2018年12月23日/ヤクザ・警察・即興・宇宙・大久保の界隈

孤狼の血を観た。ヤクザと警察の過剰なバイオレンスを期待していたものの、あくまで警察ものの作品だと感じた。暴力に物足りなさを感じるのはアウトレイジの影響でフィクションの暴力を観る事に慣らされてしまったせいかもしれない。

仕事の合間に喫茶店に赴いたところ、店主が顔を覚えてくれたらしく、Peter Brötzmann(ペーター=ブロッツマン)のカタログを見せてくれた。一応、フリージャズの奏者であることは把握しているものの、演奏を聞いたことは無い。カタログを眺めていると、Alexander von Schlippenbach(アレクサンダー=フォン=シュリッペンバッハ)の作品が初録音の作品になるらしい。最近来日していましたねと店主に水を向けたところ、ライブに行ったとのこと。そこで店主が気を効かせてmanfred schoof(マンフレート=ショーフ)「european echoes」のレコードを掛けてくれた。店主曰く「ヨーロッパのフリージャズの演奏者が大体参加している」という作品となり、BrötzmannやSchlippenbachも参加しているのだが、演奏が爆音で疾走する快感に楽しくなってしまった。

12月に入り休日に溜まった仕事を処理し続け、殺伐とした心境となった。唯一の楽しみは電車の中でもできる読書になり、ようやく谷甲州の航空宇宙軍史・完全版と新・航空宇宙軍史の既刊を読み終えた。航空宇宙軍史・完全版では外惑星と地球ー月の宇宙戦争を描いた第一次外惑星動乱、第一次外惑星動乱の戦後処理、外宇宙探査、そして新たな文明との接触が描かれる。更に新・航空宇宙軍史では一旦時代を遡り、第二次外惑星動乱が描かれている。全ての文庫版の解説はSF音楽家の吉田隆一。

大久保界隈でコンビニに寄り、書類の整理をするためイートインスペースに赴いたところ、先客に金髪の黒服の若い男性とスウェットを着た若い女性がいた。机に突っ伏して眠る男性を女性が起こそうとしている。尿意と便意を憶えトイレを往復すると女性の姿が無い。どうやら男性に愛想を尽かしたらしい。眠る男性を店長が起こそうと試みるものの、全くその場を動かない。その横で作業着を着たメガネの中年男性がカップ麺にお湯を入れスマートフォンを眺めながら麺をすすり始めた。カップ麺の匂いがイートインスペースに満ちる。店長が店を出た。そして警官を伴って店に戻った。警官の発言を聴く限り、私が入店する以前から男性は警官と一悶着があったらしい。警官に上半身を起こされた男性は絶えずゲップを繰り返している。男性は警官の煩わしさに苛立ち、自ら立ち上がり店を出た。果たして俺は一体何を目撃しているのだろうか?そんな思いが頭をよぎる。俺はこの後にまだ2つの訪問先が残されていた。