プレイ開始から19日目。ダブルスイカはならずもスコア3039。スコア3000を達成する。
三体
劉慈欣 著、大森望、光吉さくら、ワン=チャイ 訳『三体』。前日譚を入れるとシリーズ6作品の1作目になる。
冒頭は文化大革命の描写から始まる。序盤は科学者たちが超自然的な事態に遭遇し、命の危険の代わりに研究を中止するよう促されるという展開。過去と現代(のARゲーム)を行きつ戻りつしながら将来の脅威の正体が明らかになっていく。
序盤の現代パートはアルカジー&ボリス=ストルガツキー「世界終末十億年前」のような展開。鈴木光司の「リング」シリーズのように提示された謎は全てきちんと種明かしされるため、曖昧模糊とした脅威のようなものは無い。
年末年始からSF作品を読み進めているものの、長い物語に手を出してしまった印象。
bullotus.hatenablog.com新世界より
貴志祐介 著『新世界より』を読んだ。第29回日本SF大賞受賞作。漫画やアニメ版もある。
人間は呪力と呼ばれるサイコキネシス能力を身に着けており、主人公の渡辺早季は神栖66町という注連縄で隔てられた集落で暮らしていた。しかしながら、主人公と同級生の仲間はふとした好奇心から自分たちの住む世界の歴史や成り立ちを知ることになる。
会社の同僚に貴志祐介の愛好者がおり、勧めれられて読んだ。
著者の作品は『黒い家』のみしか読んでいない。著者はサイコパスを題材にしたホラー作家という印象だが、元々は本作「新世界より」の原型をハヤカワSFコンテストに応募して佳作となったという経歴があるという*1。
『黒い家』一冊しか著者の作品を読んでいないにも関わらず、主人公たちが情け容赦無いサイコパスに追いかけ回される印象が強かったが、本作も同様の展開がある。これはホラーの王道の展開なのだろう。悪意盛り沢山の設定や仏教(密教)に基にした怪しげなサイコキネシス能力等、湿度高めのジメジメとした日本的な不快感が味わえる。
アルテミス/プロジェクト・ヘイル・メアリー/egg
アンディ=ウィアー著『アルテミス』『プロジェクト・ヘイル・メアリー』『egg』を読んだ。ようやく『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を読むことができた。
アルテミス
小野田和子 訳。
月面都市アルテミスに住むジャズは月面EVA(船外活動)の資格取得を目指しながらポーターとして働いている。ある日、ジャズは懇意にしている実業家の依頼を受け月面都市を左右する陰謀に巻き込まれる。
ジャズの他、研究員のマーティン=ズヴォボダが面白い。
プロジェクト・ヘイル・メアリー
小野田和子 訳。
目が覚めるとコンピューターによる質問が続く。天井には室内を管理するロボットアーム。同じ部屋にある2つのベッドには男女の遺体が眠っている。男は自分の名前も思い出すことができない。ふと蘇る断片的な記憶。行動範囲が広がるにつれ自分の置かれた環境を把握した男は自らの目的を思い出すのだった。
著者の長編『火星の人』や『アルテミス』とは全く異なるアイデアの展開がある。興奮した。そうきたか!!
なお、英語のヘイル・メアリーはラテン語のアヴェ・マリアにあたり、アメリカンフットボールにおいては劣勢のチームが一発逆転を狙って投げるロングパスを指すという。
egg
アンディ=ウィアーのウェブサイトで公開されている短編。日本語訳は日本在住のゲームプランナーであるアレックス=オンサガー。
非常に短く素朴な作品。
www.galactanet.com
スイカゲーム/最高スコア2726
automaton-media.com
スイカゲームのIOS版がリリースされたためプレイを開始した。現在プレイを開始して3日目になる。最高スコアは2726。スコア3000を目指す。
web小説の読書記録/終身刑のエルフ
「SFマガジン 2023年12月号 No.760」を購入。柿崎憲の連載「SFファンに贈るWEB小説ガイド 第33回スローライフに憧れて」で紹介されていた「バスタード・ソードマン」に続き、「終身刑のエルフ」を読んだ。「終身刑のエルフ」は完結済みの作品。合計127話。ブラックストーン刑務所の終身刑のエルフと人間の囚人との交流と共に王国の衰退等が描かれる。面白い。
スローターハウス5/仮面の告白/高い城/web小説
年末年始の読書記録。web小説を除くと過去を振り返る物語を読んでいた。しかし過去の振り返り方も一様では無かった。
スローターハウス5
カート=ヴォネガットジュニア著、伊藤典夫 訳『スローターハウス5』。
今年は結果的に第二次世界大戦を扱った映画作品を観た。これを機に第二次世界大戦におけるドレスデン爆撃を扱った本書を手に取った。
スローターハウス(Slaughterhouse)は動物を屠殺する建物を意味し、本書の題名はアメリカ人捕虜が過ごした食肉処理場を指す。
直線的な過去の振り返りの物語では無い。昨今で言えばテッド=チャン著「あなたの人生の物語」のように通常とは異なる時間軸から人生が振り返られる。
仮面の告白
三島由紀夫 著「仮面の告白」。
平野啓一郎「三島由紀夫論」を読むにあたり、三島の著作を複数購入し、手始めに本書から手に取ったものの、序盤を読んでは最初から読み返すという状況に陥っていた。そのため、最後にはおそらく第二次世界大戦に関する話題が出るだろうという当て推量で一気に読み進めた。序盤は三島の性的指向等に関する話題が続き難儀だった。後半は第二次世界大戦と友人の妹の女学生に関する話題が増え読み易い。
『高い城・文学エッセイ』
スタニスワフ=レム著『高い城・文学エッセイ』より芝田文乃 訳「高い城」、沼野充義 訳「偶然と秩序の間で―自伝」を読む。
年末年始の休みを機に手に取った。
高い城
著者の幼年期からギムナジウム時代の記憶を言及した作品。
いわゆる自伝ではなく、主に物や何やらについての記憶であり、最終的に著者の思想等が語られるに至る
web小説
『バスタード・ソードマン』
308~311話まで読む。
遂に主人公モングレルのギフト(能力)の一端が明らかになった。
『落ちこぼれ衛士見習いの少年。(実は)最強最悪の暗殺者。』
第一章(33話)まで読む。
必殺仕事人と忍法帖シリーズ的ファンタジー小説。コミカライズ版あり。
kakuyomu.jp
2023年12月の音楽
12月後半からBandcampや個人ブログの2023年のベストを参考に聴いた。
- Sunny Kim, Vardan Ovsepian, Ben Monder『Liminal Silence』
- Laurel Halo『Atlas』
- Loraine James『Gentle Confrontation』
- Ki Oni『A Leisurely Swim To Everlasting Life』
- Kali Malone (featuring Stephen O’Malley & Lucy Railton)『Does Spring Hide Its Joy』
- Sarah Davachi『Long Gradus』
Sunny Kim, Vardan Ovsepian, Ben Monder『Liminal Silence』
Laurel Halo『Atlas』
Loraine James『Gentle Confrontation』
Ki Oni『A Leisurely Swim To Everlasting Life』
Kali Malone (featuring Stephen O’Malley & Lucy Railton)『Does Spring Hide Its Joy』
Sarah Davachi『Long Gradus』
2023年11~12月の記録
『ゴジラ-1.0』
2023年11月10日(金曜日)鑑賞。
観どころがたくさんある。しかし結果的にあまり面白くなかった。世間の評価や売上との乖離を感じて、趣味嗜好の偏りを感じている。
ガールズ&パンツァーの予習
YouTubeでブラッド=ピットが出演しているフューリーの戦闘シーンを観たところ、思いのほか面白く、会社の諸先輩方に勧められてそのままアニメのガールズ&パンツァーを観た。また諸先輩方の指示に従い元ネタを予習した。結果的に8月以降も『ゴジラ-1.0』を含めて第二次世界大戦に関連する作品を観ることになった。第二次世界大戦における欧州の西部戦線に関して無知であることを認識した。
『戦略大作戦』
若きクリント=イーストウッドが主演。ドナルド=サザーランド演じるオッドポール軍曹が主演は食っているらしいが、果たしてそうかなと思いつつ、確かに奇抜な役柄ではあったと思う。ティーガー戦車が出てくる。それはともかく題名は何だ。
ガールズ&パンツァー
ガールズ&パンツァーのTV版、OVA『これが本当のアンツィオ戦です!』、劇場版を観た。最終章は観ていない。パンツァーフォー!!
DARK SOULS Ⅲ/灰の審判者、グンダの撃破
『DARK SOULS Ⅲ』のプレイを開始した。
何となくプレイするタイミングのような気がしてゲームを起動。
タイトル画面の音楽の風情が良い。
プレイキャラが地面からグヌヌと登場、弱い敵を先手で倒しながら進む。雑魚では死なない程度にエスト瓶を使うタイミングは把握している。つまり、別に上手くは無い。ジャンプのチュートリアルが上手く行かず、何度も繰り返す。どうもジャンプボタンを押すと同時に進行方向まで変えてしまう。
灰の審判者、グンダと戦う。
とりあえず、恐れずにぐんぐん近寄って殴る。避け方も適当、というより、攻撃の種類の区別が付いていない。それでも第二形態まで進む。しかし第二形態になると攻撃の種類の区別が更につかない。とりあえず、変身中の隙を狙って粘って攻撃していると大きな手で吹き飛ばされてしまう。そんなことを繰り返していたところ、偶然変身中の大きな手の初撃を回避して懐に入り込んだため、攻撃を連打したところ、撃破に成功した。全く攻略した気がしない。
先に進んだところ、やたら敵が多い気がした上、ゲーム酔いが発生したため中断した。
web小説の読書記録/バスタード・ソードマン等
「SFマガジン 2023年12月号 No.760」を購入。柿崎憲の連載「SFファンに贈るWEB小説ガイド 第33回スローライフに憧れて」を読んだ。
紹介されていた「バスタード・ソードマン」から色々と読んだ記録。
『拝啓見知らぬ旦那様、離婚していただきます』
完結済みの作品。
『最弱な僕は<壁抜けバグ>で成り上がる ~壁をすり抜けたら、初回クリア報酬を無限回収できました!』
継続中の作品。112話まで読む。
2023年11月の音楽
- Chained Library『litüus - forever』
- Lisa Lerkenfeldt『Halos of Perception』
- Sam Gendel & Marcella Cytrynowicz『AUDIOBOOK』
- Suzanne Ciani & Jonathan Fitoussi『Golden Apples of the Sun』
Chained Library『litüus - forever』
Lisa Lerkenfeldt『Halos of Perception』
Sam Gendel & Marcella Cytrynowicz『AUDIOBOOK』
Suzanne Ciani & Jonathan Fitoussi『Golden Apples of the Sun』
ルーヂン/(二)登場人物・内容
(二)登場人物
- ダーリヤ=ミハーイロヴナ=ラスンスカヤ モスクワでは知らぬ者はない富裕な枢密顧問官の未亡人。
- ボンクール フランス人の家庭教師。60歳位。
- アフリカン=セミューヌイチ=ビガーソフ 女嫌いの変人の老人。
- ナターリヤ ダーリヤの娘。17歳。レジネフは彼女を子供ではなく、情が激しいのではないかと評している。
- ドミートリイ=ニコラーエヴィッチ=ルーヂン 34~35歳。ダーリヤ邸に招待されたムッフェリ男爵の代わりに現れた男。
(二)内容
ダーリヤ邸。客間に集まった人々。ダーリヤとビガーソフのやり取り。途中でアレクサンドラとヴォルィンツェフが到着し、一同は夕食の時間まで庭に出る。ヴォルィンツェフがナターリヤに好意を伝える。夕食後、ムッフェリ男爵の代わりに男爵の知り合いだというルーヂンが現れる。
当主のダーリヤも名だたる富裕な貴婦人で、枢密顧問官の未亡人だった。パンダレーフスキイは、彼女は全ヨーロッパを知り、ヨーロッパもまた彼女を知る、などと評したが、ヨーロッパではろくに知られてはいず、ペテルブルグでさえ大して重要な役を演じていなかった。その代わり、モスクワでは知らぬ者はなく、客が絶えなかった。彼女は上流社会に属し、少し変わったところのある、大して善良ではないが、ひどく頭のいい婦人だという評判だった。若い頃は大そうきれいで、詩人連から詩を捧げられたり、青年たちに恋をされたり、顕官名士から言い寄られたりしたものだった。然し、それから二十五年、乃至三十年たった今日では、往年の色香はあとかたもとどめていなかった。初めて見かけた者は誰でも思わず《この痩せこけて、黄色くなって、尖がり鼻の、そのくせまだそれほどの年でもない女が、本当にいつか一度は美人だったのだろうか?これが、あの、竪琴にほめ奏でられた女性なのだろうか?》と自らに訝しみ問うほどだった。もっともパンダレーフスキイの説では彼女のすばらしい眼は不思議に昔の面影をとどめているそうだが、ヨーロッパで彼女を知らぬ者はないと放言したのもこのパンダレーフスキイなのだから、これもあてにならない話である。
ルーヂン/(一)内容
(一)内容
アレクサンドラがセミョーノフカ村のマトリョーナを見舞う。
帰り道、アレクサンドラがレジネフに出会う。
レジネフが去るとアレクサンドラの弟ヴォルィンツェフとコンスタンチンに出会い、コンスタンチンからダーリヤ邸への招待を受ける。
コンスタンチンはアレクサンドラを邸へ送り届け、村娘にちょっかいを出しているとダーリヤの息子ワーニャとペーチャ、彼らの家庭教師バシーストフと出会う。
アレクサンドラとマトリョーナのやり取り。
―気分はどうだい、マトリョーナ?―と彼女は寝煖炉の上に屈みこんで訊ねた。
―おお!―老婆はアレクサンドラを見つめて唸った。―駄目だ、駄目だ、奥様!お迎えの時がまいりましただ!
―神さまはお慈悲ぶかいよ、マトリョーナ、よくなるともさ。あたしのよこした薬はお服みかえ?
老婆はわすかに首をもたげ、アレクサンドラの方へ体を伸ばすようにして、―奥さま、お手を頂かせて、―と廻らぬ舌で言った。
アレクサンドラは手は与えずに、代わりに屈みこんで相手の額に接吻してやった。
アレクサンドラとレジネフのやり取り。
―いや、それなら結構ですがね、―とミハイロはまだ馬車から降りずに言葉だけで応酬して、―なにしろあの女は自分でも自分の言葉をろくに信用していないのですからね。が、ともかくお目にかかれて大いに愉快ですな。
―どうしてですの?
―これはご挨拶ですな!お目にかかって愉快でない時もあるみたいじゃありませんか!今日はまたいやにみずみずしくお美しいですな、まるでこの朝のようにね。
アレクサンドラはまたしても笑い出した。
―なにがおかしいのです?
―なにがですって?ご自分のお顔をごらんになれないのが残念ですわね、そんな浮かない、冷たい顔つきでよくもそんなお世辞がおっしゃれたものね!おしまいに欠伸がおでにならなかったのが不思議なくらいだわ!
―冷たい顔つきですか……あなたはいつも火が入用なんですね、ところが火というやつはさっぱり役に立たんものでしてな。パッと燃え上がったと思うと、くすぶって、消えてしまう。
―でも、暖めてはくれますわね、―とアレクサンドラも負けずにやり返した。
―そう……それから火傷もしますしな。
―まあ、なんですの、火傷ぐらい!そんなことなんでもありませんわ。かえってそれより……
―まあそういうお口がきけるかどうか、一度ひどく火傷をなさってからのことにしましょうや、―ミハイロはいまいましげに彼女の言葉をさえぎると、手綱でピシリと馬を叩いた。―失礼しますよ。
アレクサンドラの容姿の説明。
アレクサンドラが美人だというのは県下に一致した評判で、それは決してはずれてはいなかった。びろーどのような鳶色の眼とか、金色に輝く亜麻色の髪とか、円っこい頬のえくぼなど、そのほかいろいろの美しい箇所をあげなくとも、ほんのかすかに上反ったその端正な鼻だけでも、優にいかなる男性をも悩殺するにたるものであった。が、中でもえも言われないのはその愛くるしい顔立ちの表情で、相手を信じきった、邪気のない、しかもそのやさしい面ざしは、相手を感動させ、惹きつけるものをもっていた。アレクサンドラの眼つきや笑い方は子供のようだった。貴族の奥さん仲間でもさっぱりした方という定評で……これ以上の評判はちょっと望む方が無理だった。
アレクサンドラとパンダレーフスキイのやり取り。
―でも、その男爵っていう方は学者先生じゃありませんの?―とアレクサンドラは訊ねた。
―とんでもございません。ダーリヤさまのお話では、反対に、見るからに世故馴れた方だそうで。ベートーヴェンのお話なども、老公爵さまさえうっとりなさったほど滔々と見事にお話になりましたそうでございます。これは、実は手前も伺いたいくらいでございました。なにしろ、それは手前の縄張りでございますからね。このきれいな野花をお一つ差し上げましょう。
アレクサンドラは花を貰った、が、五、六歩行くうちに道ばたに落としてしまった。
ルーヂン/(一)登場人物
(一)登場人物
- アレクサンドラ=パーヴロヴナ=リービナ 未亡人。子供はいない。財産家。弟のヴォルィンツェフと同居。
- セルゲイ=パーヴロヴィッチ=ヴォルィンツェフ アレクサンドラの弟。独身。姉の財産を管理している退役二等大尉。
- マトリョーナ アレクサンドラが冒頭に訪れるセミョーノフカ村の老婆。床に臥している。
- ミハイロ=ミハーイルイチ=レジネフ 地主。ルーヂンの大学時代の知り合い。評判の高い学者。
- コンスタンチン=パンダレーフスキイ 富裕な女地主ダーリヤ=ミハーイロヴナ=ラスンスカヤの許で暮らす若者。中年の婦人に取り入る術を心得ている。
- ワーニャ ダーリヤの息子。
- ペーチャ ダーリヤの息子。
- バシ―ストフ ワーニャとペーチャの家庭教師。学校出たての22歳。パンダレーフスキイを憎んでいる。