2014年3月25日

まだ俺が実家に居た頃のようだ。朝、母がどこからから帰ってくる。冷蔵庫に入った揚げ物を電子レンジで温めようとしていたところだった。母は帰るなり、朝食の準備についてあれこれと言ったが不明瞭で聞き取る事が出来なかった。母は話を続けた。俺のアルバイト先の女性の息子の事だ。その息子は今年、代官山大学に進学するらしい。代官山大学はその名の通り、代官山に校舎があるらしい。そしてその辺りに一人暮らしをするのだと。あの辺りの下宿先は家賃が高そうだけど手頃な物件はもう見つけたの?そう尋ねると母は続ける。既にアパートを見つけ、今まで付き合っていた女性と同棲するそうだと。随分準備が良いなと俺は笑う。

代官山大学って何だよと一人笑いながら朝の一服をする。電車で大学の広告を熱心に見たばかりに夢を見たのだろうか?駅までの道のりに昨日の高校生たち姿は無い。灰色の丈の長いジャケットと足首を見せた紺のパンツ、太ももについた糸屑。歩きながら右太ももを払う。足首が締まった女性は性器の締まりも良いのだと飲み屋で語った齢六十を越えた老人を思い出す。老人は女性の足首にペニスをしごかれ喜びの声を挙げるのだろうか?全てが性的に、倒錯したプレイが夜な夜な行われ、倒錯が当然に、当然が倒錯になる。

いつも見掛けない場所に長い列を見掛ける。何だろう?若い人がビニール袋を携えている。事務所に着くと同僚が「LAWSONでラブライブのグッズを販売しているみたいで、来る途中に沢山人がいました。」という。立ち上げたPCでブラウザにリアルタイム検索を試みる。なるほど、ラブライブがどういったものかは知らないが朝早くからご苦労様としか言いようが無い。二次元の女性にこれほどまで苦労するのなら三次元には相当の労力が必要ではないのか?その問いに女性社員が「三次元の方がラクだと思いますよ。」と呟き応える。

昼食の為に事務所を出ると双子の小さな姉妹を見掛けた。キョロキョロと辺りを見回している。抽出されたドリップの波紋をせせらぎのようだと笑う喫茶店の女性店員たち。

纏められた髪、パールのネックレス、深い紫のストッキング、小さなカードに目を通し束をめくっていく。カードに記載された単語、日本語、英語、中国語、細身のスーツを着こなす女性、壁にもたれて電話片手に笑う長身の女性、眠りこくる女性、隣に座った赤い服の外国人女性。皆、人混みの中に紛れていく。

風呂桶に湯を張る。身を湯に晒せば疲労が湯ともに溢れて漏れていく。緊張感の堰を切った身体をそのまま横たえ目を閉じる。目を覚ませば今日と似た明日が始まる。