2014年4月23日

クライアントの女性にいつも通り書類を渡すと「この部屋に建具を付けて欲しい」と言われる。無茶な依頼だと飽きれる。

毎日飽きる事無く髭を剃っている。この髭の成長を違うところにまわした方が良いのでは無いか。恒常性という惰性。どこからか半乾きの洗濯の匂い。昨日は雨で今日は晴れ。ソフトウェアのアップデートを伝える表示。全ては今日が終わってから始まる。

幼児の身体つきを見ていると余りの細さ、小ささに不安を覚えるがそれが十年も経つと太いだの何だの言われ、自らも不満を漏らすようになる。成長に力が使われた証。小さな女性と、涼しげな女性と目が合う。数秒間視線を交わして、その場を後にする。二度と会うことの無い女性たち。彼女たちには気持ち悪いの一言で片付けてもらって構わない。明日になれば俺も忘れている。

午前中、客先へ向かう。陽の光、風が気持ち良い。「外は本当に気持ち良いですよ」「そうですよね、やっと良い季節になってきた。でも午後から曇りらしいです」「そうですか、それは駄目ですね」「昨日も雨だったし」「洗濯物が乾きませんね」「そうですね」適当な会話の後、エレベーターに乗る。

ジャコ=パストリアス「Donna Lee」ベース曲。ビストロのバルコニーで昼食を取る女性たち。幾ら天気が良いとはいえ肌寒いだろう。きっと席が埋まっていたのだ。赤いVOLVOが停車、赤いエプロン、赤いシャツ、昼食を求めて彷徨う三人組のスーツの男たちが目の前を何度も行き交う。美容室の置き看板をたてる淡い金髪の女性。月給にすれば十五万円程度、俺も似たようなものだ。風で吹き飛ぶスパゲッティを妄想する。赤いVOLVOのフロントに落ちるミートソースが絡んだパスタ。群がる鳩。ハザードランプが点滅する。パスタのカロリー、炭水化物。一昨日も昨日もレトルトカレーの夕食。今日の夕食はどうしようか?感じる便意、目に染みる煙草の煙。組んだ脚が睾丸を挟み込む。急所を身体の中に隠しこむ技術がある事を知ったのはグラップラー刃牙だ。今の俺に弱点は無い。ブラウスに浮き上がる乳房の膨らみ。重過失致死罪。アルバムが後半に差し掛かったところで昼の休憩が徒然に終わる。

喪服の一団。ノー残業デーの水曜日。身体の薄い女性に噛みつきたい。俺に噛みつかれたい女性はいるだろうか。やはり気心が知れなければ俺に噛みつかれたいとは思わないだろう。気心が知れても噛みつかれたいとは思わないかもしれない。「この人に噛みつかれるのはないわ~」「ちょっと…」という奴だ。では俺はどんな女性に噛みつきたいのか。やはり噛みつき甲斐のある、気心の知れた女性が良い。別に俺は女性に噛みつくような性癖は無い。「噛みつく」を置き換える為の実験に過ぎない。そういえばジムのモニターで動く有村架純を観たのだが可愛らしいと思った。顔の線が鋭く無いのが良いと思う。これからその線が変化していく事が察せられたからだ。ネット上の百科全書、Wikipediaには「人生の生き甲斐」という項目がある事を発見する。五木寛之の考えやら何やらが記載されていたが、真面目に読む気にはなれなかった。