七人の侍

黒澤明監督作品『七人の侍』を観た。

物語の主役が侍だとばかり思っていた。しかし物語の終わりに侍を用心棒として雇った農民たちこそ主役だという事が明らかになる。

そういえばと友人が話していた武士道に関する本の話題を思い出した。友人が話していた内容はこんなものだったと思う。「士農工商、つまり武士の次に来るのは農民な訳、お金を稼ぐだけの商人は卑しいという事なの。農民は作物を作り出すけど、商人は金を稼ぐだけなんだよね。では、武士というのは何なのかと言うと、武士は食わねど高楊枝では無いけど、お金を持つ必要は無い訳、物事をやるやらないを決断するだけ。この決断、やると決めたらやるのが武士だと言う事なんだ。」この後、友人はこの決断について、現状の生活に引き寄せて話していた。

「羅生門」では武士の妻真砂を演じた京マチ子が妖しげな美しさを放っていたが、本作でも野武士にさらわれた農民の女房演じる島崎雪子が、火がつけられた山塞*1でニヤリと笑う顔が忘れられない。

雨降るなか暇を持て余し「女でも抱きたい」と呟けば、「身体を動かしてくる」と飛び出し雨に濡れながら刀を振る侍を演じる宮口精二が格好良い。また所狭しと動き回る菊千代演じる三船敏郎が印象に残る。

七人の侍 [Blu-ray]

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*1:さんさい。盗賊等が山中に築いた城塞をを意味する。