チェンジリング

 『チェンジリング』を観た。

 クリント=イーストウッド監督作品だと知りとても観たくなった。彼が監督した作品を観たのは数えるほどしかない。しかしスクリーンに映し出される残酷ともいうべき現実を観たとき、それは彼の誠実さゆえに写しだされるのではないかと思えるのだ。
 
 シングルマザーの子どもが突然消えてしまう。そして数ヵ月後、警察が連れてきた子どもは別人であった。シングルマザーは自分の子どもを探し出そうと行動するのだが…。
 
 今回の物語に教会というコミュニティが登場する。しかしこの教会はクリント=イーストウッドの『ミリオンダラー・ベイビー』に出てくる建前だけの無力な教会ではない。実行力を持つ教会なのだ。この辺りのクリント=イーストウッドの考えを知りたいなと思うのだが、まぁそれは本筋とは関係ない。ただ『ラースと、その彼女』でもいったように受け止めることが出来るコミュニティというものを見ると少し安心する。もちろん現実はそういってられないだろうが。

 私はシングルマザー役を演じるアンジェリーナ=ジョリーを演技をまともにみたことはない。おそらくテレビで放映されていた『トゥームレイダー』を適当に観たぐらいだと思う。しかし今回この映画を観たことでずいぶん印象が変わった気がする。沢木耕太郎が指摘する通り、彼女の目の力強さにはえもいわれぬ迫力がある。帽子を深くかぶりその影から真実を見出そうとする母親の目なのだ。そしてその目から流れる涙は化粧を落とし彼女の顔を汚す。しかし彼女の厚い唇はリップを塗られ赤く艶っている。そんなシーンを観ながらアンジェリーナ=ジョリーの、そして子どもを想う母親の強さを見たような気がした。