2014年10月31日

目覚めが良い。さすがに十一時前に布団の中に入っただけはある。もっと眠れれば尚良い。

ロングカーディガンに彩られたモザイク模様の鹿の絵。

ふと手に動物の毛をあしらった鞄があたる。その手触りにゾッとする。

「俺もちゃんと大事に思ってるし、俺の事だけを見ててほしい。ゆっくり休みなよ。」JPOPの歌詞の一節を下手糞に改変して希釈したような薄っぺらさを感じて怖気が走る。そして俺も女性とこんなやり取りをしているのだろうかと考え更に怖気が走る。

遅刻する同僚、常駐先を尋ねると別の同僚も遅刻している。

「三連休は雨が降りそうですね。」「三連休だと今日気がつきました。来週だと思ってたんですよね。」「あら、彼女とデートしなきゃ。」「彼女ね。」「お忙しいんでしょうけど。」

見積書の内容を確認するため電話するとしつこいと感じのか憮然とした態度を取られる。それでも感謝の意を言葉だけでも伝えて電話を切る。

花屋の列に加わる。手には小さな苗木。

「実際、この連休に用事とかあるんですか?」「いや、細々とした事ならあります。」「それなら私もありますよ。」「予防接種を受けるんです。」「私はジムですね。」「ジム行かれるんですか?」「月四回ですね。」「へーっ。」

ハロウィンのためドラキュラに仮装をした若い男性を見掛け思わず笑ってしまいそうになる。

「月曜日は残した仕事は無い。」という上司に「月曜日は休みです。私も今日知りましたけど。」と言ってみる。どうぞ好きなように査定してくれ。

全身白、顔も真白に塗装した二人組を見掛ける。

ライアン=ゴズリングが主演したドライブという映画にマフィアの頭を叩き壊すシーンがある。思わず顔を背けたくなるのだが、あの描写はスタントマンで自らが被った衝撃の蓄積を解放する作業でしか無かった事に気がつく。あの映画の、吸いつくような映像の空気の正体は、因果応報や宿命といった宗教的な包摂なのである。

赤キノコのバッジを赤帽子に付けた女マリオを駅構内の出入口で見掛ける。

スーパーで惣菜弁当を買ってレジに持っていく。若い男女の店員が楽しそうに話していた。いつも見掛ける眼鏡の男性店員は垢抜けないが感じの良さそうな女性店員が好きなのだろうか?それとも何でも恋路に結びつけたがる俺がおじさんになったのだろうか?