大阪豆ゴハン

 サラ・イイネス(現在サライネス)著『大阪豆ゴハン』を読んだ。
 サライネスの『誰も寝てはならぬ』を読んでいたのでこの作家の違うものも読んでみたいなと思って文庫版を購入した。
 文庫版で読むのは結構しんどい。やっぱりワイド版で読まないと…。
 サラ イネスが女性であることを知る。車の話だとか時計の話が出てくるものだから男性だと思っていた。う〜む。
 『大阪豆ゴハン』はバブル崩壊後の大阪を舞台に、安村一家の日常が描かれる。ほとんど『誰も寝てはならぬ』と内容のレベルは変わらないような気がする。しかし『大阪豆ゴハン』にはたまにおそろしいくらいに現実が垣間見えるのである。特にドキリとさせられたのは主人公安村松林が大阪の街で遭遇した出来事が語られる第67話「ボクの1日」、阪神淡路大震災に見舞われた仕事仲間の下に駆けつける安村美奈子の第120話「1月17日と18日のハナシ」である。なぜこの二つの話にドキリとさせられるのか考えてみると、おそらくではあるがこれは作者が体験したものをそのまま描いたもの、だからではないか。作者自体『大阪豆ゴハン』は本当でも嘘でもないといっている。「ボクの1日」に出てくる就職活動が上手くいかない女性、「1月17日と18日のハナシ」で安村美奈子が「淀川を越えて大阪に入るといつもと変わらぬ風景 ホンの20キロしか離れてない神戸周辺は、スゴイ事になっているのに、である。美奈子は地震も怖かったが、むしろこの落差に恐ろしさを感じたのであった。」と語る。この語りは正に当事者からしかでてこないような言葉でないか。こういう話が気の抜けた物語の中に、スッと入っているのである。私が読んで妙な感覚に陥ったのこの話だけだが、人によっては違うのかもしれない。たぶん私が指摘した物語は作者の経験を漫画に加工する具合が低いものだったゆえに、他の物語と違ってしまったんじゃないかな、と思う。他にも美奈子が子宮筋腫の手術を受ける話もけっこう急なんだよな…。
 サライネス恐るべし。てか『誰も寝てはならぬ』にしても『大阪豆ゴハン』にしても出てくる人ほとんどが金に不自由してないんだよね。けっこうこれが重要なことだと思ってたりする(その分ひたすら働いてるわけだが)。


大阪豆ゴハン(1) (講談社漫画文庫)大阪豆ゴハン(2) (講談社漫画文庫)大阪豆ゴハン(3) (講談社漫画文庫)大阪豆ゴハン(4) (講談社漫画文庫 さ 8-4)大阪豆ゴハン(5) (講談社漫画文庫 さ 8-5)

大阪豆ゴハン(6) (講談社漫画文庫 さ 8-6)

大阪豆ゴハン(6) (講談社漫画文庫 さ 8-6)