2014年7月1日

駅構内へ下る階段を歩きながら「死、老い、病原菌、鉄」と単語三つのリズムの良さに乗っかりロクでも無い事を連想する。銃、病原菌、鉄。グラモフォン、フィルム、タイプライター。モバイルフォン、タブレット、インターネット。パソコン、モバイルフォン、インターネット。ネット、ネット、ネット。ミニスカ、生脚、モバイルフォン。瞼、前髪、前歯。これは外見的特徴だ。

午前六時半過ぎの起床。昨日寄り早く寝たはずだがまだ眠い。雨戸を開けると路面が濡れている。最近鼻がむずつくようになった。暑さのせいだろうか?外から親子の声が聞こえる。「~持った?」「持った」「タオル持った?」「持った」十代の高校生の、誰よりも価値のある一日がこれから始まる。

嬉しい気持ちも満員電車に掻き消されてしまうものか。スマートフォンを開けば与党が集団的自衛権の行使を容認したというニュースがタイムラインに流れる。

昨日、官邸前などで集団的自衛権の行使容認に対してデモがあったという。今回は首相が上手く下準備したという印象を受けた。そもそも今回の問題が話題に挙がるまで集団的自衛権が「解釈」によって許されていなかった事さえ知らなかった。これ程容易に変える事が出来るものを、これまで変えなかった事にまず驚きをおぼえる。その点ではなぜ今なのか、具体的に何を目的としているのかを語るべきだった。現在の与党は経済政策が支持されているが、その支持がもたらした結果なのだと考えるとやはり政治的な選択の難しさを感じる。またこの解釈変更によりどのような変化が起きるのか、具体的なイメージが出来ず、そもそも集団的自衛権の行使の要件はどの程度で満たされ、現行の状態では間に合わないのかも判らない。そして自衛隊にいる中学校の同級生たちの顔が思い浮かぶ。陸上自衛隊二名、海上自衛隊一名。陸上自衛隊に入った二人は中学、高校と陸上部だった。彼らが陸上自衛隊に入った理由は「自衛隊内の陸上部で走る」ためだった。彼らに取って自衛隊にいる以上、何らかの事態に派遣される事は想定していただろう。しかし、それでも、ニュースに取り上げられる出来事が自分たちの生活を変える現実だと改めて受け取っているに違い無い。

会社からの帰りがけに「乾き。」を観る。隣に座っていた女性二人は「つまらなかった。」と感想を漏らした。原作に忠実、元同級生橋本愛と殺人警官オダギリジョーが良かった。しかし何か物足りなさを感じてしまった。これは映画化の期待が大きかっただけという訳ではなさそうだ。