2017年3月11日/休日出勤

出掛けた先で一服したくなり、喫茶店に入り、おそらく飲んだ事がないであろうケニアコーヒーを注文する。スポーツ新聞を眺めながら煙草を燻らせる老人、明後日の方向を向いて丸い背中を晒す高齢の女性、中年の男性相手にPCのモニターを向けて契約手続きを進める女性営業の甲高い声。薄い化粧をした女性店員がコーヒーを運んでくる。

3月11日午後2時46分の電車の緊急停止訓練の案内が視界に入る。もうそんな時期なのかと思いつつ、もはや実感は無い。

延々と定型の文章を連ね、「なお」、「また」と並列を意味する接続詞を使用し続けている内に、沸々と書きたいという気分が醸成されたようだ。

「なお」、「また」、「更に」、「一方」、「他方」、「しかしながら」、「その後」…

知事選挙の看板を車窓越しに見つける。「4人位出馬するそうで、有力な候補は市長だったかな。まあ、現職が当選するでしょうね。人口が都心のペットタウン化で増えているらしいんですよ。高速道路も安くなったし。」そんなものだろうかと自ら質問したにも関わらず、途中から会話に飽きてしまっていた。

父と母から時間差でメールが届く。添付された画像は同じもので、姉が赤子に腕枕をして微笑む姿を写したものだった。ホッとするものの、一通で充分だと老いていく両親に呆れてしまう。

いざ、書き始めると思いの外、書く事が無いという気分になる。というより、書ける事が実は有りそうで無かったのだ。

スマートフォンに入れた書籍のデータをやっと開く。

言葉をより具体的に、きびきびと動く筋肉が皮膚の上から見えるように。

職場のモニターに座って過ごす間に緊急停止訓練の時間が過ぎていた。

本を読む気力を充実させるため、官能小説をスマートフォンにダウンロードした。「鬼畜学園 囚われた転校生」というのが題名で、表紙イラストが解りやすいジャパニーズロリータである。世にロリコンが増え過ぎたのだ。内容は女子高生が陵辱されるというもので、途中から退屈したものの、とりあえず読み切った。もっと能動的な男女の性の世界の方が好みだなとも思った。更に官能小説を読み進めて、新たな世界を切り開くべきかは決め兼ねている。あと、やはりこういう時、電子書籍は便利だと思う。

ケニアコーヒーの最近流行りの酸味があるコーヒーだった。