『影との戦い ゲド戦記 1 』

アーシュラ・K・ル=グウィン著、清水美沙子訳『影との戦い ゲド戦記 1 』を読んだ。
最近、宮崎吾朗監督作品『ゲド戦記』の劇中挿入歌「テルーの唄」を聴き、著者の作品や原作を読んでいないことが気になって手に取った。

魔法の才を見出されたハイタカはふとしたことで死霊を呼び出す魔法を知り、魔法学院の同級生との諍いで死せる影を呼び出してしまう。その後、ハイタカは死せる影から逃亡し、また追跡をする旅に出る。

本作は三人称で語られており、硬質な文体が読みやすく面白かった。
この世界における魔法は物事の真の名を使用した概念操作であることが伺われ、ハイタカの真の名は表題作にもなるゲドである。
本作を読みながら、人に見せたくない自らの負の感情を伴う物事について真摯に向き合うことの意味を考えることになった。