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2015年2月21日

ゴキブリの印象だけが残っている。

様々な裸の女性のパッケージを眺めながら、時に欲情し、時に馬鹿らしさを見出し、やり過ごしている。

電車の中で女子高生が開く英語のテキストはネクストステージで、そんなもので勉強していた事、そもそも俺は土曜日は休みで、部活で一日を終えていた事を思い出す。そんな女子高生をマジマジと眺める女性の視線は厳しく、若さに対する妬み、隙の有りように己の若い時代を見出し目が離せないのか、等と想像させる。そしてそんな視線を感じ取った女子高生は、女性に向かって白い歯を見せ、あたかも無邪気を装い、微笑みの仕方なんて三歳の時から忘れているのに、笑うのだ。そんな笑顔を見せられた女性は顔を歪めて化粧にヒビを入れる。二人は男の視線に気がつき、気がついているのに意に介さず「キモい」とスマートフォンに滑らかに入力する。隣に座った女性の髪からシャンプー、口からは三十六度八分のコーヒーの匂い。

いつもの喫茶店に出向くといつもの店員。何となく気まずくて「休日出勤、格好悪いよね。」と口に出すと「先週もこれから仕事だよと仰るお客様がいました。」と笑ってくれる。

夕方事務所を出る。休日出勤の帰り道に見掛ける男女の微笑ましい光景は心に空白地帯に寒風を呼ぶ。車内で路線図を開いてはその裏にメモを取る女性が目につく。

自宅に戻り着替えてジムに向かう。うつむいて座る女子高生の横に男子高生が伴っている。青春してるな、なんて決まりきった言葉が浮かぶ。

ジムで偉そうにしている老人を見ながら、はたと何故俺が職場を転々としながら、業種を変えないのかという一つの見解に至る。都合二度同じ業種の仕事を辞めたのは、この仕事が合わないと思ったからだ。しかし度重なる退職で履歴書を「汚した」俺は、他の業種の就職が難しく同業種なら可能性が高い事、それなりの知識がある事等を挙げ、同業種の仕事に就いた。しかし実は過去の経験で以て、新たな職場で過去の経験をひけらかし、能力を誇大にして見せ、実際の能力のつまらなさを、他人にも自分にも隠す為なのでないか。もちろんこれは一つの理由であって、様々な理由が寄り集めた結果、今がある。

モニターでは民放のどうでも良いと思わせる番組ばかり。仕方無くニュース番組を観た後、教育テレビを眺める。人形を小型ロケットに乗せ生還出来るか試した番組、大科学実験なる外国と協力して企画された番組を眺める。その後チャンネルを変えるとお笑い芸人がデビッド=リンチの版画を持っている事を知る。

午後二十時過ぎに外を出る。冬の夜の、誰もいない横断歩道で誘導音が反復して響く。