2014年6月29日

小人の小さな王、彼が故郷に帰る為には体育館に隠された乗物を起動させなければならない。体育館の壇上の裏から乗物を引っ張り出す身長の低い白人の男性。ガソリンと後ろに連なる荷台を固定する鉄パイプが足りないという。ガソリンはどうにでもなる。しかし鉄パイプはどこにあるのだろう?

相変わらず寝不足気味である。携帯端末で短編小説を読んだ為か心無し瞼がいつもより重い。また横になる。午前八時過ぎ、起きて部屋を掃除する。外は明るいが霧雨が降っている。ワンピースを着た高校生が一軒家から出て来る。二階に向けて「タオル投げて」と言えば母親が顔を出し「私のバイクも吹いておいて」とタオルを投げる。

シャワーを浴び着替え、選挙に行く。首長選挙並びに議会補欠選挙投票率はたかが知れているだろう。遊歩道に入るとランニングや朝の散歩に興じる人々が目に入る。小さな子どもが親に何やらごにょごにょと言っている。小学校にて投票を済ませる。軒先に並ぶ朝顔の小鉢が懐かしい。未だに朝顔の観察が続けられているとは思ってもいなかった。

自宅に戻った後、ジムに向かう。自宅で荷物を準備していると外から縄跳びをする音が聞こえる。どうやら男の子とその母親、そして男性がこれから何処かに出掛けるらしい。「縄跳びってこんなに疲れるんだね?」と男性は男の子に声を掛けている。自宅を出る。駅前では近くに出来るマンションのPRの為、団扇が配られている。木の影でサイズが大きめのシャツを着た黒スカートの女性は伏目がちに手に持った団扇を差し出す。先日も同じものを受け取ったばかりだが、暑かったので顔を扇ぐため受け取る。隣に座った男女、イヤフォンで何も聞こえないが身体を揺らしている。女性の手に持ったコーヒーカップに浮かぶ滴。俺はただ漫然と団扇を扇ぎ続けた。

ジム、着替えただけなのに額に汗が浮く。モニターには北朝鮮スカッドミサイルを日本海に向けて発射したというニュースから、W杯の結果、火事、交際トラブルによる殺人と続く。チャンネルを変えれば料理番組で肉汁溢れる餃子がつくられ、世界に誇る日本の技術を特集したバラエティ番組が流れる。モニターから目を外せば背中が開いたウェアを着た女性が目に入る。以前、バレエ経験者と思った外国人風の女性だった。ランニングマシーンで両腕を降る度、左右の肩甲骨が開き閉じる様は機能美を感じさせる。シャワーを浴びジムを出る。陽射しが強い。しかしモニターで見た天気予報に寄れば不安定な天気だという。駅構内の空調機の前に立ち、冷房を浴びる。吹込口に汗が浮いている。

スーパーに寄り、食材を買う。アイスが食べたかったのであずきバーも買う。自宅に戻って洗濯をした後、Twitterのタイムラインを眺めれば新宿駅南口で焼身自殺を試みたものがいるという。視線を変えればニュースでは人身事故の影響による電車遅延が二件目に付く。何とも嫌な気持ちになる。空は曇天になり、雷が聞こえ始めたと思っている間に土砂降り。雷鳴を聞きながらPCで作業を続ける。網戸腰に雨が敷居と畳を濡らし始める。一時間程度降り続け、雨は小雨になった。

ツナサラダを食べていると男女の声が聞こえる。向かいの一軒家に住む十代の男女が家の前で談笑しているらしい。俺が納豆をかき混ぜているこの瞬間、十代の男女が青春を謳歌し、所変われば男女が愛の言葉を紡ぎ、結ばれ、はたまた生死の境を彷徨い、苦しみ、死に、生まれる。それは当たり前の事で、どうしようも無く、しかしまた変える事も出来、云々。