。

加山又造の裸婦画に身体の線が消えてしまったものがある。白い背景に浮かぶ裸婦。表現の一形態。しかしそれは最早モデルを必要としなくなった事を意味するのでは無いだろうか。

被写体から想念の裸婦画を描く。想念は記憶を自由に描く。想念が視覚を取捨していく。結局視覚もまた認識方法の一つでしか無いとつまらない結論に至る。

トラックのタイヤに巻き込まれた枯葉が弧を描いて舞う。

時間を持て余した床屋の老夫婦が窓から外を覗く。子どもが母親と手を繋ぎながら泣いている。

研修を受ける為に朝から神奈川に向かう。腹の調子がおかしく、体に力が入らない。

昼飯に案内された場所は以前の職場で散々出向いた場所だった。あれから何年経ったろうと数えてみれば三年以上前の事だった。

研修で久しぶりに面識のある社員と話す機会を得た。恋人と同居を始め、近く入籍するという。

身体から甘い匂いが漂うと両隣に座った女性から指摘される。

中学時代の同級生たちとプールに居た。何やら同級生たちはこの日の為にイベントを企画していたらしい。しかし気乗りしない俺は傍からそれを眺めていた。そんな態度が気に食わなかったのか、皆は怒りを露わにし、無視されてしまう。

体調が芳しく無い。仕方無く病院に赴く。コンビニ前でビッグスクーターを直すJAFの隊員の姿があった。

風邪だったらしい。薬局で処方箋を貰いスーパーに寄って家に戻る。

JAFの車両が1台増えている。

仕方無く眠るのだが夢を見る。クラス全員でマリオカート64をする。やはり気乗りしない俺と複数の児童がその場を抜ける。すると担任が現れ、生徒にドリフト走行によるスピードアップが出来ていないと指導を始める。

昔の事ばかり夢に見ている為か色々な事が思い出されてくる。

横になりながら外から聞こえてくる様々な生活音を聴いていると少し穏やかな気分になる。