惑星トンガリ/第2回

この惑星は角以外にさしたる特徴を持たなかった。原始宇宙の辺境、エネルギーの発露や展開は無く空間は凍てついていた。それ故に恒星は永遠とも言える時間を手に入れた。その余波を受け、この惑星も角を折ること無く、その姿を長く留めることになった。

長い年月を経て原始宇宙の観測が可能になった知的な存在達がこの惑星を認識するようになった。もちろん、惑星の角を珍しがった訳では無い。安定した恒星を便利な定点としてマークした際、オマケとしてこの惑星を認識したのだ。そして瞬く間に外宇宙に進出した冒険心溢れる開拓者たちは親しみを込めて星系を「凸恒星系」、惑星を「トンガリ」等という意味で呼ぶようになった。