触を描く『ベルセルク黄金時代篇Ⅲ 降臨』

ベルセルク黄金時代篇Ⅲ 降臨』(原作:三浦建太郎、監督:窪岡俊之)を観た。

原作に於ける「黄金時代」篇を長編三部作で描くプロジェクトとなり、最終章である本作はグリフィス救出から触までが描かれる。
本作はガッツとキャスカの馴れ初め、それに呼応して触が描かれる。
その為、原作の一部は描かれていない。例えばグリフィス救出劇の暗殺集団や黒犬騎士団が登場しない。
「エンジョイ&エキサイティング」*1がモットーである使徒ワイアルドの暴虐非道ぶりが観れなかったのは少しがっかりである。

鷹の団に合流したガッツとキャスカが結ばれる。そして囚われたグリフィスを救出するも拷問により満身創痍になった様子にガッツたちは絶望する。救出後、グリフィスはガッツとキャスカが互いに気遣う様子を目撃する。そして自身を顧み「休み過ぎた」と語り、眞紅のベヘリットを手に取り、触を起こす。
ガッツとキャスカの交わり、触による使徒の鷹の団への虐殺、触により転生したグリフィスのキャスカへの陵辱。
正に暴力と性を描いたベルセルクそのものだが、どうしても原作と比較してしまう点やアクションシーンの絶対的な少なさに於いて本作を楽しめるかが難点だ。
一方、原作に於けるグリフィスの心象風景―城を持つ夢に気をとられ、グリフィスのガッツとキャスカに対する嫉妬について本作では見逃していたと気がついた。
今回のベルセルク三部作に於いて圧倒的だったのはガッツによる大剣アクションシーンであり、本作ではシラット戦、グリフィス救出の際に観る事が出来る。
そして何より触以降の足掻く狂気を帯びたガッツこそ美しいと思った。
こうありたい、とも。

ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵 [DVD]

ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵 [DVD]

*1:つまりセックス&ヴァイオレンス。