ゴジラ対メカゴジラ

福田純(本編)中野昭慶(特撮)監督作品『ゴジラ対メカゴジラ』を観た。
ゴジラメカゴジラキングシーサーアンギラスが登場。

沖縄。建設会社に勤務する男性清水は観光中、伝統舞踊を踊る女性那美が啓示を受け倒れるという事態に遭遇する。また玉泉洞を尋ねると謎の金属片を見つける。更に彼が携わる沖縄海洋博建設現場で発見された遺跡から古代文字と置物が発見される。こう書くと伏線があり過ぎて萎えてくるのだった。
ゴジラが富士山から現れ、アンギラスを撃退すると東京湾の石油化学コンビナート地帯の破壊を始める。甲高い鳴き声と黄色い放射火炎は以前のゴジラと異なるものだ。そこにもう一匹のゴジラが現れる。ゴジラ同士の戦いの最中、一匹の皮膚が剥がれ銀色の金属が露わになる。黄色い放射火炎を吐くのはメカゴジラだったのだ。メカゴジラは皮膚を落としゴジラと再度激突、両者の熱線が爆発、ゴジラは海に姿を消し、メカゴジラもコントロールマシンに不調を来たし空に消えるのだった。
清水は考古学者金城と共に置物を奪おうする追跡者から逃れつつ古代文字の解読に挑む。一方、玉泉洞で発見された金属片とメカゴジラを構成する金属片が一致。これに気がついた宮島博士一行は玉泉洞へ向かうも謎の集団に拉致される。集団の司令官ブラックホール第3惑星人と名乗り、宮島博士の娘を人質に取ってメカゴジラのコントロール装置修復を命じるのだった。
清水と金城は置物の古代文字の謎を解きフェリーにて沖縄へ向かい船上にて追跡者と格闘を繰り広げる。博士を探すべく玉泉洞に向かうと謎の集団に囲まれてしまうが、清水をマークしていたインターポール捜査官南原が助けに現る。南原は謎の集団を調査すべく清水をマークしていたのだ。清水は南原と共にブラックホール第3惑星人の基地に侵入、処刑室で蒸し焼きになり掛けた宮島博士たちを救出するのだった。
南原と博士は基地を破壊すべく出戻るなか、清水は金城と共に古代文字が指す安豆味城跡を目指す。ブラックホール第3惑星人の妨害の中、さすがにご都合主義が過ぎるインターポール捜査官の助けを借り、置物を祠に設置、置物は朝日を浴び光線を発射、岬からキングシーサーが姿を現すのだった。
姿を現すも眠りから覚めないキングシーサーを抹殺すべくメカゴジラを起動させるブラックホール第3惑星人。安豆味王族の継承者である那美は、英語詩を織り交ぜた沖縄の伝統も何もあったもんじゃなさそうな歌をフルコーラスの勢いで披露、そもそもキングなんて英語がついているのがおかしい沖縄の守り神、キングシーサーが目覚める。メカゴジラと戦いを繰り広げるも、圧倒的な戦力差にキングシーサーは窮地に立たされる。一方、南原と博士は基地で捕まり、ブラックホール第3惑星人司令官と共に戦いを見守るのだった。
そこへ雷を浴び磁力を帯びたゴジラ初代ゴジラ初登場シーンを彷彿とさせるかたちで参戦。キングシーサーゴジラをものともしないメカゴジラの圧倒的な火力と空中殺法で追い込まれる中、ゴジラの磁力が発動。空中飛行が不能になりゴジラに吸い寄せられたメカゴジラはその頭部を破壊されてしまう。一方、基地では南原が縄を解き宮島博士と共に基地を脱出、メカゴジラの破壊と共に基地は爆破されるのだった。

昭和ゴジラシリーズの中ではかなり出来が良い。アンギラスが出て来てゴジラに扮したメカゴジラにボコボコにされるらしいのだが俺の記憶に無いのは石油化学コンビナートのシーンが素晴らしいからだと言い訳しておく。石油化学コンビナートのゴジラゴジラの戦いは昭和ゴジラシリーズの中ではとても絵になっており、これが見られるだけもこの映画を観る価値がある。またゴジラキングシーサーを前に戦力全開モードのメカゴジラが格好良い。うまい具合に段差があって足を於いて指先からロケットを飛ばしたりバリア張ったりしてこれでもかと色々な攻撃を披露してくれる。よく考えるとこれ、パシフィック・リムのワクワク感に似ているかもしれない。ブラックホール第三惑星人はまんま猿の惑星であり、特に新鮮味は無いが、平成ゴジラシリーズがハリウッド映画に影響を受けているように、昭和ゴジラシリーズも先行作品の影響を受けているのだなと思う。これを言うとそもそもそもそもゴジラ自体が云々。
沖縄を舞台にしている割に「キング」シーサーという名称、これに捧げられる那美役のベルベラ・リーンの歌唱は冗長、合わせて失笑。
尚、沖縄の日本返還は1972年、本作公開はそれから二年にあたる。清水と金城が沖縄をドライブするシーンがあったように思うのだが少し気怠い雰囲気が印象的。
次作『メカゴジラの逆襲』は本作の続編。長かった昭和ゴジラシリーズはあと残すところ一作となった。