ゴジラVSビオランテ

大森一樹(本編)川北紘一(特撮)監督作品『ゴジラVSビオランテ』を観た。
本作はおそらく幼稚園児だった時、ビデオで観たと思う。成長したビオランテの獰猛な姿に惚れぼれしたものだった。一方、ストーリー自体は特に憶えていなかった。再見してみるとエネルギー問題を主軸とした外国・国際企業の暗躍とゴジラ防衛に奮闘するという物語だった。
ゴジラ新宿襲撃後、アメリカ企業は自衛隊の追手を撒きゴジラ細胞を収集に成功するも、サルジア共和国のエージェントによって襲撃される。サルジア共和国に渡ったゴジラ細胞だったがアメリカ企業の逆襲によって研究所が破壊、遺伝子工学の権威である白神は娘を亡くす。
数年後、ゴジラ三原山で再活動を始めた。国土庁特殊災害研究会議Gルーム権藤は特殊戦略作戦室黒木と共にゴジラ対策の為、抗核バクテリアの可能性を探り、白神に応援が要請される。しかし白神はサルジア共和国及びアメリカ企業に監視されていた。白神博士は娘の遺伝子を組み込んだ薔薇を救うべくゴジラ細胞を取り込む。その結果、ビオランテに成長する。一方、権藤は、抗核バクテリアを奪略すべく三原山に爆弾を仕込んだアメリカ企業と交渉を試みるも、サルジア共和国のエージェントの介入により失敗、三原山が爆発しゴジラが復活する。権藤は奪われた抗核バクテリア取り返すべく奮闘、黒木はゴジラ対策に取り組む。

抗核バクテリア核兵器を無力化する可能性を秘めている事からサルジア共和国やアメリカ企業が手段を選ばない行動に出ていたという設定。
白神の娘役に沢口靖子が登場するも冒頭で死亡、ビオランテが倒されると舞い上がる粒子の中に沢口靖子がぼんやりと映るのは「コラか」とツッコミを入れたくなる演出だった。平成ゴジラシリーズの主要登場人物サイキックガール三枝未希演じる小高恵美が登場するのは本作から。超能力でゴジラを足止めしたりする。権藤演じる峰岸徹は抗核バクテリアゴジラに撃ちこんで死亡するが、ゴジラVSスペースゴジラにはゴジラに復讐心を抱く友人結城演じる柄本明が主要人物として登場する。権藤はニヒルな性格で格好良い。他方、噂のヤングエリート集団の黒木演じる高嶋政伸ゴジラ防衛の際、ゴジラ出現の位置を読み間違えたりと「若さ故の過ち」演出があり、細かい描写が面白い。その他、三田村邦彦演じる若き科学者と政財界の重鎮の娘演じる田中好子の恋愛模様も描かれている。サルジア共和国のエージェントとアメリカ企業の社員の演出はちょっと笑ってしまうような感じだった。本作の音楽はすぎやまこういちが担当しており、良くも悪くも耳に残るBGMだ。

さて本作ではスーパーX2が登場。遠隔操作で動き、放射火炎を弾き返すファイヤーミラーでゴジラを苦しめる。しかしファイヤーミラーの材質である合成ダイヤモンドは放射火炎で疲弊して使用不可能になり苦戦を強いられている。ファイヤーミラーが超カッコ良い。

抗核バクテリアを撃ち込んだ後、バクテリアを活性化させるべき人口電子レンジ的なサンダーコントロールシステムでゴジラを迎え撃つ。そこで成長したビオランテと対峙、ビオランテは口から変な液体を吐き出してゴジラを苦しめるが敗北。その後、抗核バクテリアが効果を発揮、ゴジラが倒れるも復活を果たして海に還っていくのだった。

今後の娯楽路線とは一線を画する、リアル路線のゴジラとして割と面白く観られる。