果てしなき渇き

深町秋生著『果てしなき渇き』を読んだ。
著者のブログを読む機会はあり、いつか著作も手に取ってみようと思っていたところ、中島哲也監督により本書を「渇き」として映画化するとの事。この機会にと思い本書を手に取った。

元警官の警備員が出会ったコンビニでの無差別殺人事件。そして離婚した妻の元から娘が消え、部屋の中から大量の覚醒剤が見つかったと連絡が入る。警備員の男は娘の行方、そして家族を取り戻そうとするのだが…。

物語が進むにつれ明らかになる事実は壮絶な現実、というより悪夢である。
警備員の男は娘を追うにつれ、明らかになる現実に追い込まれていく、というより自らが娘を今の現状に追いやり、その娘に追い込まれていたというべきか。
そして娘は、近づく人全てを負の連鎖に巻き込んでいく。
誰にも感情移入出来ないゆえに疎外された気持ちにさえなるだのが、おそらくこの疎外感は、本書に登場する全ての人物が抱えているものである。
いや、そんな事はどうでもいいのだ、果たして娘の目的とは何だったのか。
読後、ふと考えるのだが、それは復讐なのだろうが、もはやそれは方便であり、乾きを潤すまで、しかし乾いたまま、際限なく人々を巻き込む事だったのではないか、と。
そんな謎、空白をもたらす本書はとても面白いもので久しぶりに明日の仕事も忘れ徹夜して読んだ。

上述の通り、本書で明らかになる事実は行方不明になった娘を中心に起きている。
そんな娘を演じるのは下記の動画の女性である。動画では「女や」と言われているが本書でも…。下記動画の監督も中島哲也であるとの事。



新装版 果てしなき渇き 上 (宝島社文庫)

新装版 果てしなき渇き 上 (宝島社文庫)

新装版 果てしなき渇き 下 (宝島社文庫)

新装版 果てしなき渇き 下 (宝島社文庫)