月曜日は土曜日に始まる

アルカジー&ボリス=ストルガツキー著、深見弾訳『月曜日は土曜日に始まる 若い科学者のための物語』を読んだ。

プログラマーである青年プリワーロフは旅の道中に二人の男性と出会う。男たちはプリワーロフの仕事を知るとちょうどプログラマーを探していたところなのだという。二人の好意によりある老女の家に泊まると、庭で猫が詩を諳んじながらど忘れしている声が聴こえ、鏡が喋り出し、井戸のカワカマスはどんな願い事を叶えられるが電化製品は勘弁して欲しいと言い出す。実は街には魔法妖術科学研究所があり、魔術やら魔法の道具やら精霊やら魔神やらが跋扈していたのだ。プリワーロフはプログラマーとして魔法妖術科学研究所で働き始め、研究所で起きる騒動に巻き込まれる事になる。

頭の中である公式を演算すればそこにリンゴが現れる。研究所にはイフリートやらジンがうろついている。舞台は現代そのままに科学と魔術が混合した設定となっており、正に現代にお伽話といった内容である。こういった話を面白がってやりたかったのだが、正直どうにも乗り気になれなかった。たぶんもう少し若い時、正に頭が混淆としていたハイブリッドな科学者だった十代の頃に読みたかった。しかしながら終盤に用意された二人のヤヌスことヤヌス-Aとヤヌス-Uの時間に関する謎解きが非常に面白かった。

タイトルが素晴らしいと思うが、これはワーカホリックな研究所に勤める職員たちの合言葉である。つまり休みになった土曜日こそ月曜日のように仕事をするという訳だ。私にはとても出来ない。

月曜日は土曜日に始まる―若い科学者のための物語

月曜日は土曜日に始まる―若い科学者のための物語