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なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか

二村ヒトシ著『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』を読んだ。
著者の「すべてはモテるためである」を読んで以降、女性向けに書かれた本書も読もうと思っていた。ある時、暇を持て余して本屋に寄ると國分功一郎の選書に本書が含まれており「256頁の山本直樹の挿絵を見て思うところがあったら本書を手に取って欲しい」という趣旨の紹介文が目に止まった。本書を手に取りその頁を開いた後、私はレジに向かう事にした。その挿絵には、何ともいえないつまらなさそうな顔をこちらに向けた下着姿の若い女性が描かれていた…。

本書の内容については湯山玲子の解説を読むのが手っ取り早いのだが簡単にまとめてみよう。キーワードとなるのは自己受容である。愛されない人を好きになるのは自己愛によるものである。本書ではこの自己愛をナルシズムと自己受容の二つに分ける。ナルシズムとは、「美しくなりたい」「もっとより良い自分になりたい」という向上心の源であり、自己に対する恋である。一方、自己受容とはありのままの自分を認め愛するという事である。ここで前提になるのは恋と愛の違いである。恋とは他人を欲し自分のものにしたいという欲望であり、愛とは相手を肯定する事である。ナルシズムは向上心の源である一方、自己否定を生み出す可能性がある。そこで本書は自己受容の重要性を説く。では自己受容とは何であろうか。それは自分自身の感情や考え方の傾向性を把握し肯定する事である。本書ではこの傾向性を人の魅力と欠点を生み出す心の穴と表現している。

といった内容になるのだが、なるほど自己受容と言えば少し難しくはあるものの、自分の傾向性を知る事と言えば解りやすく、それなりに生きて来て思うところはある。尚、本書ではインチキ自己受容というものもあり、あくまで自己受容とは一度すれば良いものではなく、常に確認が必要な進行形のものとして語られる。自己もまたコミュニケーションの中でその傾向性を変えていくものであり、自己受容とは自らの変わりゆく拠り所を把握する作業とも言えるのだろう。