壊れた靴を片方履き間違えて自宅を出てしまった。片方の踵の減り具合が違い、自宅を出て数分で気がつく事になった。靴に積もった埃の具合も違う。つま先が壊れている事に気がつく。少し落ち着かない。
曇天。朝から性欲が寄せては返してくる。シャワーを浴び着替える。天気予報を確認すると昼から雨が降る可能性があるという。一度家を出て、傘を取りに戻り、その後、靴を片方履き違えた事に気がつく。同じ靴なので間違える可能性はあったのだ。
客先に向かおうとすると強い雨が降る。しかし真っ直ぐ落ちる雨粒にシャツは触れない。脚元だけが濡れていく。
昼はぼんやりとする事が多くなった。何も語るべき事が無いような気分になる。
雨が降る。そして止む。また降る。この繰り返し。
片方古い靴を履いても馴れてしまう。この鈍感さに切なくなり、救われている。
トマトの缶詰を入れ、トマト風カレーにする。酸味の効いたカレーを食べ、何と無く後味の悪い一日の余韻に浸る。