カルフォルニア州、Ｒ・Ｈ・レドホト氏の家にワニがやってきた。レドホト氏は書斎で読書をしていた。読書に疲れ、寝室に行こうとした時、プールの方から音が聞こえた。泥棒かと、机から拳銃を取り出して窓に近づいた。カーテンの隙間からプールを見ると、黒い物体がプールサイドに横たわっていた。五分ほど様子を見ていたが黒い物体は動きを見せなかった。しびれを切らしたレドホト氏は懐中電灯をベッド下から取り出し、リビングからプールに向かった。
上海、料・香辛（リャウ・カウシン）氏は自宅でチリホットドックを食べながら、テレビを見ていた。ニュース番組はアメリカであった人食いワニ事件を伝えていた。カルフォルニアのとある住宅地にワニが現れ、住民一人が体の一部を食いちぎられ出血多量で死亡したらしい。どこからワニが侵入したか原因は不明、ワニも拳銃を額に二発受け、死んでいたらしい。香辛氏はテーブルの上に置いてある本を眺めた。題名は「旧約聖書 ヨブ記」となっている。
レドホト氏は薄れゆく意識のなか、神を讃えていた。
「ワニ、神が創造した巧妙なる生き物、ああ、ああ、ハレルヤ!!・・・」
昇天。
