2014年3月21日

午前七時に目を覚ます。今日はプラスチックと空缶の回収日であり、回収車が走る音が聞こえる。祝日、二度寝が許された金曜日。再度目をつむる。

淡い色のスプリングコートが陽を反射して眩しい。男女をかわせば玩具を持った子どもがいる。春分の日である事は開いたブラウザのGoogleがそのロゴで示している。今日から学生は春休みなのだろう、私服で連れ立った十代の女性たちを見掛けながら思う。

ジムでエアロバイクに乗りながらチャンネルを変えると高校野球が放映されている。高校野球第一日第一試合を終え、監督がインタビューに答えている。やはり今日から春休みなのだ。更にチャンネルを変える。笑っていいともに安部首相が出演している。第九十六代首相、経済復興を掲げ、デフレ脱却を目前に、そこに水指す消費税の増税を四月に控えている。経済が復興した時、この首相の戦後レジームの脱却なる考えが支持されるのだろうか?

転職する夢を見た。小さな広告代理店に決めたようだ。今の職場からも近いので問題無い…一体を何を言っているんだ?今ここで仕事を辞めたらいつもと変わりないではないか?その事に気がつき動揺しながら目を覚ました。おそらく昨日の飲み会で新入社員と今までの職場について話したからだろう。台所で一服しながらため息を吐く。

気がつけば食事を取ってから寝入ってしまったようだった。午後五時の放送が聴こえる。まだ外は明るい。室内は冷えており、コタツから出るのが億劫だ。二十分程そうしていただろうか、観念してコタツから出て夕飯の支度をする。エティエンヌ=ド=ラ=ボエシ著「自発的隷従論」、全ての隷従は自発的なものだという。この掌編を読む事に気分が乗らなかったとはいえ時間を要した事は分量と時間が比例しない事を教えてくれる。米に水を張り炊飯器のスイッチを押す。ボールに材料を放り込み下ごしらえを終える。

投手が投げたボールは左側から内側を入り込みキャッチャーのミットに収まる。球種は野球に詳しく無いので判らない。バットがボールを掠めファウルになる。奥田英朗空中ブランコ」に於いて主人公の精神科医が指摘した、野球の不合理を思い出す。「なぜ丸いボールを円柱のボールで打たなければならないのか?」。笑ってしまう問いだ。それが野球であり、ルールだから、と答える事は容易である。しかし誰がルールブックを見て正しく野球をしているのだろうか?