アアァーアァ!!『ドラゴン・タトゥーの女』

ドラゴン・タトゥーの女』(スティーグ=ラーソン原作、デビッド=フィンチャー監督作品)を観た。
特に同監督の作品を気にして観ているという事は無い。最近では『ソーシャル・ネットワーク』の監督をしたとの事だが、観ていない。調べてみると『セブン』『ファイト・クラブ』『ゾディアック』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』と作品が並ぶ。『セブン』がテレビで放映されたものを観た憶えはある、という程度の知識しか今まで持っていなかった。
原作の方も未読である。
今回も金欠を理由に観る事もないだろうと思っていたが、友人からの誘いに乗って、『TIME』を観たいという意見を強引に退け、本作を観た。

冒頭の映像と音楽に驚きで頭が真っ白になった。そして物語は始まる。
ジャーナリストである主人公ミカエルが財界のスキャンダルを暴露するも裁判で敗訴、更なる攻撃に身を隠そうとしているところ、スェーデンの親族経営による財閥企業から少女失踪事件に関する依頼の電話が鳴る。
一方スェーデン財閥企業は、ミカエルが信頼内容に足る人物なのか、警備会社に身辺調査を依頼する。その調査結果は完璧であるものの、非合法な形で入手されたと思われる情報が記載、財閥企業の顧問弁護士は報告書を提出した調査員と面会を希望、面会に訪れたのはパンクな出で立ちの女性、リスベットであった…。

財閥企業の依頼内容は40年前に起きた少女失踪事件を解明する事。
孤島、聖書、ナチズム、親族の秘密が絡みあった謎解きが展開される。
他方、リスベットの被後見人からの変態的レイプとそれに対する逆襲が描かれる。
そして謎解きが進むに連れ、リスベットに起きた事態―男性による女性への変態性欲―が事件の引鉄になっていた事が判明する*1

リスベットの報復は「変態ザマァ見ろ」なのだが、その為に自身を二度犠牲にするしかないというのは見ていて痛々しい。
リスベットが少女失踪事件の犯人に対決を挑む際、拳銃片手に「殺してもいい?」の一言でもって出掛けていく。
そして犯人との対決はリスベットの変態野郎との総決算として結末を迎える。

しかし物語の終わりに立ち去るリスベットの姿を観ていると、過去を精算したとしても、その身一つで引き受けて来た事は変わりなく、幸福に得られるかは判らないと考えてしまう。

最初は刺々しいリスベットがだんだん可愛く見えてくるのが素晴らしい。
良い映画でした。

本作について更に追記しました。

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)


ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

*1:リスベットはだからこそミカエルと共に事件に関与する気になったのだけど。