2014年12月14日

布団から出るのを面倒がっていると窓に水が落ちる音が聞こえる。また上階の入居者がベランダから何かを垂れ流しているのだろうか。雨戸を開けると水滴が落ちてくる。このまま放って置くべきなのか、そんな事を思案しているのが馬鹿らしくなってくる。窓から声を上げるも反応は無い。部屋を出て上階へ上がり玄関を叩く。声が聞こえ階段側に顔を出すと入居者がベランダから体を乗り出している。怒りに身を任せて要件を言うと「すいません。サンを洗ってたんです。僕の考えが足りなかったです。」「舐めてるのか?」「舐めてません。馬鹿にしてる訳じゃありません。」微妙な訛りを言葉の端々に感じつつ、サンとはサッシを指すのだろうか疑問が湧く。怒りを向ける相手の萎縮した様には「そっか」としか言葉が出ない。

自宅に戻り朝食の取りPCを眺めている間に寝入る。

目覚めると午後十三時を過ぎている。コタツで眠っていたため身体が怠い。シャワーを浴び選挙に行く事にする。

コンビニで煙草を買いコンクリートで固められた川沿いを歩く。心無しか人が多いように感じるがいつも出張っている訳では無く実際のところは判らない。よくよく考えてみると最近は会社とジムにしか外出していない事に気がつく。ジムに出向く以前は土日に川沿いをランニングしたものだった。

投票所に出向く。紙に鉛筆を滑らせる。日頃ボールペンを使うようになって以来、鉛筆の硬質感は新鮮である。投票所を出ると校庭の芝生と夕陽の影になった校舎に迎えられる。何十年も前、場所は違えどこんな小さな場所が自分の全てだった時があったのだろう。もうあの頃の事は過去になり忘れるの待つだけだ。

投票所を出て近くの公園に向かう。今日のトラックは解放されているらしい。中学生の女の子たちが小さな輪になって歌いながらバレーボールをパス回ししている。何時からだろう、自分の気性の激しさを知ったのは?穏やかな公園の風景を眺めながら考える。この気性の激しさで職を転々とする事になったのでは無かったか?但しこれまでは自らに向けられるものだったのを他人に向け始めているのだ。飼い慣らしていると思っていたがそんな事は無かった。

スーパーに寄りサンマを買う。自宅でサンマを焼いていると外から音がする。どうやら朝上階の入居者がサッシを洗っていたのは荷物を二階のベランダから受け取る為だったらしい。

シャワーを浴び選挙の結果を適当に眺める。出馬した友人は当落したものの共産党議席を伸ばすらしい。沖縄は全ての選挙区で自民党が当落、愛知県は民主党が意外にも議席を伸ばしているのだが支持基盤があるのだろうか?どちらにしても自民党が優勢なのは揺るがない。予想投票率52パーセント、戦後一番低かった59パーセントを大きく下回る見込みだという。