文化系トークラジオLife

 Podcastで『文化系トークラジオLife』を聴いた。基本的にPodcastは使っていないが、友人から勧めを受けて聴くに至る。きっかけは友人に平野啓一郎が「NEWS23」に出演していたこと、秋葉原の事件について語っていたことを話すと、鈴木謙介もその番組で秋葉原の事件について座談会をして、いいことをいったらしい、と聞かされ、その流れでラジオがPodcastで聴けるよ、といわれた。鈴木謙介というと『カーニヴァル化する社会』の印象が強い。あと文学誌で携帯小説の座談会をしているものを読んだ記憶がある。番組をダウンロードするとちょうど秋葉原の事件について語られているものだった。
 番組では、自ら語ることで他の(特にあまりにも俗な、いい加減な、さも科学的な)物語に対抗すべしと、色々語られていた。そんな内容だったから何か結論が与えられる議論ではない。、むしろこの事件をどのような切り口で語るかで問題は広範になるし、切り口そのものが問題になるというところで、議論は終始していたように思う。また、このような事件が起きているのに自分はノウノウといわゆる勝ち組として(この場合、正規雇用という意味だと思うが)生活しているのが辛い、という視聴者からのメールが読まれたりしていた。
 こういう内容を聴きながら、私はこの事件の総括という点に全く興味がないのだなと思った。いやもちろんあるのだから、この番組を聴いたのだろうが、他者が語るどの物語にも納得できないということに気がついていた節がある。ある意味では真摯に聴こうという気が全くないということかもしれない。ただ事件の要因となる部分部分を普遍的なテーマとして扱わなければいけない、という気持ちからそのような態度になっている気がする。でも部分で考えるっていうのも違和感があるような気がする。もう、この語りの構造自体が嫌なんですけど…。
 鈴木謙介の声が見た目の印象と違って、やさしい感じに驚いた。ギャップがたまらないってやつなのかな。