本多猪四郎監督(特技監督:円谷英二)『ゴジラ』(1954年版)を観た。
平成ゴジラ最終作『ゴジラVSデストロイア』は『ゴジラ』(1954年版)の続編の形を取っている。より繋がりを理解する為に本作をまず観る事にした。
幼稚園児の時、レンタルビデオ屋で借りて観て以来になるが初視聴の印象は「大人にしか判らない話をしているようだが、ゴジラの暴れるところをもっと観たい」というものだった。ゴジラが白煙を吐き、白骨化する最後は印象に残っている。
現時点で本作は解説した小野俊太郎著『ゴジラの精神史』を読み終えている。著者は本書に於いて「表面のメッセージではなくて、無意識に描かれていることをあえて意識化してみたい。*1」として「水爆映画」や「反戦映画」というレッテルを貼らない立場を取り批評している。他方、私は「表面のメッセージ」である第二次世界大戦の影響に気を取られてしまった。その原因は本作が「表面のメッセージ」を、おそらく戦後10年を経ていない故に自然に描いているからだと思う。本作に於ける第二次世界大戦の影響について批評書も多く出ており、その結果を取り入れたのが『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』である事は本書が指摘している通りである*2。
電車の中で男性と女声の会話「原子マグロに放射能の雨、そして今度はゴジラ。せっかく長崎の原爆から生き残ってきた大切な身体なんだもの。」「また疎開か。」男性と女性は船上でダンスに興じていると海から顔を出したゴジラを目撃し悲鳴を挙げる事になる。ダンス≒エロス≒タナトスという安易な考えが頭をよぎる。
銀座松坂屋を襲うゴジラを前に母親は子どもたちを抱きしめる。「もうすぐお父ちゃまのところに行くのよ。」東京が放射能を含んだ火の海になるのは東京大空襲、そして原爆投下地である広島と長崎の状況を想起させる。病院では父母を失った子どもたちが泣き、子どもにかざされたガイガーカウンターが反応を示す。
戦後間も無い日本をゴジラが蹂躙する。その戦争を想起させる恐怖と残酷さが本作にはある。それに感銘を覚えた。
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