2014年3月30日

雨が地面を叩く音が聞こえる。家で溶いた卵を焼いていた。通常の能力者より個性的な能力者は、普遍的である、と言ったような事を考えながら、何か別の食材の衣だった、溶いた卵を焼いている夢だった。
二度寝してしまった。上階の入居者の声が響いている。自宅への朝帰り、以前の職場の同僚と交差点で出会った。眠たそうな顔をした同僚は一人で仕事をしていた。二人一組が基本の仕事だったはずだが?尋ねると少し前から一人で担当する事が多くなったのだという。邪魔をするのも悪い。交差点を渡り先へ進む。砂利で慣らした駐車場の前に複数のパトカーが停まっている。駐車場には高校時代の部活の後輩がスーツを着て立っている。声を掛けようにもそんな雰囲気ではない。先へ進む。道の景色に見憶えがある。実家のある田舎の風景に少し似ているのだ。

部屋を掃除してミシェル=レリス「幻のアフリカ」を読み進める。彼等は現地の使用人を解雇したり雇ったり、原住民の儀式の為の洞窟を探索したり割礼について調べている。まだまだ気怠い旅は続く。

シャワーを浴び、来週の花見の道具を買いに行く。雨は大した事無いが風が強い。アパートの植栽の桜木は五分咲きの花を散らしている。雑貨店でレジャーシートと布ガムテープを購入する。その後食料を買いにスーパーに寄る。傘をビニール袋に入れようとしたところ留め具がちぎれた。広がった傘をビニール袋に押し込む。ふらふらスーパーをうろついていると後ろから腕を叩かれた。どこの知り合いだ?と後ろを振り向くと小学生の少女が立っている。足元を指差され、見るとビニールが靴に絡まっていた。笑顔で応えてビニール袋を取る。耳許ではニルヴァーナの演奏が流れている。スーパーからの帰り道、同じアパートに住む母子家庭の親子を見掛ける。一緒に前園真聖似の男性がいる。夫だろうか?新しい男だろうか?子連れの美しい女性、そして男。下世話な考えが浮かび、目の前に広がった桜木を眺める。美しい。

使い物にならなくなった傘、歩道の傍に飛散したハッピーターン、風でどこからか飛んで来た漢方薬の袋。ジャケットを脱ぐ。Tシャツが汗を吸っている。漂白していたデッキシューズを洗濯機で洗う。風は強く、植栽が揺れている。横になり「幻のアフリカ」を読み進める。旅の記録、日記。俺が読んでいるのは八十年程前のフランス人の日記。いつもと同じ、そんな事が書かれている。裸の原住民、呪術師。これはファンタジーじゃない。学術的に重要な、ちょっと私的で、それが原因で研究者から避難され、ナチズムが発禁処分にした、そんな日記である。

雨が止んだ。空の雲は流れ、青空が見える。本を置き眠る。目が覚め、億劫ながら夕食の準備をする。PCでラジオを流す。年度末の話題、四月からの新生活の話題。

雷鳴が響いた。また雨が降る。それでも日曜の夜は静かだ。