2023年4月20日/ねじまき鳥クロニクル

村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」を二十数年振りに読み直した。複雑ではあるものの、手に負えない訳でもない。感銘を受けたのは間宮中尉の物語である。長命が予言される一方、恩寵を逃した敗北と呪いの生。それはどのような生なのかと他人事として想像を膨らませる。一方、恩寵を逃した敗北と呪いの生、それを認めずにただ生きることは、つまり我々の生であり、ありきたりな生だという考えに行き着く。
大きく誤解していたのは、謎の女と加納マルタと赤坂ナツメグを同一人物として理解していたことである。その事実だけでも当時の読みの浅さが判る。