2014年4月11日

桜はほとんど散った。葉緑に彩られた桜木は一仕事を終え、また一年を耐え、花を咲かせ、自らを彩るのだろう。駅のホーム、向かいを歩く女子高生は何か思い出し、笑顔を浮かべた。

警察を題材にしたドラマの吊革広告が多い。以前の仕事では警察署に出向く事も少なくなかったが、彼らは公務員然としたところもあれば、横柄な態度であったり、非常に親身であったりと一概に言う事は出来ない。とはいえ基本的に彼らにとって私は部外者でしか無かった。

ミシェル=レリス「幻のアフリカ」、夢精の記述が登場する。彼がなぜわざわざ学術旅団の公式な日記に夢精の記述をしようと思ったのか。夢精の記述の後に、裸のアフリカ人女性とセックスしない理由が続く。彼が言うにはセックスは社会性や人間関係を剥奪していくという欲望であり、社会性や人間関係をアフリカ人女性に見出せないという事らしい。非常に自らの欲望を赤裸々に明かした文章だと思う。

花見の際、テレビ局に酒の肴について取材されており、今日の朝、その素材が使われる可能性があった。同僚がテレビを観ていてくれたようだが俺の姿は発見出来なかったらしい。去年はテレビ局にアベノミクスの影響について取材されたという経緯があり、二年連続取材、一回出演という結果が残った。よく考えるとテレビに映るという事がどれほどの意味を持つのだろう。いずれにしろ俺の人生に於いて第三者にピックアップされる事は犯罪でも犯さない限り無いはずだ。それは幸福につながるはずだ。普通に生きる事がなんと希少だろう。

魔女の宅急便ジブリ映画でしか接した事の無い作品だが最近実写化された。現在の日本を舞台に箒に跨る少女が映る映像はシュールな印象を与える。荒井由美の「ルージュの伝言」を聴きながら魔女を思う。ベンヤミン「子どものための文化史」に描かれた魔女裁判の名の下の虐殺。少女は黒服と赤いリボンを纏い青空を鮮やかに舞うが、未来と過去で、地上に死体が積み重ねられるのか。

事務所のビルオーナーとエレベーターで顔を合わせる。「暖かくなりましたね」「そうですね。まだ夜は寒いですけど」「これから梅雨ですから体調に気をつけないと」「あー、梅雨ですか」春の後は初夏。梅雨、紫陽花、湿気、黴。

ヤングアニマルにてベルセルクの連載が再開した。リッケルトはファルコニアなるグリフィスの王国に入城。因果律に導かれた懐かしい面々が再登場した。次の連載が一ヶ月後だがもう慣れた。

何の気も無しに久しぶりに牛乳を飲んだら腹をくだした。