牡牛座 レーニンの肖像

『牡牛座 レーニンの肖像』を観てきた。観てきた理由は昭和天皇を描いた『太陽』の監督であるアレクサンドル=ソクーロフの作品だからである。私は『太陽』は観にいっていない。簡単に調べてみるとこの監督は二十世紀の指導者を四部作で描こうとしているらしくヒトラーを描いた第一作『モレク神』、そして第二作にこの『牡牛座』、第三作に『太陽』を、そして第四作に『ファウスト(仮題)』が予定しているらしい*1。もちろん私は『モレク神』も観ていない。

この映画の邦題のサブタイトルの通り、レーニンが描かれる。ただし現役のレーニンではなく、狙撃により右下半身を麻痺し、認知症の症状が出始めた、晩年のレーニンである。
森に囲まれたレーニンの療養所は曇天と、木々の影により、光が散り、薄暗い。意図的に演出されたであろう、緑色にかすむスクリーンを見ながら、私は眠気に襲われた。しかし映画は淡々と、加速も失速もせず、進む。終盤、スターリンが見舞いにくる。そして青空が厚い雲の隙間から顔を覗かせる。
私はロシアの近代史にうといが、それはこの映画において、おそらく問題ではないと思う。しかしこれは歴史映画であるから、問題でもある。

*1:wikipedia『太陽』概要による リンク先:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD_%28%E6%98%A0%E7%94%BB%29