『新機動戦記ガンダムW』『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』

『新機動戦記ガンダムW』『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』を観た。

残業中、ふとYou Tubeで『新機動戦記ガンダムW』の第一話が無料で観れることを知り、何となく視聴を開始したところ、夢中になって全話を観終えることになった。まずは第一話をご覧下さい。

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改めて観てもやはり圧倒的な密度と怒涛の展開である。第一話のこの圧倒的な熱量はダイナミクス(動力学)で説明することができるかもしれない。

ダイナミクスとは二つの相反する原理から物事を構想する考えである。具体的には、物体Aを押す時に働く力Bに対して物体Aから押し返される力Cが働くといった考えである。

第一話における二つの相反する原理はお察しの通りヒイロ=ユイとリリーナ=ドーリアンである。

ヒイロとリリーナの最初の出会いは互いに顔も知らない大気圏突入時となる。ヒイロはウイングガンダムで地球に降下する作戦「オペレーション・メテオ」のため、前方を飛行するリリーナが乗る民間シャトルを降下障害物として撃ち落とそうとする。しかしながら、作戦を事前に把握していた特務機関OZのゼクス=マーキスに補足される。ヒイロは大気圏突入用カプセルからウイングガンダムを展開、敵モビルスーツをバスターライフルで撃墜して高笑いをした後、ゼクスの善戦により無人のモビルスーツと共に海に沈む。
そもそもゼクスがヒイロを補足しなければリリーナはヒイロに撃ち落とされていたらしい。ヒイロは作戦のためであれば民間人にも容赦しないことが判る。一方、リリーナは撃ち落とされる可能性すら理解できていない様子である。その後に明らかになるがゼクスはリリーナの実兄となる。このパートはゼクスが良いところを全部持っていたと言えるだろう。ゼクスが良い仕事をした結果、ヒイロとリリーナの関係性が始まったとも言える。また、ヒイロとゼクスのライバル関係もここから始まる。ヒイロ、リリーナ、ゼクスの関係を暗に示しており全く無駄が無い。単純化したダイナミクスの理論ではやはり物語は追うことは難しいらしい。

リリーナが多忙な父親が誕生日会の準備ができない不満をひとりごちながら港を歩いていると砂浜に打ち上げられた宇宙服のヒイロを発見する。リリーナは救急車を呼ぶ。そして宇宙服が戦闘用であることに気が付く。リリーナはヘルメットを外して戦闘用の宇宙服を着たヒイロが子供であることに驚く。救急隊のサイレンで目を覚ましたヒイロは顔を手で隠してリリーナに「見たのか」と尋ね、困惑するリリーナを前にして宇宙服の自決装置を起動する。しかしながら自決装置は起動せず、ヒイロは到着した救急車を強奪してその場を去る。救急車を見送ったリリーナは「私はリリーナ=ドーリアン。あなたは?」と一芝居を打つ。
リリーナの一人芝居が光るパートであり、形式化された物語の第一話を暗に示しているのかもしれない。ヒイロも躊躇無く自決装置を起動させており、既に自決を前提に行動を開始していることが判る。ヒイロが蹴り飛ばした医師と救急隊はお気の毒としか言いようがないし、階段から蹴り落とされているので死んでいる可能性もある。なお、ヒイロが強奪した救急車はその後も登場する。

リリーナの学園生活が始まる*1。そこに急遽転校してきたヒイロはリリーナに連れない様子。リリーナは学園の取り巻きと共にヒイロの下へ訪れて誕生日会の招待状を渡す。しかし、ヒイロは招待状を破り捨てリリーナの涙を指で拭い「お前を殺す」と囁く。リリーナは「何なの、この人…」と呆然とするのだった。
リリーナと視聴者共々本当にヒイロは何なのと思うことだろう。聖ガブリエル学園の描写だけでお腹一杯のところ、ここからおかわりである。ヒイロはリリーナの声掛けにデレが無いツン振り。これに対してリリーナはいきなり誕生日会の招待状を渡し、ヒイロは招待状を破って捨てる。招待状を破るシーンの劇画調の演出が面白い。更に涙を指で拭って(デレ)、わざわざ殺害宣言をするヒイロ。学園生活は「お前を殺す」を言わせるためだけの設定なのかもしれない。

さて以上の通りダイナミクスの理論を念頭に第一話を確認した。結果としてはゼクスが退き、ヒイロとリリーナの対面以降であれば、ダイナミクスの理論が適用可能かと思われた。しかし、ヒイロとリリーナの出会いにゼクスが関与しているのはちょっとした発見であり、物語の隙の無さを知る思いである。

第2話ではヒイロが学園のモブキャラとフェンシングをするシーンがあるが、本作における対人戦闘は、ガンダムのパイロットであるチャン=ウーフェイと軍事秘密結社OZ総帥トレーズ=クシュリナーダ、ヒイロとロームフェラ財団の代表デルマイユ侯爵の孫娘であるドロシー=カタロニア、ガンダムのパイロットであるカトル=ラバーバ=ウィナーとドロシーでも披露される。

敵側は地球圏統一連合、地球圏統一連合の秘密結社OZ、秘密結社OZの後ろ盾であるロームフェラ財団と推移し、結構複雑である。

オープニングのタイトルが出る際の効果音、CMの出と入りの効果音が格好良い。

Endless Waltzにおいて、戦争が終結し、その後にモビルスーツは歴史に二度と姿を現すことが無かったと述べられる。ただし、舞台を火星に移した「新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop」という続編もある。なお、Endless WaltzのOVA版の最終話のタイトルは「return to forever」で同名にチック=コリアの有名なアルバムがある。

昔はベタにガンダムデスサイズのパイロットであるデュオ=マクスウェルに良い印象を抱いていたものの、ディオは割と使えないことが多く、今はトロワ=バートンが良いと思うようになった。

ヒイロ=ユイを演じる緑川光のタイトルコールがツボにハマり毎回笑っていた。

戦闘シーンに動きが無い気がしたものの、Endless Waltzではキビキビと動いていた。なお、オペレーション・メテオの詳細が明かされるのはEndless Waltzである。

年齢的にガンダムを認識したのは機動戦士Vガンダム、物語の内容を理解し始めたのは機動武闘伝Gガンダム~新機動戦記ガンダムWになる。更に私はコロコロでは無くボンボン派だったため、漫画でガンダムWを読んでいた。ときた洸一のガンダムWの四コマ漫画を楽しく読んでいた記憶がある。

以下、ガンダムWの関連記事である。
bullotus.hatenablog.com
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*1:リリーナが通う聖ガブリエル学園は犬夜叉の続編である半妖の夜叉姫にも登場する由緒正しい学園である。