生きる技術は名作に学べ

伊藤聡著『生きる技術は名作に学べ』を読んだ。
読んだのは今年1月になり、あっという間に読み終えた。大人気ブログ「空中キャンプ」の中の人だけあって、文章は読みやすい上に面白いし、何より名作と呼ばれる作品の感想が読めるというのが良い。
取り上げられているのは『異邦人』『車輪の下』『初恋』『アンネの日記』『老人と海』『月と六ペンス』『ハックルベリイ・フィンの冒険』『赤と黒』『一九八四年』『魔の山』。読んだ事あるものもあれば、読んだ事の無いものもある。
名作とは書かれているけども、実質、古典といわれる類のものを扱っていて、古典という扱いどうやってするのかさておき、私は『月と六ペンス』『赤と黒』『魔の山』とかあまりに長いから読んでないし、ロシア文学好きぶっているけどもドストエフスキー位しか読んでないから『初恋』も読んでないし、『ハックルベリィ・フィンの冒険』も『一九八六』も読んだ事は無い。まぁとにかく読んでいない。それでも、この書き手の紹介を持ってすると読んでみたいと思う。
面白いのは著者が『魔の山』に於いて、長い小説を読んでいる事事態が反社会的な行為である云々という事である。ある時、大学教授が就職したら本を読む機会なんて無いから、今の内から本を読んでおいたほうがいいよと、卒業を控えていた時に言っていたのを思い出した。しかし反社会的な行為で持って、生きる技術を名作に学べという事だから、この著者がいう生きるとは、会社で生き残るとかそういった事ではなく、世界を生きるという技術なんだと思う。この世界というのが、どう考えればいいの難しいのだが、私はどちらかというと小学校やら中学校で本を読んだり感想をつけてたりしてたのだけど、それが何かの役に立っている事はない。もちろん、何か役に立てる為に本を読んでいるつもりは無い。しかし、世の皆さんがいう「社会」という奴に於いて、読書は全くの無駄で、特に古典を読む事は、偉くなった時しか役に立つものではない事は良く判った。
他に、途中途中にコラムがあって、それも面白い。特に「死について」と題された父と筆者とのやり取りにはドキリとさせられる。

生きる技術は名作に学べ (ソフトバンク新書)

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