頑張って生きるのが嫌な人のための本

海猫沢めろん著『頑張って生きるのが嫌な人のための本~ゆるく自由に生きるレッスン』を読んだ。
題名に気を惹かれ手に取った。ラジオで語る著者は面白く以前から興味を持っていた事もある。

本書は著者の友人であるKが自殺した事をきっかけに書かれたという。Kは聡明で非常に色々な事を考えてしまう少年だった。そして閉塞感を抱えており、自由を求めていた、とも。そしてKが選んだのは自殺だったという。

本書は題名の通り、生きるという事に積極的になれない人々に向けて書かれたものだろう。倫理、道徳、仕事、人間関係、生きる事について書かれているが、その背景には著者のKへの思い―伝えたかった事、考えた事、生きて欲しかった事―が溢れているように思う。それは説教でも無い、説得でも無い、ただ共に寄り添うというような優しさである。
読みながら、吹き出しながら、少し考えながら、ふと自分の中にあたたかな何かかが灯るのを感じていた。役に立たない優しさ、たぶん優しさとは日常生活で効果的に発揮されるものでは無いのだろう。しかしそんな優しさを感じる事が出来た時、ぼんやりと自分を、人を捨てたものでは無いと思えるのではないかと思う。


頑張って生きるのが嫌な人のための本~ゆるく自由に生きるレッスン

頑張って生きるのが嫌な人のための本~ゆるく自由に生きるレッスン