2015年2月3日

目覚めと共に夢を忘れる。頭の中より圧倒的な手応えが現実にはある。

髭剃りで唇を切る。唇の端に血が円を作る。

満員電車に乗り込んで来る頭にフケを被った男性の不満そうな顔。お前にそんな目で見られる憶えは無い。

朝よく見掛ける女性と俺の関係について考える。おそらく俺より年上であろう彼女は鼻がツンと上を向いているものの落ち着きを感じさせる。マスクで美しさは二割増、横に立った男性の大きな鞄が身体に当たる。なんで中年男性はTUMIのバッグを持ちたがるのか、頑丈だからか、無難だからか、面白くも何とも無い上に攻撃力が高い。

踝が靴擦れする。公園で靴下を脱ぎ絆創膏を貼る。

後輩とエレベーターを一緒になる。面白い事は何も無いと言うと「そう毎日面白い事がある訳ないじゃ無いですか。」という。ごもっともです。

鳥獣戯画というものがある。何故、鳥は獣と区別されるのか。おそらく獣は四つ脚、鳥は二つ脚、だから区別される。飛ぶものたち、這うものたち。

郷に入っては郷に従えを「ごう」では無く「きょう」と読んでいた事に後輩からの指摘で気がつく。恥ずかしい。

残業を終える。駅構内で警備員と警察官が寝転がってうす汚れた男性を囲んでいる。警察官が男性の手を引き身体を起こさせる。もう好きにさせてやれば良いでは無いか、自分で立ち上がれる人ばかりがこの世に生きている訳では無いのだから。耳許で誰かが囁くのだ、「もういいだろう?」と。すると足元から力が、アキレス腱が解けて動けなくなる。