2014年5月28日

曇天。夜に干した洗濯物が雨に降られないよう室内に取り込む。蒸し暑い。夢の内容は起床後の出来事の中に入り混じって消えた。路上の先から振り撒かれる柔軟剤と香水が混じった蠱惑的な匂い。鞄から提げられたハート型のキーホルダー、ハートの枠の中にもう一つハート枠がはめ込まれ、多角形の光沢ある石が散っている。改札前で鞄から定期券を取りだそうとしているのだろう、片手に持っていたPCバッグを白いパンツの大腿部に挟み込み、鞄の中を漁っている女性。

室内に効いた冷房。専門書を開き索引から該当頁を開き付箋を貼っていく。興味が無き数字の羅列を眺めながら冷静になっていく。上司たちの会話から漏れる人員配置の話題。二三ヶ月後には俺は冷暖房を効かない場所で働く事になるのだろうか。

田中康夫「なんとなく、クリスタル」、脚注だらけの小説である事は知っていたが、リズムを掴めば読み難さは感じない。1980年頃の女子大学生を描いた小説ではあるが、特に違和感はない。窓の外を歩く人々が振り返る。警官が路上を横断する人々に警笛を鳴らしたのだ。ビルの隙間に樋から滴る雨水は一定のリズム。電車内で見掛けた灰色のスーツに身を包んだ女性を思い出す。スマートフォンのインターフェースには賑やかな色が浮かび動く。

シーリングの中に入り込んだ虫。円形の光の彼方へ姿を消す。